最高の走るプライベート空間! Uberで呼べるWaymoの自動運転タクシーに乗った【米テキサス州オースティン現地レポ】

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2025年03月19日 10:31  マイナビニュース

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米Uber Technologiesが提供するライドシェアの新しいサービスとして、米Alphabetの傘下であり、Googleの自動運転開発部門からスピンオフしたWaymo(ウェイモ)の自動運転タクシーとマッチングする「Waymo on Uber」がテキサス州の都市オースティンで3月4日に始まりました。


筆者は今回、Uberが開催したプレスツアーに参加して「Uberアプリで簡単に呼べるWaymoの自動タクシー」を体験してきました。

○UberアプリからWaymoの自動運転タクシーが呼べる


Uberの配車サービスといえば、日本ではモバイルアプリからタクシーが呼べる「Uber タクシー」が国内各都道府県に拡大しています。一部地域ではタクシー会社が運行を管理する「Uber 自家用タクシー」も2024年4月に始まりました。



アメリカでは一般のドライバーによる自家用車ライドシェアが普及しています。また、筆者が先日訪れたニューヨークのように、Uberアプリで配車をリクエストするとタクシーがマッチングされる都市もあります。



3月にオースティンで始まったWaymo on Uberは、そのUberアプリの選択肢に自動運転タクシーが加わるようなイメージです。


Waymoは2024年からサンフランシスコ、ロサンゼルス、フェニックスなどの都市を皮切りに独自のモバイルアプリ「Waymo One」による自動運転タクシーのサービスを始めています。今回、世界に広くサービス網を展開するUberとパートナーシップを組むことでWaymoの認知を広げ、さらにEV(電気自動車)を活用する環境にもやさしいライドシェアの価値をより強く訴求することも考えているようです。



Uberアプリを使ってWaymoの自動運転タクシーが呼べるサービスは先にアリゾナ州フェニックスで始まりました。フェニックスでは自動運転車両の清掃、メンテナンス、点検、充電、そして保管を含むフリートサービス(車両管理)をWaymoが行っていますが、アトランタはUberが提携するAvomo(アヴォモ)社と提供して、Uberが主体となって行う初めての都市です。そして間もなく同じ形でUberがフリートサービスも提供するWaymo on Uberはジョージア州アトランタにも拡大します。

○オースティンが自動運転タクシーに適した街である理由



UberとWaymoがサービスを提供する街にオースティンを選んだ背景には、このエリアの道路整備が行き届いていることや、自動運転の障壁にもなる降雪が年間を通してとても少ないことなどが理由として挙げられます。筆者は今回の取材で初めてオースティンを訪れましたが、ニューヨークやロサンゼルスなどアメリカの大都市に比べると、明らかに交通量が"適量"である印象を受けました。Uberの責任者によると、オースティンは先端テクノロジーに対する理解のある都市でもあるそうです。


UberアプリのユーザーはWaymoの自動運転タクシーで、オースティン市内の37平方マイル(約96平方キロメートル)を移動できます。この範囲を超える場合は人が運転する自動車がマッチングされます。



筆者もオースティンの空港からUberを呼ぶためにアプリを立ち上げてみたら、トップにWaymoの自動運転タクシーが呼べるお知らせが表示されて驚きました。アプリの設定から「自動運転車両の設定」に入り、「Waymoの配車を増やす」というボタンをオンにするとWaymoの車両にマッチングされる確率が高くなります。


「ぜったいWaymoを呼んで乗る」ことは現状できません。その理由は、3月現在オースティンの街を走るWaymoの自動運転タクシーが数10台(から100台までの間)に限られていることもありますが、「自動運転タクシーしばり」を自らかけてしまうとマッチングが成功して、目的地まで到達できる時間が非自動運転の車を利用した場合よりも長くかかることになり、Uber本来のサービス体験が損なわれてしまうこともあるからです。


○Waymoの車を呼んで、間違わずに乗る方法



今回はプレスツアーに参加したジャーナリストのため、特別に街中で稼働中のWaymoの自動運転タクシーを配車してもらいサービスを体験しました。



UberアプリではUberX、Uber Green、Uber Comfort、またはUber Comfort Electricという4つの内容と価格が異なるサービスを選ぶことができますが、Waymoの自動運転タクシーがマッチングされた場合、現在はWaymoのテクノロジーを載せたJAGUAR(ジャガー)のEV「I-PACE」が配車されます。通常のドライバーが運転する車と、自動運転タクシーの利用料金は変わりません。


