【競馬予想】金鯱賞は先を見据えた有力馬が陥る落とし穴を考慮 異色の良血馬の大駆けに要注意

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2025年03月15日 07:40  webスポルティーバ

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ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

──GI大阪杯(4月6日/阪神・芝2000m)の前哨戦となるGII金鯱賞(中京・芝2000m)が3月16日に行なわれます。

大西直宏(以下、大西)施行時期が何度か変わっている金鯱賞。自分は(2012年の)改修後の中京コースで騎乗したことがないこともあって、春のGIシリーズが終わってから行なわれる"夏のローカル"戦のひとつ、といったイメージが強いです。

 春の中京ということでは、最も印象に残っているのは、2005年のGI高松宮記念(芝1200m)。7歳時のカルストンライトオに騎乗して4着でした。リニューアル前でしたが、コース的に乗りにくかった、という記憶は特にありません。

 コース改修後は、地力のある馬がより勝ちやすくなっているので、伏兵の出番は以前よりも減った気がします。金鯱賞でも、人気の実績馬や実力馬がそれなりの結果を残しています。

 とはいえ、この時期は天候が不安定で、(馬の)体調管理にも気を遣う季節ですから、伏兵の台頭もしばしば見られます。実際、馬場や枠順、展開によって紛れが起こり、4年前の2021年には最低10番人気のギベオンが逃げ切って大波乱を演出しました。

――では、今年のレースについて伺いたいと思います。まずは出走メンバーをご覧になっての率直な印象を聞かせてください。

大西 ここ最近はずっと10頭前後の落ちついた頭数になっていますが、今年もまた、出走10頭と少なめになりましたね。しかも、実力上位の組とそれ以外で二分されそうなメンバー構成、といった感じがします。

 そのなかで目が行くのは、中内田充正厩舎&社台系クラブが送り込む2頭、このレース3連覇を狙うプログノーシス(牡7歳)と、重賞2勝のクイーンズウォーク(牝4歳)です。

 あと、昨秋のGII毎日王冠(10月6日/東京・芝1800m)で2着、GI天皇賞・秋(10月27日/東京・芝2000m)でも3着と奮闘したホウオウビスケッツ(牡5歳)も注目でしょう。

 同馬は、GIIスプリングS(中山・芝1800m)で2着と好走し、GI日本ダービー(東京・芝2400m)でも6着と善戦するなど、3歳時から素質の片鱗を見せてきた馬。古馬となった昨年さらに力をつけて、夏以降本格化モードに入ってきましたね。

 前走のGIII中山金杯(1月5日/中山・芝2000m)では9着と案外でしたが、59.5kgというハンデを背負わされたうえ、8枠18番と大外枠発走が響いての敗戦。度外視していいと思います。

 何にしても、プログノーシス、クイーンズウォーク、ホウオウビスケッツと、重賞実績で他馬をリードする3頭が人気を集めるのは、納得です。まともな仕上げで出走してくれば、上位争いに絡む可能性は高いと見ています。

――これら人気3頭が中心としても、開幕週のGI前哨戦というレースにおいて、どういった点に留意して予想する必要があると思われますか。

大西 一昨年、昨年の覇者プログノーシスは、末脚性能の違いで他馬をねじ伏せましたが、(開幕週ということを考えれば)やっぱりある程度は前で運べる機動力があったほうが有利でしょうね。

 週末は雨予報で馬場状態は微妙な状況ですが、大目標を次に控えている馬というのは、当然ここがメイチの勝負ではなく、陣営としては勝ちにこだわりすぎて「よそ行きの競馬をして、次に変な影響を及ぼしたくない」と考えるものなんです。

 結果も重要ですが、それ以上に次へつながる内容の競馬をすることが、前哨戦の最重要ミッション。GI獲りを狙う有力馬ほど、そのあたりの兼ね合いの難しさが落とし穴になり得ることは、頭に入れておくべきでしょう。

――そうしたことを踏まえて、大西さんが目をつけている馬はいますか。

大西 展開面でカギを握るのは、岩田康誠騎手が乗るホウオウビスケッツだと思うのですが、この馬の出方次第ながら、状況的にこのレースに"真っ直ぐ勝負できる"という点で魅力を感じるのは、デシエルト(牡6歳)です。

 ダートを中心に使ってきて少し頭打ちになったところで、芝路線へと再転向。リステッド競走のアンドロメダS(11月16日/京都・芝2000m)、GIII中日新聞杯(12月7日/中京・芝2000m)と現在2連勝中。祖母がアドマイヤグルーヴで、エアグルーヴ、ダイナカールへと遡るエリート牝系ですが、紆余曲折を経て表舞台に立つというキャリアが珍しく、何となく肩入れしたくなりますね。

 今回は、主戦だった岩田康騎手がホウオウビスケッツに騎乗し、武豊騎手と初タッグを組みます。この馬にとって、プラスに働く面が少なからずあるのではないでしょうか。

――それは、具体的にどういったところですか。

大西 岩田康騎手とのコンビでは、テンからハミをかけて他馬を制して逃げる形が多かったのですが、武豊騎手がこの手のタイプに乗った場合はひと味違うんです。

 彼の場合、ゲートが開いて手綱をしごくようなことは滅多になく、出してから馬なりでサッと前のポジションにつけていきます。周りの馬の出方次第では、番手に控えることも。そういった馬の誘導が非常にスムーズです。

 自分がサニーブライアンやカルストンライトオといった逃げ馬に乗っていたからわかるのですが、そうしたことは簡単そうに見えて、一歩間違えれば折り合い、リズムを欠くことになりかねない、高度な技術なんです。

 デシエルトも決して乗りやすいタイプではないと思いますが、サイレンススズカを筆頭に前進気勢の旺盛な、数々の名馬を手の内に入れてきたレジェンド。その手綱さばきに心配はいらないでしょう。

 ホウオウビスケッツ&岩田康騎手コンビがハナを主張すれば番手に控え、行かないようならそのままスッとハナへ。相手のほうは(先に目標があって)立場的に競りかける作戦も取りにくいでしょうから、この馬が先行して残る公算はかなり高いと思っています。

 頭数が少ない分、配当的な妙味はそれほど大きくないかもしれませんが、今回はこのデシエルトを「ヒモ穴馬」に指名したいと思います。

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