急な寒波の到来に震えながらも、これを越したらきっとやってくる春の訪れを楽しみにしています。そして、そろそろ春からの新生活に向けて準備をはじめる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、あえてのこだわりをもって引っ越しされた方の同人誌です。
●今回紹介する同人誌
『鉄道コンテナで引っ越してみた』B5 20ページ 表紙、本文カラー
著者:エイサップ田中
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●鉄道コンテナで引っ越す夢をかなえる
作者さんはこれまで鉄道コンテナについての情報をまとめた同人誌を出すサークル活動をされています。そして大きな貨物駅がある街に新居を購入したことから「これが人生最後の引っ越し」かも、とひそかな夢だったという鉄道コンテナを使った引っ越しを行うことに。
ご本でも「鉄道コンテナのことばかりを考えている生活」と書かれているほど、日々鉄道コンテナに親しんでいる作者さんが「夢」というほどのお引越し方法とは? そもそもあの立派な箱に自分の個人的な荷物を運んでもらえるの? と、ふわふわと疑問を抱えながらページをめくります。
●日常に鉄道コンテナが。ワクワクが止まらない
鉄道コンテナで引っ越ししたい! その思いで作者さんは、業者さんへの問い合わせ、見積もり、日程などで調整を進めます。ご本を拝見していると手順そのものは個人で行う引っ越しと同じですが、実は背景にある事情の汲み取りがすごいんです。
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例えばコンテナに荷物を積み込む方法。このコンテナに入る荷物はこのくらいかな? 輸送ルートは? と、折々にさりげなく情報が挟み込まれます。これまでのご活動を経てきた知識の厚み、そしてそれを振りかざすのではなく、どうやったらスムーズに引っ越しできるか? と自分も相手方もよりよくなるために思案され、作者さんのコンテナとそれを取り巻く環境、人々への愛情を感じます。
そしてさまざまな調整の後、お引越し当日に自宅前にコンテナがやってきます。「日常空間に突如巨大なコンテナが現れた光景にワクワクが止まらない」との気持ちがこちらにも伝わるように、すっきりした紙面構成に写真もたっぷり添えて様子がレポートされます。
●ダイナミックでフラットな夢のかなう瞬間
結論から言うと、お引越しは無事に行われます。いわば作者さんの夢はかなったわけですが、紙面としてはどのページも整えられフラットな印象です。けれどそのフラットさには決して冷たい印象はありません。穏やかさの中心にはずっと鉄道コンテナがあり、どこまでも鉄道コンテナとそれを取り巻く輸送を主役にした温かさがあるように思いました。
これまであまり見ることのなかった鉄道コンテナの大活躍の姿と、ちょっと変わった事例も対象を大事に思う気持ちがあるからこそ、無理をせずできるところを探りながら夢をかなえていかれた作者さんのコンテナに伴走するかのような様子、私もワクワクしました。
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●サークル情報
サークル名:オークまんじゅう
次回頒布予定:コミティア151
SNSアカウント:X: @reon_tetsudo
●レビュー担当:みさき紹介文
公共図書館、専門図書館に勤務していた元司書。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。
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