Jリーグ2025シーズンの順位予想 松原良香がJ1全20チームを戦力分析

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2025年02月12日 07:10  webスポルティーバ

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 元ジュビロ磐田FWの解説者・松原良香氏に、2025シーズンのJ1順位予想と各クラブの戦力分析をお願いした。ここ数年混戦が続くJ1だが、今季は戦力を上積みしたチーム、新監督のチーム、補強に苦戦したチームとさまざまだ。

<松原良香のJ1順位予想>
1位:サンフレッチェ広島
2位:鹿島アントラーズ
3位:FC町田ゼルビア
4位:ヴィッセル神戸
5位:FC東京
6位:横浜F・マリノス
7位:ガンバ大阪
8位:名古屋グランパス
9位:浦和レッズ
10位:川崎フロンターレ
11位:京都サンガF.C.
12位:アビスパ福岡
13位:清水エスパルス
14位:東京ヴェルディ
15位:柏レイソル
16位:セレッソ大阪
17位:湘南ベルマーレ
18位:横浜FC
19位:ファジアーノ岡山
20位:アルビレックス新潟

【昨季にプラスアルファがどれだけあるか】

 今回の順位づけの前提として、昨季のチームにどれだけプラスアルファがあるか。強い組織を作るためには継続するだけではダメで、変化も重要な要素のひとつ。ここを今回の順位予想の軸にした。

 これを評価軸にした時、優勝候補筆頭はサンフレッチェ広島になる。FWジャーメイン良(ジュビロ磐田)やMF田中聡(湘南ベルマーレ)、井上潮音(横浜FC)、菅大輝(北海道コンサドーレ札幌)ら必要なところをピンポイントで、なおかつ前所属で主力だった選手を獲得。昨季の強力なチームを確実にレベルアップできる最高の補強ができた。

 懸念材料があるとすれば、昨季のラスト5試合は1勝4敗。あまりいい終わり方ができなかった点だ。途中までは優勝は広島だろうと思っていたが失速。原因のひとつはACLによる過密日程だろう。主力のコンディション調整に苦労した経験を、今季どれだけ生かすことができるか。

 2位には鹿島アントラーズを挙げる。川崎フロンターレで輝かしい実績を残した鬼木達監督が就任。そんななかで今季も鈴木優磨というタレントがどれだけ活躍できるか。彼が得点王に迫るくらいゴールを取るようになれば、より鹿島の色が出るはず。

 そこにレオ・セアラ(セレッソ大阪)という屈指のストライカーを獲得して、この強力な2トップは非常に楽しみなところ。新しいスタイルの確立には時間がかかるかもしれないが、経験豊富な選手が多く、問題ないだろう。ACLがなくリーグに集中できるのも好材料だ。

 3位はFC町田ゼルビア。広島と同様に、FW西村拓真(横浜F・マリノス)、MF前寛之(アビスパ福岡)、DF岡村大八(札幌)ら補強が必要なところで質の高い選手を獲得。なおかつ黒田剛監督が志向する強度の高いチームに合う選手を獲得できた。2チームを組める分厚い選手層になり、昨季3位のチームを確実にレベルアップできる変化を加えられた。

 懸念するところは昨季黒田監督を右腕として支えた金明輝ヘッドコーチが、アビスパ福岡の監督に就任したこと。彼は黒田監督を大きく助けていたと思うので、その環境が変わってどうなるか。また、クラブとしてACL初挑戦でうまくチームが回るのか。この2点は気になるところだ。

【新監督チームではスタイルが変わるか】

 4位には昨季王者のヴィッセル神戸。リーグ連覇を果たした申し分のないタレントがいて、今季も強力なチームなのは間違いない。FW大迫勇也や武藤嘉紀、DF酒井高徳ら経験ある選手が多くいることで、試合のどんな局面でも監督に頼らず自分たちで修正し、解決できてしまうのは神戸の武器である。

 ただ、冒頭に述べた変化という評価軸では、MF山口蛍(V・ファーレン長崎)やDF初瀬亮(シェフィールド・ウェンズデイ)らを放出したのに対し、補強はあまり動きがなく、変化に乏しい。主力の年齢も上がってきたことを考えると、相対的に見てこの順位に置いた。

 5位のFC東京は松橋力蔵新監督が、このタレントたちを率いた時に、どんな魅力的なサッカーを披露してくれるのか楽しみなシーズンである。FWディエゴ・オリヴェイラが引退し、MF荒木遼太郎が鹿島に戻ったが、FWマルセロ・ヒアン(サガン鳥栖)や佐藤恵允(ブレーメン)、MF橋本拳人(エイバル)、という新たなタレントが加わった。松橋監督がやりたいサッカーを実現できる選手たちがいるだけに、どうなるか興味深い。

 6位の横浜F・マリノスはブラジル人トリオが今季も健在であることはいいが、主力DFを一気に放出したのは懸念材料だ。そのDFにはトーマス・デン(新潟)、ジェイソン・キニョーネス(アギラス・ドラダス)、サンディ・ウォルシュ(メヘレン)を加えた。3バックで挑むと思われる今シーズンでは貴重な戦力だが、ここに若手などが台頭してくるかに注目だ。ACLも戦うだけに、戦力的には足りないと思われるところ。

【楽しみと不安が混在】

 7位のガンバ大阪は、昨季、守備が大幅に改善され、みるみるうちに力をつけると最終的に4位となり、ラスト5試合も4勝1分と終わり方も最高だった。ただ、MFダワン(北京国安)とFW坂本一彩(ウェステルロー)の放出はかなりの痛手。この穴を埋める補強ができていないのは大きな懸念材料だ。