アプリにはWaymoの自動運転タクシーがマッチングの候補に挙がったことを知らせる通知が届きますが、ユーザーは非自動運転の車を選択することもできます。



通常Uberを利用する時には、アプリに車種とナンバープレートの番号が表示され、到着したらドライバーと「○○さんですね」と声を掛け合ってマッチングされたものどうしであることを確認できます。自動運転タクシーの場合はナンバープレートのほか、Waymoの車がルーフトップに搭載する液晶ディスプレイに、アプリの利用者のイニシャルがアルファベットで表示されます。筆者の場合であれば「AY」ですね。これらを頼りにしながら、アプリ上でUberアプリが提案してくれる「安全な乗車ポイント」を指定することもできるので、自分が呼んだ車を間違えることはなさそうです。


さらに、Waymoの車のドアはユーザーがスマホを持って近寄り、アプリのボタンをタップして初めて解錠されます。トランクもアプリを使って開けます。ユーザーが自分で呼んだ車であることを確かめられるよう、念のために「クラクションを鳴らす」ボタンもあります。


車は待ち合わせのポイントに到着してから、ユーザーが乗車するまで7分間待機してくれます。間違えて乗車ポイントから少し離れた所で待っていたことに気付いても、落ち着いて自分が呼んだ車を探せます。


○自動運転タクシーを体験! 驚くほど「普通に快適」



筆者はWaymoの自動運転タクシーに乗ることも今回が初体験でした。なので、かなり期待して乗り込んだのですが、良い意味で「とっても普通に快適なドライブ」でした。


自動運転であることを忘れてしまうほど、乗り心地やスピード感は人が運転する車と変わりません。交差点もスムーズに曲がります。イメージセンサー(カメラ)、LiDARにレーダーなど安全走行を支援する複数のセンサーによるセンサーフュージョン技術により、道を走る車、歩道を歩く人など周囲の移動体をリアルタイムに認識して、車内のディスプレイに表示します。Waymoの自動運転タクシーが徹底的に安全をケアしながら走っていることが、乗車するユーザーも「目で見てわかる」とても良い機能だと思います。これまでに4,000万マイル(6400万キロメートル)以上の実走行経験を積んできた実績は伊達ではないと実感しました。

○交差点を曲がり、信号できちんと止まるWaymoの自動運転タクシー


現在Waymoが自動運転タクシーとして提供するJAGUAR I-PACEは助手席に1名、後部座席に3名の計4名をパッセンジャーとして1度に乗せることができます。運転席には乗車できないルールになっています。トランクもまあまあ広いので、3名のグループぐらいであればスーツケースも込みでWaymoの自動車タクシーが問題なく利用できそうです。


通常、Uberの乗車が終わった後はドライバーの評価とチップを促すメッセージが表示されます。自動運転タクシーの乗車に評価の星を付けることはできますが、チップは不要です。そのほか乗車中にサポートが必要な場合はUberアプリ、またはWaymo車両内のディスプレイに表示されるメニューから24時間年中無休の有人サポートが呼び出せます。

○最高の「走るプライベート空間」



初めて自動運転タクシーに乗ると無人運転の車がバリバリ走ることの怖さや抵抗感があるかもしれませんが、実際に数回乗車してみると拍子抜けしてしまうほどに普通なので、すぐに慣れるだろうと思いました。オースティンの街を歩く人々も、走行中のWaymoの車にカメラを向けたり驚いている様子はまったくなしで、自動運転タクシーが早くも街中に溶け込んでしまった印象を受けました。


日本でタクシーを利用すると、大抵の場合ドライバーの方々は乗客のプライバシーに気をつかってくれます。ただ海外に出かけると、たまに人情味あふれるドライバーの方が「日本からかい? オレも日本人と結婚した息子の結婚式でトキオに行ったことがあってさあ、それでな! ○○○…」と饒舌に話しかけてくれる場合があります。筆者のように英語がさほど得意でない場合、長旅ですっかり疲れ切った頭ではドライバーの方と会話を交わすことができず、残念な思いをさせてしまうことが心苦しくなったりもします。こんな時にWaymo on Uberで自動車タクシーを選んで乗ることができたら最高だと思いました。



でもやはりタクシードライバーの方々との会話に心を癒やされたり、初めて足を運んだ街の役立つ情報がもらえたり、一期一会の喜びが否定されることはこれからもないと思います。Uberは従来の友人のタクシーと自動運転のタクシー、どちらも全力投球で頑張ると宣言しています。



次回からUberプレスツアーのレポートを数回に分けて、Uberキーパーソンが語ったWaymo on Uberのサービス戦略の詳細などをお伝えしたいと思います。



取材協力: Uber Japan



著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら(山本敦)

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