集団予防接種が原因でB型肝炎ウイルスに感染し、慢性肝炎を発症した患者7人が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、福岡高裁(新谷晋司裁判長)が、これまで国の救済の対象外だった、発症と沈静化を繰り返す「再々発型」患者についても救済する和解案を示したことが18日、患者側弁護団への取材で判明した。賠償請求権が消滅する除斥期間(20年)の起算点を「再々発時」とする内容で、こうした和解案の提示は同種訴訟で初めて。和解が成立すれば全国で係争中の原告のうち最大35人が救済される可能性があるという。
B型慢性肝炎は発症すると沈静化して症状が治まるケースが大半だが、再発や再々発の患者も一定数いるとされる。患者は裁判を起こして国と和解すれば1250万円の給付が受けられるが、提訴が除斥期間を過ぎた場合は最大300万円に減額される。
国は当初、除斥期間の起算点を「最初の発症時」としていたが、最高裁は2021年4月、再発患者については起算点を「再発時」とし、救済範囲を広げる判断を示した。一方、再々発型患者の起算点をいつにするかは引き続き、訴訟で争点になっていた。
弁護団によると、福岡高裁は14日付の文書で全国の原告が対象の和解案を提示。再発型と再々発型は損害が異なるものとし、起算点を別個に設定すべきだとの考えを示した。
九州弁護団代表の小宮和彦弁護士は18日に開いた記者会見で「早期救済を図るために裁判所の案を受け入れたい。国にも受け入れるよう強く要請したい」と述べ、高裁の姿勢を評価した。
|
|
厚生労働省は「コメントは差し控えたい」としている。【志村一也】
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。