愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「日本銀行“0.5%に追加利上げ”と“トランプ関税発動”の今後」を解説

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2025年02月19日 20:10  TOKYO FM +

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愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「日本銀行“0.5%に追加利上げ”と“トランプ関税発動”の今後」を解説
本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

2月12日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 上席執行役員の宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「日本銀行“0.5%に追加利上げ”と“トランプ関税発動”の今後」というテーマでお話を伺いました。


(左から)宗正彰さん、マンボウやしろ、浜崎美保



◆日銀が追加利上げ 2008年10月以来、約17年ぶりの水準の理由は?

浜崎:今回、宗さまには「日本銀行“0.5%に追加利上げ”と“トランプ関税発動”の今後」についてお話しいただきます。

やしろ:まずは日銀が0.5%に追加利上げしたということですが、ここで言う金利とはどのような種類の金利なのか、詳しく教えていただきたいです。

宗正:金利には大きく「長期金利」と「短期金利」の2つの種類があります。長期金利は期間1年以上のお金の貸し借りに適用される金利、例えば1年以上の預貯金金利なども長期金利です。

逆に期間1年未満に適用される金利が短期金利です。日銀が物価の安定と経済成長の安定を目的としてコントロールするのは短期金利の方で、「政策金利」なんて呼び方もします。耳慣れない言葉かもしれませんが、日銀が政策金利に位置付けているのが、「無担保コール翌日物金利」というものです。

これは文字通り担保無しで、金融機関同士で、わずか1日だけの超短期的な金融取引に適用される金利です。日銀が金利を引き上げるときには、この無担保コール翌日物金利を上げるという動きをします。

やしろ:昨年2024年7月以来の利上げということですが、なぜこのタイミングで追加利上げになったのでしょうか。

宗正:今回の0.5%への引き上げは、2008年10月以来、約17年ぶりの水準になりますが、このタイミングになったのは大きく理由が3つあります。

1つ目の理由が、1月20日にアメリカでトランプ大統領が就任したことです。彼の就任直後に株式市場や為替市場に大きな動きがあるのではないかと、世界中が警戒していましたが、結果として限定的な動きに留まりました。利上げが市場の混乱要因にはならないと判断したということです。

2つ目の理由が、日本の物価の上昇率が、当面の間は今の水準、すなわち2%前後で推移しそうだということ。

そして3つ目の理由は、日銀の国内の各支店の調査結果と報告内容が、利上げ決断の決め手になったということです。2025年の春季労使交渉、つまり今年の春闘は事実上始まっていますが、「今年は中小企業まで賃金のアップが広がるだろう」と。そうした環境だから利上げをしてもいいんじゃないかと、そんな結論になったようです。

◆住宅ローンの「固定金利型」と「変動金利型」今はどちらを選ぶべき?

やしろ:利上げに関連する話題についてです。借入額も大きく、返済期間も長い住宅ローンが気になるところですが、今なら「固定金利型」と「変動金利型」のどちらを選ぶべきなのでしょうか。リスナーさんもかなり気になる方は多いと思います。

宗正:利上げは預金の金利が増える一方で、住宅ローンなどの金利負担は重くなります。大きく2つ固定金利型と変動金利型の住宅ローンがありますが、金利が上がれば、どちらの金利負担も重くなるんですよ。そこでついつい「どっちが得なんだろう」と考えてしまうと思います。

「今後の金利上昇は、どのタイミングで、どれくらいスピードと上昇幅で」「何%ぐらいまで上がるのだろう」などと考えてしまう人も多いかと思いますが、金利の動きを予測するのは非常に難しいんです。特に住宅ローン金利は(借入の)期間が長いので、答えが出るのも一般的には数十年後です。

やしろ:確かにそうですね。あと5年、10年の話ではなく、普通に20年、30年かかる話ですもんね。

宗正:つまり、どちらが得だったかというのは、結果論でしかありません。必要なのは個々人の人生設計、ライフプランをもとに考えるということです。

例えば固定金利型の場合は、借り入れから返済時まで金利は固定です。つまり返済計画が立てやすい訳です。金利動向を気にしたくない人、長期間の安定収入が見込まれる人には向いています。

もう一方の変動金利型は、借入期間中に金利が変動します。原則、変動金利型の方が固定金利型よりも金利は低いですから、まとまった額の頭金が準備できる人、つまり借入額が少ない人、借入期間が比較的短い人には向いています。利用者の多い30年から35年ローンではなく、5年から10年で完済できる人は、変動金利型の方がお得な可能性が高くなります。

他には、お子さんの教育費が必要な時期には変動金利型、その後は固定金利型に切り替えるといった方法もあります。先々で金利が下がったときに諸経費は要しますが、より低い金利のローンに借り換えるという方法も住宅ローンでは可能です。今の時代、「変動金利型」と「固定金利型」を併せ持つミックス型の住宅ローンなどもあります。

やしろ:今後の金利は予測できない、非常に難しい、だからこそということですね。

◆“トランプ関税発動” 日本への影響は

やしろ:このスカロケ資産運用部でも予測していたトランプ関税の発動についてですが、当初の発動がメキシコ・中国・カナダ、この3ヵ国だったのはなぜでしょうか?

