
今年で118回目を迎える伝統の重賞、GII京都記念(京都・芝2200m)が2月16日に行なわれる。ドバイワールドカップデー(4月5日)や、GI大阪杯(4月6日/阪神・芝2000m)といった春の大舞台に向けて有力各馬が始動する一戦であり、関心度の高いレースだ。
今年の京都記念を予想するうえで、まず注視すべきは天候と馬場状態だろう。先週の土曜開催のレースは降雪により月曜日に振り替えられたが、今週はどうか。デイリー馬三郎の吉田順一記者はこう語る。
「積雪から一夜明けた日曜日は、渋化が残って時計のかかるレースが多かったのですが、月曜日は含水率が多少下がって良馬場まで回復。芝の塊が飛ぶようなこともありませんでした。ただ、勝ち時計や上がりタイムは適度にかかっていた印象があります。
また、今週からは仮柵を設けてBコースを使用しますが、週末の天気予報は微妙な状況。渋化残りを頭に入れながら、予想を組み立てたほうがよさそうです」
レースの傾向としては、1番人気の過去10年の成績が3勝、2着2回、3着2回と及第点。比較的「堅い一戦」と言えるかもしれない。しかしながら、2017年のマカヒキ、2018年のレイデオロは断然の支持を得ながら3着。2015年にも圧倒的な人気だったハープスターが5着に敗れている。
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そして今年は、オークス(5月19日/東京・芝2400m)、秋華賞(10月13日/京都・芝2000m)とGIを連勝し、GIジャパンカップ(11月24日/東京・芝2400m)でも古馬相手に4着と奮闘したチェルヴィニア(牝4歳)がかなりの人気を集めそうだが、はたしてその人気に応えられるだろうか。吉田記者はこう分析する。
「ドバイ遠征を見据えてここから始動するチェルヴィニア。ドバイまで多少間隔があることを思えば、ここが叩き台、という意識は少ないかもしれません。その証拠に、攻めの気配は悪くないですし、1週前のフォトパドックでもいつもと変わらない筋肉の質感で、いい仕上がりを見せています。
つなぎは短いながらクッション性のあるハービンジャー産駒。好位置から速い脚が使えるタイプです。オークスを勝っていますが、東京の長い直線よりは、ポジション取りや速い脚などが生かされる京都の芝2200mのほうが合うと思います」
ただし、それは良馬場での見立て。吉田記者が続ける。
「馬場がよければ勝ち負け必至と見ていますが、天気が崩れてタフな設定になった場合は、チェルヴィニアも絶対的な存在とは言えなくなるでしょう。立ちツメ+立ち気味のつなぎからは道悪自体はこなせそうな感じはしますが、持ち味である弾むフットワークが生かされないため、速い脚が削がれてしまう可能性があるかもしれません」
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では、2番人気が予想されるソールオリエンス(牡5歳)はどうか。吉田記者はこんな見解を示す。
「道悪競馬なら当然怖い1頭となりますが、ある程度レースが流れることが条件。今回のメンバーからすれば、バビット(牡8歳)あたりが引っ張ってくれそうですが、後続の馬とは離れた展開になりそう。そうなると、2、3番手につけた馬のほうが、馬場を生かした競馬がしやすいのではないでしょうか」
そこで、吉田記者が推奨するのは、昨年の覇者プラダリア(牡6歳)だ。
「プラダリアは京都コースとの相性が抜群。一昨年のGII京都大賞典(京都・芝2400m)と昨年の京都記念と、重賞2勝を挙げています。さらに、昨年京都で開催されたGI宝塚記念(6月23日/芝2200m)でも4着と好走しました。
立ちツメで掻き込みの利いたグリップ力のある走りと、重馬場だった京都大賞典や宝塚記念の走りから、渋化馬場も歓迎のクチ。馬場次第では連覇も十分にあると見ます。
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2走前の京都大賞典(10月6日)では7着と振るいませんでしたが、フォトバドックも、実際の攻め気配も、ひと息でした。かなりの消耗戦となった宝塚記念の反動があったものと判断していいでしょう。
その後、香港へ遠征。GI香港ヴァーズ(12月8日/シャティン・芝2400m)に挑みましたが、その時も体が戻っておらず、11着と結果を出せませんでした。
しかし、昨年の下半期をその2戦にとどめたことによって、今回は今までにないぐらい馬体に厚みがあり、トモの迫力も申し分ありません。1週前追い切りでも、主戦の池添謙一騎手が騎乗してビシッと意欲的に追われて活気十分。クビをしっかりと使って、反応よくシャープなキレ味を発揮していました。
最終追い切りでも、坂路でこの馬なりの動きを披露。昨年の下半期はもちろんのこと、昨春の京都記念や宝塚記念の時よりも、馬体と稽古は間違いなく上、と評価していいと思います」
惨敗続きで人気落ちのプラダリアだが、状態が回復していることは明らか。得意の京都で巻き返しがあっても不思議ではない。
そして、吉田記者はもう1頭、気になる馬がいるという。リビアングラス(牡5歳)だ。
「古馬との戦いになってからはなかなか結果を残せませんでしたが、前走の3勝クラス・八坂S(2月2日/京都・芝2200m)でやや重の馬場を生かして、1番人気の全弟インザモーメントを差し返して勝利。ようやくこの馬らしいしぶとさがよみがえりました。
3歳時にはGII京都新聞杯(京都・芝2200m)3着や、GI菊花賞(京都・芝3000m)4着の実績があり、タフな設定になればなるほど持ち味が生きるタイプ。渋化残りのなか前走同様に積極策で運べれば、このメンバー相手でも粘っこく上位争いをしてくれそうです」
プラダリア同様、先行力が魅力のリビアングラス。一発への期待が膨らむ。