画像提供:マイナビニュース●「やさしば」の東武鉄道版!? 4号車に設置「たのしーと」 東武鉄道は10日、東武アーバンパークライン(野田線)に導入する新型車両80000系の取材撮影会を実施した。東武アーバンパークラインは3月8日から5両編成での運転を開始する予定。新型車両80000系も5両編成で導入され、うち1両を既存の60000系から流用する編成もあるという。
東武アーバンパークラインは現在、2013年から導入している60000系の他に既存の10030型や8000系も運用に就き、すべて6両編成で運転されている。東武鉄道によれば、経年の進んだ車両も運用される東武アーバンパークラインで車両更新を検討する中、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、利用実態の変化を十分に調査した上で、現行の6両編成から5両編成への変更を判断したとのこと。全体の車両数を削減するとともに、省エネルギーな車両に置き換えることで、動力費とメンテナンス費を中心に相当の費用削減効果を見込んでいると説明する。
新型車両80000系は5両編成を全25編成(125両)導入する予定。2024年度は5編成(25両)の車両製作を進め、3月8日から順次導入する。東武アーバンパークラインで運用している60000系についても、現行の6両編成を5両編成へ改造。サスティナビリティの観点から、60000系を改造する際に派生する1両を80000系へ流用する。80000系は全25編成のうち18編成で5両中4両を新造車両とし、残り1両を60000系からの流用車両で活用。3号車に組み入れることで5両編成を構成するという。
今回公開された80000系の第1編成(1号車から「85501」「84501」「83501」「82501」「81501」)をはじめ、すでに搬入済みの計3編成については、5両とも新造とのこと。現行の60000系と同様、新たに導入される80000系もエクステリアに「フューチャーブルー」と「ブライトグリーン」を基調としたカラーリングを採用。東武アーバンパークラインの車両であることがひと目でわかるようにしている。先頭形状はエッジを際立たせることにより、先進性を表現した。
新型車両80000系に関して、東武グループが掲げる「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現を念頭に、「安全で快適な車両」「子育て世代のご家族の皆様が快適にご利用いただける車両構造」をコンセプトとしている。一例として、車体前面に設けた非常扉の窓と、車内の運客仕切開戸の窓を通常より低くし、背の低いこどもでも前面展望を楽しめるようにした。
4号車の車端部に設けた「たのしーと」も、コンセプトにもとづく取組みのひとつ。「子供部屋をイメージしたわくわくする内装」とした上で、ベビーカー利用者が隣で座れる構造を実現している。製作会社が同じ(近畿車輛)ということもあり、近畿日本鉄道の新型車両8A系で採用された「やさしば」をほうふつとさせる設備だが、2方向から座れるシートを扉向きに設置した「やさしば」に対し、「たのしーと」は扉の反対向きに設置している点などが異なる。「たのしーと」は周囲の装飾も明るい雰囲気となっており、親子での乗車をより楽しめるのではないかと感じた。
インテリアは「リビング」をテーマとし、乗車した瞬間に気持ちが安らぐような落ち着いた客室空間を表現。先頭車の運客仕切窓を大きく取り、幅広い層が前面展望を楽しめる構造としている。旅客案内表示器は側出入口上部に千鳥配置とし、17.5インチの2画面(LCD)表示に。車内のセキュリティ向上のため、側出入口上部に防犯カメラも設置し、安心して利用できる環境を提供する。
環境面に関して、本格搭載としては民鉄初という同期リラクタンスモータを採用した車両推進システム(SynTRACS)、リチウムイオン二次電池SCiBとSIV装置を組み合わせた車上バッテリシステムを搭載することで、既存の8000系と比べて消費電力を40%以上削減。高い省エネ性能と低騒音性で環境負荷低減を実現する。今年度中の納車を予定している第4編成において、施設モニタリングシステム(走行する車両に施設の状態を監視できるカメラや検測装置を搭載し、営業走行時に鉄道施設の状態を常時検測・モニタリングするシステム)を搭載する(第5編成は予備)との説明もあった。
80000系の車体側面に出発監視用のカメラを設置しており、将来的なワンマン運転を見据えた設備のひとつだが、ワンマン運転の具体的な開始時期等は未定だという。●新型車両80000系の車内・外観など写真を一挙公開! 新型車両80000系は、東武アーバンパークラインで3月8日から開始する5両編成運転に合わせ、営業運転を開始するとのこと。現行の6両編成は4号車を弱冷房車両、6号車を女性専用車両としていたが、5両編成の場合は3号車を弱冷房車両、5号車を女性専用車両として運転する。女性専用車両は引き続き、平日朝の始発から9時まで、全列車全区間の「最も柏よりの1両」で設定。5両編成運転の開始にともない、各駅で停車位置も変更となる。詳細は東武鉄道のサイト等で確認できる。(MN 鉄道ニュース編集部)