写真いまや週末ともなれば、全国各地で開催されているグラビアアイドルの撮影会。大手撮影会ともなれば曜日に関係なく毎日開催され、10人程度のモデルを目当てに、毎回50~60人ほどが参加している。それに伴い、急増しているのが、普段は会社員だが、土日祝日には「作品撮り」と称して、コスプレイヤーやモデルを撮影する“カメコ”と呼ばれる人たちだ。
撮影会ブームに伴い、市民権を得たとはいえ、趣味者が集まるイベントゆえにクローズドな雰囲気が漂うのも事実。カメコたちによるトラブルも後を絶たない。そこで、今回は撮影会をきっかけにグラビア活動をスタートさせた、元ミス・アース日本代表の斎藤恭代にインタビュー。知られざる撮影会の内情を聞いた。
◆アイドル時代の活動の一環でスタート
――斎藤さんが撮影会に出演するようになったのはいつ頃からですか?
斎藤恭代(以下、斎藤)「元々、福岡の久留米で『いちご姫』というアイドル活動をしていたのですが、その活動の一環で出たのが最初でした。やっぱり歌って踊ってるだけだと生活をするのが精一杯でした」
――いわゆる“アイドルの特典会”の一環が始まりだったんですね。
斎藤「定員10人のこじんまりとした撮影会でしたね。親身になって推してくれるファンの方たちばかりだったので、開催すると毎回誰かは来てくれました。常連のファンや新規のファンの方と触れ合いながら楽しく撮影会を開催できました」
――アイドルは誰かに見られるお仕事ですけど、カメラを向けられることについてはいかがでしたか?
斎藤「私はモデルになりたいという夢が幼い頃からあったので、『撮影会は練習する場になる!』と思って参加してました。当時は広告はもちろん、グラビアで撮影される機会なんてなかったので……。いつかのためにポージングや、表情の見せ方を研究してましたね。私のような考えでやってるのはきっと珍しいと思います(笑)」
◆ミス・アース代表として東京進出
――夢を持って参加されていたんですね。その後も斎藤さんは「ミス・アース」の日本代表になって東京へ進出する訳ですが……。
斎藤「『ミス・アース』に選ばれて東京に出てきてから『FUSION』というアイドルグループを作って活動していたんですけど、紆余曲折あって解散してしまったんですね。でも、生活をしていかなければならないので、『東京』『撮影会』と検索して、一番上に出てきた大手撮影会に連絡して『出演させてください!』と直談判したんですね。何もない自分にできることはこれしかなかったので。その後、書類審査、面接を経て合格をいただきました!」
◆撮影会の舞台裏、控え室での激しい争奪戦
――斎藤さんが所属した撮影会はどんなところでしたか?
斎藤「東京で有名な大手撮影会で、水着がメインですけど毎日開催されていて、土日は屋外でも私服撮影会などを開催しているところです。規模感も大きくて、スタッフのみなさんもたくさんいたので安心感もありました」
――実際に出演するにあたってはどんな準備が必要なんですか?
斎藤「出演する日にちをスタッフさんに伝えたら、集合場所や必要な衣装の点数など撮影会の詳細がメールで送られてくるんですよ。当日はスタッフさんに受付して控え室に案内してもらいます。参加されるカメコの皆さんと同じ感じですね」
――ちなみに、始まるまでモデルさんたちは何をしているんですか?
斎藤「控え室に着いたら自分でヘアメイクをして、お弁当に名前を書き、スタジオに貸し出し用の水着を選んで確保します。これがみんな着たがるので毎回争奪戦になるんです!私はその争奪戦にいつも負けていたので、自分で必要な点数の水着を持って行って、貸衣装の方がよかったら借りて出演してました」
――自分で用意すると大変じゃないですか?
斎藤「お安く購入できるブランドがあるんですけど、そこでまとめ買いしてあらかじめ用意しておくんです。なるべく貸衣装で済ませて、自分の持っているものは着ないようにして、なるべく同じ衣装にならないような工夫をしてました。他の女のコもみんなやってましたね」
◆撮影会のリアル、モデルたちの奮闘
――見えないところでの大変さが伝わってきます。いざ始まるとモデルさんたちはどんな感じで過ごすんですか?
斎藤「始まる前に出演するモデルが一列に並んで『開会式』をやるんですけど、そこからスタートします。1枠40分の枠を6ターンするんですね。休憩を挟みながらですけど、フルで出演したら半日は出ずっぱりです。ターンの終わりにはチェキ撮影の時間があるんですけど、それが終わったらやっと休憩という感じですね。でも、私の場合はありがたいことにチェキに並んでくださる方がたくさんいてくれて、休憩時間になっても列が途切れないこともあって、『次のターンまであと5分だから着替えて!』とスタッフさんに叫ばれたこともあります(笑)」
◆気になるギャラ事情、MVP賞のボーナスが!
――人気者ゆえに悩ましいところですね。
斎藤「休憩時間がなさすぎて、お弁当を食べれないこともしょっちゅうでした。お腹は空くし、ずっとこのままだと続けられないなと思って、出演する枠を半分にしてもらいました」
――かなりの体力勝負というところですけど、出演料はどれぐらいもらっていましたか?
斎藤「モデル出演料と、そこにチェキ撮影のインセンティブが上乗せられる感じでした。あと、MVP賞っていうのがあるんですよ!何人も女のコが参加してるので、誰が集客してるのか判断したいという運営側の都合でもあるんですけど、来てくれた方へ受付時にコインを渡して、お目当てのコのところに置いてある貯金箱にコインを入れていくんです。最終的に一番多くのコインを獲得したコがMVPになって、ボーナスがもらえます。日によって参加者が変動するので、上乗せ額には波がありますけど」
――世知辛いですね笑。そういう賞レース的なことがあると、モデル同士で僻み合いとかありそうですね。
斎藤「うーん。私の場合はいわゆる“類似タレント”という方はいなかったので揉め事はなかったんですけど、カメコさんの取り合いで言い合いになってる光景は目にしました。『私のお客さん取らないで下さい!』とか」
推し活の一種とされる撮影会。昨今は過激化が進み、自治体を巻き込んだ騒動に発展したことも。楽し気なイベントの裏には、さまざまな欲望が渦巻いている。
<取材・撮影/MySPA!特別取材班>