宗正:理由はシンプルです。この3つの国がアメリカへの輸出上位3ヵ国だからなんです。メキシコが1位でその額4,752億ドル、2位が中国で4,269億ドル、3位がカナダで4,186億ドルと続きます。

メキシコとカナダには関税25%を課すと発表しましたが、この2つの国に関してはその後1ヵ月の延期で合意となりました。一方、中国には10%の追加関税を既に発動しました。トランプ大統領は「関税ほど素敵で魅力的な単語はない」と、大統領選の最中にも発言していましたから即実行に移しましたね。

やしろ:していましたね。自分のことを「ミスター関税」とも呼んでいました。

宗正:関税の引き上げは間違いないと世界中が確信していたところに、すぐに始めたという、有言実行の政治家なんですよね。そこがまたアメリカ国民からの絶大な支持につながっている訳です。

やしろ:選挙で言った公約を、必ずしも全てできる訳ではないことは分かります。ただ、それでも政治家が実現しようとする、スピード感、勢い、決意、そういうものを見せてくれれば、全部がかなわなくても「動いている姿勢」を見せてくれたらなと思いますもんね。

宗正:トランプ大統領の物事の進め方は、まさに「ディール(取引)」。優秀なビジネスマンの手法なんですよね。その要素が全部詰まっています。

やしろ:先程の3ヵ国とアメリカとの間で、いわゆる関税戦争は早くも始まっているということですよね?

宗正:はい。当然ですが、これらの国々は猛反発しています。そうなるとアメリカはアメリカで「報復には報復を」と、アメリカ大統領令にサインを日々し続けるという、もう完全に報復合戦の流れですね。

カナダ国内では「アメリカ産のウイスキーはもう売らない」、「店の棚から撤去して、レストランにも卸さないぞ」と、そんな動きも出ています。中国も強烈な不満を訴えています。「断固反対」と表明して、WTO(世界貿易機関)にも訴えています。

でも、「報復には報復で対抗する」と大統領令にはもともと明記されていますから、トランプ大統領は淡々と物事を進めるだけです。つい先日も、例外なく全ての国に対して鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課すと発表しました。

やしろ:それは日本にも影響が出ますよね。

宗正:出ますね。鉄鋼に至っては、日本はアメリカの輸入相手国の第6位ですから、当然影響は出ます。メキシコやカナダは日本の自動車メーカーのアメリカ向け生産拠点ですし、間接的な影響は大きいと思います。

◆日米首脳会談は「まずは合格点?」

やしろ:先日は、石破総理大臣とトランプ大統領の首脳会談がおこなわれました。今回は平和的に、割とご挨拶程度な空気感もありましたけど、どうなんでしょうか?

宗正:今の政治体制になって初の日米首脳会談、今後の日米外交にとって極めて重要な位置付けになりますよね。まずは無難に終わって合格点かなと。ただ事前の評価が低かったという事実もありますけど。

やしろ:トランプさんは安倍さんとは仲が良かったので、「石破さんは無理なんじゃないか」など、いろいろ言われていましたね。

宗正:共同声明を出した直後、2人は握手をしなかったようにも見えました。安倍さんのときには抱き合っていましたから、その辺りは気になります。

客観的に見ても、アメリカの輸入先上位3ヵ国が、まずはその課税の対象になりましたという流れですよね。第4位がドイツで、第5位が日本なんですよ。当然、日本にも順番は回って来るだろうと。

やしろ:つまり、日本も関税引き上げの対象国として視野に入っているということですか?

宗正:日米首脳会談が終わった後のタイミングで、トランプ大統領は日本にも行動を起こしそうですよね。貿易相手国がアメリカ製品に課している関税と同じ率を、その国からの輸入品にも適用する「相互関税」を導入する話も出始めています。トランプ関税については、日々刻々と状況が変わっています。

やしろ:ちょっとニュースから目が離せないですね。

宗正:そうですね。このトランプ関税、当面の間は株式市場の投資のテーマとして続きそうな気配ですね。

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もっといろいろな経済のお話が聞きたいという方は、宗さまのAuDee(オーディー)「宗正彰の愛と経済と宗さまと」でも聴けます。毎月10日、20日、30日に配信していますので、そちらもぜひチェックしてください。


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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月〜木曜17:00〜19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ〜)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/

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