天皇皇后両陛下は、終戦から80年の今年を、“特別な年”とお考えだという。皇室担当記者はこう語る。
「4月上旬に天皇陛下と雅子さまは太平洋戦争の激戦地となった硫黄島を訪問されます。
東京都区部からは南に約1千250キロ離れていますが、自衛隊機を利用し、日帰りのご予定のようです。現地では、硫黄島戦没者の碑へのご供花などが検討されています。
この硫黄島ご訪問を端緒として、6カ月にわたる両陛下による一連の“慰霊の旅”が始まります。6月に沖縄県と広島県、9月には長崎県をご公務と慰霊のために訪問されるのです」
今年2月、天皇陛下はお誕生日に際しての記者会見で次のように述べられた。
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「私と雅子は、これまで広島、長崎、沖縄などを訪れ、多くの方々の苦難を心に刻んできています。今年、戦後80年という節目を迎え、各地で亡くなられた方々や、苦難の道を歩まれた方々に、改めて心を寄せていきたいと思っております。
そして、戦争の記憶が薄れようとしている今日、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や歴史が伝えられていくことが大切であると考えております」
自らも“戦争を知らない世代”である天皇陛下と雅子さまが、責務と考えられているのが、さらに次世代への“戦争の記憶と記録の伝達”であり、そのキーパーソンとなられるのが愛子さまなのだ。
宮内庁関係者はこう語る。
「実は、この慰霊の旅に愛子さまも参加されるのです。まず6月上旬の両陛下の沖縄県ご訪問に同行される方向で検討が進められているそうです。
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ご訪問先として、糸満市の『国立沖縄戦没者墓苑』や『平和の礎』、那覇市の『対馬丸記念館』など、太平洋戦争にまつわる施設が多く予定されています。
節目の年に、天皇ご一家がそろって視察や供花をされるとなれば、大きな注目を集めることは間違いありません。
’13年に秋篠宮ご夫妻と悠仁さまが平和の礎などに足を運ばれていますが、これは私的なご旅行という位置づけでした。
天皇家の2世代が同時に地方で公式に慰霊されたことはこれまでになかったと思います。
形式上は、沖縄県からの要請となるようですが、実際には天皇皇后両陛下のご意向によるものと聞いています。県民の4人に1人が犠牲となった地上戦が展開された悲劇の地に、愛子さまといっしょに足を運ばれるということは、両陛下にとって、新世代の慰霊の旅を行ううえで意義があるとお考えなのでしょう」
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天皇陛下と雅子さまの愛子さまへのご期待について、皇室番組を数多く手がけてきた放送作家のつげのり子さんはこう語る。
「天皇陛下は2月の記者会見で、このように話されています。
『今年は戦後80年という節目を迎え、愛子にも、戦争によって亡くなられた方々や、苦難の道を歩まれた方々に心を寄せていってもらいたいと思っています』
これから“戦争の記憶”は、どんどん風化してしまうかもしれません。しかし、上皇ご夫妻から両陛下、そして愛子さまへと、“非戦の願い”が受け継がれていくことが、日本の平和に大きく寄与することになると思います。特に愛子さまの沖縄ご訪問により、若い世代が戦争について考えるきっかけになることを期待しています」
愛子さまご自身も10年も前から“戦争と平和”について、熟考し続けられてきた。愛子さまは学習院女子中等科時代に、『世界の平和を願って』という作文を書かれている。
’16年5月、女子中等科3年生だった愛子さまは、修学旅行で広島平和記念公園を訪れ、その際に受けた強い衝撃を克明につづられたのだ。
■2年目で加速する愛子さまの二刀流
《原爆ドームを目の前にした私は、突然足が動かなくなった。まるで、七十一年前の八月六日、その日その場に自分がいるように思えた》
愛子さまは“どうすれば平和を守ることができるのか”も、考えられていた。
《日常の生活の一つひとつ、他の人からの親切一つひとつに感謝し、他の人を思いやるところから「平和」は始まるのではないだろうか。
そして、唯一の被爆国に生まれた私たち日本人は、自分の目で見て、感じたことを世界に広く発信していく必要があると思う。「平和」は、人任せにするのではなく、一人ひとりの思いや責任ある行動で築きあげていくものだから》
平和を願い、行動したい……。そんな思いを温め続けてきた愛子さまは、昨年4月に日本赤十字社に入社され、それから間もなく1年がたとうとしている。
「入社直後と同じように、愛子さまはいまも、ご公務や祭祀などの予定がない日は、ほぼ毎日出勤され、夜まで勤務されています。その実直なご姿勢に日赤関係者も驚いているそうです。
3月19日には、横浜市の造船所を訪れ、北極地域の海洋調査などを行う研究船の命名・進水式に出席されます。
社会人2年目となる新年度は、皇族として、そして社会人として、さらに“二刀流”を加速させていかれることでしょう」(前出・皇室担当記者)
広島で“非戦の誓い”を胸に秘められて9年。
“人任せにせず”、自分の目で見て、感じたことを世界に発信する内親王・愛子さまの“慰霊の旅”が、いま始まろうとしている。
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