 8位の名古屋グランパスは、昨季は守備の主軸を引き抜かれ、序盤は苦労した。それでもルヴァンカップを優勝したのは、長谷川健太監督のさすがの勝負強さ。ただ、補強したGKシュミット・ダニエル(ヘント)が長期離脱の怪我をしたのは痛恨。FWマテウス・カストロ(アル・タアーウン)もかつてのキレがあるのかは未知数である。新キャプテン・和泉竜司のリーダーシップが鍵を握りそうだ。

 9位の浦和レッズは他のクラブが羨むような多くのタレントを有している。今冬もMFマテウス・サヴィオ(柏レイソル)、金子拓郎(コルトレイク)、FW長倉幹樹(アルビレックス新潟)など、一級品を補強した。しかし、昨季の最終節の様子を見るに、果たしてこれだけのタレントを生かしきれるのかが疑問。本来であればこの順位よりもっと上、優勝候補に入って然るべきだ。

 10位の川崎フロンターレは前監督とはまったくスタイルの異なる長谷部茂利監督を招聘した。スタイルは違うかもしれないが、結果という面では手堅い監督だ。個々の役割を明確化してくれるので、選手たちはすごく納得ができる指揮官である。個人的にはFW山田新に非常に期待している。ゴールに対して野心的で突き刺すような動きは、まるでルイス・スアレスを彷彿とさせる。

 11位の京都サンガF.C.も昨季のとくに後期がすごくよかったクラブのひとつ。その立役者であるFWラファエル・エリアスを完全移籍で獲得したことは非常に大きな補強だ。昨季の勢いのまま今季もいいパフォーマンスを見せてくれれば、京都は面白い存在になる。そこに新戦力がどう融合するかは注目だ。

 12位のアビスパ福岡で一番注目されるのは金明輝新監督だろう。過去の問題でかなり物議を醸していることがどれだけ影響するか。サッカースタイルはアグレッシブにプレーをさせるし、黒田監督の下で守備においても身につけたものがあるはず。補強も積極的にしているので、どんなサッカーで席巻するのか楽しみだ。

【昨季の主軸を抜かれたクラブ】

 13位の清水エスパルスの秋葉忠宏監督は選手の可能性を引き出すことに注力している。個のレベルアップこそがチームのレベルアップにつながると考えるからだ。キャンプでも順調な仕上がりを見せ、なかでも前線はタレント抱負だが、GK権田修一、右サイドバック原輝綺(名古屋)が抜けた守備陣が気になるところ。

 14位の東京ヴェルディを率いる城福浩監督は、昨季の最優秀監督賞に値する活躍だったと思う。限られた予算で6位と、すばらしい結果を残した。若い選手が目をギラギラと輝かせ、今季も主力の多くの残留させたことは大きいが、変化という面ではやや弱い印象だ。

 15位の柏レイソルは、やはりマテウス・サヴィオの浦和への移籍だろう。昨季は彼がいても17位だったわけで、彼がいなくなってどうなるか。チームの象徴であるFW細谷真大が残留したのは大きいが、昨季はわずか6得点。年齢的にも今季は爆発してくれないと厳しいだろう。

 16位のセレッソ大阪も、柏同様にレオ・セアラ(鹿島)という点取り屋がいなくなったことが本当に痛い。昨季は失速したなかでも主軸としてプレーしていた彼がいないのは大きな損失。またそれを補う補強もできていない。

 17位の湘南ベルマーレは、田中聡(広島)という主軸を抜かれた影響が間違いなく大きいだろう。しかし、予算的に厳しくそれを補う補強はできなかった。それでも今季も山口智監督の手腕、FW鈴木章斗ら伸び盛りの若手の躍進に期待したい。

【補強が弱いと感じたクラブは頑張れるか】

 18位の横浜FCは、井上潮音(広島)、FWカプリーニ、DFガブリエウ(共にRB大宮アルディージャ)ら主力を引き抜かれ大きく戦力ダウン。それに対して補強が弱いと感じる。ただ、新加入のDF鈴木準弥(町田)と新保海鈴(レノファ山口)の両サイドバックの高精度のクロスは非常に魅力的で、サイド攻撃は今季の武器になりそうだ。

 19位のファジアーノ岡山はMF江坂任(蔚山HD)やDF立田悠悟(柏)など、クラブとしては積極的に補強に動いたとは思うが、それでも予算のある上のクラブと比べてしまうと補強が弱い印象だ。J1経験豊富な江坂や立田がどれだけチームを引き上げることができるか。FWルカオのゴールを奪う活躍も大事になってくるだろう。

 20位はアルビレックス新潟。トップチームを初めて率いる樹森大介新監督に対して、補強がJ1経験や実績があまりない選手ばかりで心許なく、率直に厳しいと感じる。しかも長倉幹樹(浦和)やGK小島亨介(柏)ら主力も引き抜かれている。予算がないのはわかるが、上のクラブと比べるとどうしても不安と言わざるを得ない。

 今季も上位の顔ぶれは、昨季とあまり変わらないだろう。ただ、それでも思わぬクラブが躍進する可能性を秘めるのがJリーグの魅力でもある。今季は指揮官が変わったクラブが多く、より読めないシーズンでもあるので、どのクラブがどんな飛躍を遂げるのか、非常に楽しみにしている。

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