[写真]=Getty Images 明治安田J2リーグ開幕戦、モンテディオ山形は後半アディショナルタイムに痛恨の失点を喫し、黒星スタートとなった。渡邉晋監督は「多くの期待を持って見守っていただき、エネルギーを送っていただいたサポーターに本当に申し訳ない」と話した。
開幕戦の相手はレッドブル新体制となった“RB大宮アルディージャ”。大宮を率いる長澤徹監督が新体制発表で「全てのゲームで襲いかかります」と宣言した通り、エネルギーを持って前進してくる大宮に対し、山形はなかなか決定機を作ることができない。ディサロ燦シルヴァーノは「開幕戦という独特な緊張感はありながらも、自分たちが準備してきたものを出そうと意気込んで入りました。上手くいった部分もありましたけど、前半からオープンな展開で僕たちらしくないかなとは思いました」と振り返る。すると後半立ち上がりの52分にCKから大宮に先制点を許してしまう。66分に新キャプテン土居聖真のゴールで追いつくも、後半アディショナルタイム7分に再びCKから失点。渡邉監督はセットプレーでの2失点について「しっかりと改善しなければいけない」とし、「もちろん我々も最後は勝ち点3を取りに行く腹積もりではいました。時間の経過とともにパワーを出せなかったのは、自分自身の采配も含めて、しっかりと検証していきたい」と総括した。
今季の山形は多くの主力選手が契約を更新し、開幕スタメンにおける新加入選手はGKトーマス・ヒュワード・ベル、DF野嶽寛也、MF中村亮太朗の3名のみ。前線にはディサロ、土居、イサカ・ゼイン、國分伸太郎と昨季後半戦の快進撃を支えた面々が揃う中、開幕戦では大きな“変化”が見て取れた。昨季まで右サイドが主戦場だったイサカが左サイドへ、そして國分が右サイドへ配置転換された。その理由について渡邉監督は「リーグ戦は残り37試合あるので、それを明確に説明してしまうと手の内がバレてしまう。それは差し控えさせてください」と前置きしつつ「意図は明確にあります。我々のウイングにはストロングを持った選手がたくさんいます。彼らとしっかり話し合い、お互いのアグリーを取った中で挑戦をしてもらっています。昨日、一昨日で閃いたものではなく、キャンプでずっと準備してきたものです」と明かしている。
右サイドでは國分が幅を取り、右サイドバックの野嶽が果敢に中央突破を試みる。左サイドではイサカが持ち味のスピードを生かしながら、利き足の右足でカットインシュートまで持ち込む。昨季までとはまた一味違う攻撃の形を披露した。その意図が実ったのは66分の得点シーン。イサカがディサロにスルーパスを送ると、その折り返しから最後は土居がゴールネットを揺らした。「自分が動くことで相手DFがなびいたら、ゼインのシュートコースができると思いました。FWとして受ける選択肢と(イサカに)選ばせる選択肢を増やすために前で動き続けたので、あの形は良かったと思う」とディサロも一定の手応えを示す。イサカも「ゴールへの道筋という部分では右サイドとまた違うので、ポジティブな面にフォーカスしていきたい」と前を向いた。
一方でチームとしての結果は振るわず、左サイドバックに入った安部崇士も「今日は(イサカの)良さを引き出せなかったのが正直なところ」と反省の弁を述べる。安部とイサカは桐光学園高校の同級生という旧知の仲だが、サイドで縦関係を形成するのは「これが初めて(安部)」のことだった。「新しい戦術にチャレンジしている段階なので、今日の結果だけで見れば失敗と思うかもしれませんが、シーズンを通してこのチャレンジが良かったと証明できるようにしたい」と安部。イサカは「新しいことにトライできるのは嬉しいですし、ポジティブに捉えて積極的にやっています。その中で結果を出さないといけないので、結果にこだわって次戦に向かっていきたい」と次戦以降を見据えた。
取材・文=三島大輔(サッカーキング)