
1990年代から2000年代は応募者に対して求人数が少なく、有名大卒者でも就職できない人もいたことから、就職氷河期と呼ばれる。だがその後の頑張り次第で、就職氷河期世代でも年収1000万円以上を稼ぐ人はいるものだ。
三重県の48歳女性は、医薬品メーカーで内部監査として働いている。現在の年収は2000万円以上だというが、氷河期世代ならではの苦労の数々を味わってきたようだ。
「2002年に大学院を卒業しました。当時は就職氷河期の終盤でしたが、それでも新卒の就職は非常に厳しく、日本国内での就職先を見つけるのは容易ではありませんでした」
そこから現在の高収入を得るようになるまで、どんなキャリアアップを重ねていったのだろうか。(文:天音琴葉)
日本本社もあるのに現地採用……「慣れない環境の中でもがむしゃらに働きました」
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大学院を卒業するにあたり就職活動をするも……
「10社以上の採用面接を受けましたが、日本国内では内定を得ることができませんでした。国内での就職が叶わず、縁があってシンガポールでの仕事を見つけました」
日本に本社があったが、現地採用という形式で、シンガポールに勤務したそうだ。
「現地社員や駐在員との間に挟まれる立場で、慣れない環境の中でもがむしゃらに働きました。当時の職場では、日本とは異なる価値観や働き方に適応する必要があり、語学や文化の違いを乗り越えることが大変でした」
必死に努力し続けたという女性を日本本社もしっかりと見ていただろう。後に女性は日本本社勤務になった。もちろん正社員としての採用だった。
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だが女性は事情を明かしていないが、その会社に留まり続けることはなく、何度か転職したそうだ。
「転職を繰り返しながらキャリアを築いていきました。その過程では、業務の幅を広げるために資格取得にも励み、働きながらスキルアップを続けました」
「人との縁を大切にすることで、チャンスが広がる」
「自分で道を切り開くしかなく、苦労が多かった」という女性は最後にこう総括する。
「氷河期世代としてのキャリアは、常に『安定したキャリアを築くのが難しい』こととの戦いでした。企業側も、新卒一括採用を重視する傾向があり、一度就職に失敗すると、次のチャンスを掴むのが非常に困難でした。特に転職市場でも、同世代は『即戦力としての経験が不足している』と判断されやすく、厳しい状況が続きました」
厳しい時代を生き抜いてきただけに、学んだこともたくさんあるようだ。女性にとって財産とも言えるだろう。
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「どんな状況に置かれても、一生懸命努力をすれば、いつかはその努力が報われる。過去を振り返って嘆くのではなく、未来に向けて行動することが大切。その時、その時に出会う人との縁を大切にすることで、チャンスが広がる。努力は無駄にならず、必ず自分の糧になる」
もともとこの世代は、団塊の世代に続いて人口が多く、子どもの頃から競争させられてきた。全体的に学力レベルが高く、向上心やピンチをチャンスに変える底力がある人も多い。この女性と同じように転職を繰り返すことで、年収1000万円以上を稼いでいる氷河期世代の人は実際にいるものだ。
「今後も、環境の変化に対応しながら、前向きにキャリアを築いていきたいと考えています」
自分の力で就職氷河期という呪縛をとっくの昔に抜け出した女性は、今後もキャリアアップに邁進していくことだろう。
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