2戦連続Q2進出のデビュー。SFライツ王者のルーキー小出が見せた“レース中の進化”

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2025年03月13日 13:00  AUTOSPORT web

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小出峻(San-Ei Gen with B-Max)/2025スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦鈴鹿
 3月7〜9日に鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1・2戦。今季のスーパーフォーミュラには5名のルーキードライバーが参戦するが、そのなかのひとり、昨年のスーパーフォーミュラ・ライツ王者である小出峻(San-Ei Gen with B-Max)は、2戦連続で予選Q2に進出するなど、速さをアピールするデビュー戦となった。
 小出は7日の金曜フリープラクティスを午前11番手、午後8番手と好調のうちに終えると、8日の第1戦予選でQ1Bグループを4番手で通過。Q2では7番手と、ルーキー勢の最上位グリッドを獲得したが、レースではトラブルもあり真のパフォーマンスを見せることはできなかった。
 第2戦は牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)に続きQ1Aグループを堂々の3番手通過。Q2では「最終シケインで引っかかってしまい」(小出)、消化不良の12番手に終わったが、決勝では8位でフィニッシュしポイントを獲得することに成功した。

■予選の課題は進化する路面へのアジャスト

 2日連続のQ1突破について、「やることをやった結果かなと思います」と小出は胸を張った。
「自分としては結構自信はあって、テストのときからQ2進出は全然いけるんじゃないかという手応えはありました。ただ、実際には『もうひとつ、できることはあった』みたいな悔しさもありますが、チームのポテンシャル的には高いと思いますし、それを100%で発揮できていれば、もっと良い予選結果もあったと思います」
 現在のスーパーフォーミュラの予選では、Q1からQ2にかけてコンディションが変化していく路面に対してのアジャストも大きなカギを握る。とりわけ第2戦ではQ1A組での出走となりQ2に向けた変化幅がB組よりも大きい状況だったこともあり、「Q2への進出経験がチームとしても少ないなかで、路面の変化にアジャストする部分がもうひとつ必要」と小出は課題も実感したようだ。
 第2戦の決勝では、前方のマシンが早めのピットインを選択するなか、コース上にステイ。これは、「前がクリアな状態で走ることにフォーカスした結果」だった。チームとともに最適なピットタイミングと見定めたのは、31周レースの19周目終わり。“後半組”の定石に従い、残る周回ではフレッシュタイヤの利を活かし、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)をオーバーテイクすることにも成功した。
 これは、レース前半から後半にかけて、小出のなかでスーパーフォーミュラへの慣熟が進んだ結果でもあったようだ。
「しっかりと走る初レースだったので、レース前半はタービュランスやバトルのなかでどれだけタイヤを使えるものなのかとか、熱やデグラデーションに関してタイヤにどれくらいキャパシティがあるのかという理解がまだ少なく、最初に(タイヤを)使いすぎてしまった部分がありました」と小出。
「そこで後半はしっかりと自分の中でコントロールして、タイヤのパフィーマンスを100%に近い形で引き出すことにフォーカスしました。その結果、わりといいバランスとグリップで継続して走ることができました。(可夢偉選手の)オーバーテイクは、ホームストレートでオーバーテイクシステムを使って、外からまくった感じですね」
 レースはセーフティカー先導でフィニッシュを迎えたが、2番手を走る車両に5秒のタイムペナルティが加算されることが決まっていたため、3番手以下のマシンがフィニッシュライン直前で全車との間合いを詰めるという状況となった。
 その渦中にいた小出にも当然チームから「しっかりと前にくっついてゴールしてくれ」という指示が出されており、「そこはもう、抜かりなくやりました(笑)」とレアな状況にも落ち着いて対処できたようだ。
 チームを率いる本山哲監督は「オフのテストの段階では、ダウンフォースが強いマシンで走るハイスピードコーナーなど、そのスピードレンジにまだついていけていなかったが、走行を重ねることによって見えた課題に対してプロドライバーとしてしっかり改善して、準備してレースウイークを迎えられた」と小出を評価。また、小出のキャラクターについて、「緊張も興奮もあまり変化がない、珍しいタイプ」だと本山監督は言う。
「コメントに関してはちょっと分かりづらいところがあるから、『もっとシンプルに、思ったことだけ言ってくれたほうがいいよ』と伝えています。うまく言おうと思うと伝わらなくなるから、単純に速く走るためには『どこどこで曲がらない』と言ってくれたほうがいいからね」
 4度のタイトル経験者・本山監督からの指南も受けつつ、日本最高峰フォーミュラでの挑戦をスタートさせた小出。第2ラウンド以降は、スーパーフォーミュラのマシンでは未走行のトラックが続くが、1台体制のチームでいかに安定して上位に食らいついていけるかがまずはカギとなりそうだ。

[オートスポーツweb 2025年03月13日]

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