
保護猫「うるり」ちゃんと飼い主さんの出会いは、運命的なものでした。
【写真】過酷な生活を乗り越えて…今は穏やかな顔つきになりました
X(旧Twitter)ユーザー・うるりちゃん(@ururi_thecat)が迎えたうるりちゃんは、元保護猫の女の子。野良猫ではなく、以前はほかのおうちで暮らしていました。とても過酷な生活環境だったといいます。詳しいお話を伺いました。
運命を感じたうるりちゃんとの出会い
長い間、猫と暮らすことを夢見ていた飼い主さんは、猫と暮らすことができる物件に引っ越したのを機に、保護猫譲渡サイトやボランティアのSNSを頻繁にチェックするようになりました。
そして2023年、ある保護猫ボランティアさんの投稿を見て、うるりちゃんのことを知ったといいます。
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「うるりちゃんは、長らくキャリーバッグに閉じ込められ、過ごしていたそうです。ほとんど外に出してもらうことはなかったと聞きました。また、避妊手術もされていなかったそうです」
その後、うるりちゃんが宮城県仙台市の「あにまるロック診療所」が運営する「保護猫譲渡るーむ」に移動したことを知り、飼い主さんは『この子はすぐ里親さんが決まってしまう! 一度、会いたい』という思いに駆られて、電車とバスを乗り継いで会いに行きました。
初めて会ったうるりちゃんは、人懐っこい女の子で、飼い主さんのバッグのキーホルダーを前足でちょいちょいし始めました。1時間ほど一緒に遊び、「やっぱりこの子と暮らしたい!」と思った飼い主さんは、施設の院長先生申し出ました。しばらく話をしていると、うるりちゃんが驚きの行動に出たといいます。
「私の膝上に乗って、ゴロンと寝そべっておなかを見せてくれたのです。うるりちゃんはそれまで人間の膝上に乗ったことはなかったそう。院長先生は『運命かな?』と驚いた様子でした」
こうして、うるりちゃんと飼い主さんは一緒に新たな生活を始めたのです。
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二人三脚で乗り越えた“トイレ問題”
うるりちゃんは、家について1時間ほどはキャリーバックの中に閉じこもっていましたが、寝る前になると膝に乗ってきたそうです。
「その日の夜は、夜鳴きをしましたが、その後はすっかりリラックスした様子に。よく食べよく甘えるようになりました。家に慣れるのは早かったと思います」
一方、思いがけず、苦戦したのはトイレだったといいます。
「前の家でキャリーバッグに閉じ込められていたとき、ペットシーツの上で座ったまま用を足していたためか、猫砂の上で排泄することができませんでした。『保護猫譲渡るーむ』に移動したあと、ようやくトイレを使えるようになったようですが、我が家に来て環境が変わったためか、またトイレを使えなくなってしまったようで……。私の布団で粗相をするようになったのです」
しばらくして、ようやくトイレでオシッコをすることはできるようになりましたが、ウンチをすることはできない状況が続きました。
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「困り果てて、『保護猫譲渡るーむ』に相談すると、院長先生から『ウンチをしそうになったらトイレのあるケージに入れる』と教えてもらいました」
すぐに試したものの、しばらくの間は、うまくいきませんでした。飼い主さんは「このときが精神的にとてもつらかったです」と当時の心境を語っています。
それでも根気よく、排泄しそうになったときはトイレのあるケージに連れていくことを続けると、数日経ったころ、トイレでウンチができるようになったのです。そこで、飼い主さんは思いきってケージの外にトイレを出してみることにしました。
「1日半ほど経ったとき、私が目を離したすきに、外に置いたトイレでウンチをしていました。思わず、『できるじゃん』と声が出てしまいました(笑)。それ以来、粗相することなく、トイレを使ってくれています」
二人三脚で困難を乗り越えたうるりちゃんと飼い主さん。あきらめず向き合うことができたのは、うるりちゃんの愛情深い行動があったからこそ、と飼い主さんは語っています。
「うるりちゃんにとっては嫌であろうことをしても、変わらず、甘えてくれたのです。私のことを好きでいてくれていると思うと、トイレのことで四苦八苦していた時期も乗り越えることができました」
そして、うるりちゃんを迎えて1週間が経ったころ、とてもうれしいことが起こりました。
「夜、枕の横に来て一緒に寝てくれるようになったのです。とても人懐こい子でしたが、当初は一緒に寝なかったので『甘えはするけど、一緒には寝ない主義なんだな』と思っていたのですが、実際は『この人のこと嫌いじゃないけれど、出会ったばかりで一緒に寝るのはちょっとね……』という感じだったようです(笑)」
うるりちゃんと飼い主さんは、お互いの愛情に支えられながら絆を深めていったのです。
会う人みんなのハートを射抜くうるりちゃん
うるりちゃんは、現在4歳を迎えました。甘えん坊なところは変わらず、かまってちゃんになったそうですよ。
「ベッドに寝転がるとすぐ胸の上に乗ってきます。料理や仕事など手が離せないときは、おとなしくしてくれるのですが、少しでも『今、飼い主はひまだ』と判断するや否や『かまえー! 撫でろー!』と鳴いてアピール。友だちや家族と話していると、私たちの中心に入り込んで来ます。どうやら自分に注目を集めたいようです。うるりちゃんに会った友だちはみんなメロメロに(笑)。一緒に帰省したときは、実家の母から『うるりちゃんは置いていって』と言われるほど! 罪な子ですね」
うるりちゃんに「うちに来てくれてありがとう! これからも健康で長生きしてね。ずっと一緒にいようね」と伝えたいと語る飼い主さん。うるりちゃんが心地よく過ごせるようにいろいろ考えをめぐらせているそうです。
「私は自宅で仕事をしているのですが、仕事中はかまってあげることができません。そのため、うるりちゃんに寂しい思いをさせているのではないかと考えることがあります。もうひとりお迎えしたほうがいいかと思うこともありますが、うるりちゃんは猫が苦手なようなので、今は考え中です。これからうるりちゃんの様子を見ながら、時間をかけて決めたいと思います」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)