バディーSCが2年ぶり2度目の王座に《JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN関東》

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2025年03月19日 11:32  サッカーキング

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“激戦区”関東を制するのは!?

 3月15日から同16日にかけて、栃木県佐野市において『JA全農杯2025 全国小学生選抜サッカーIN関東』が行われた。

 今大会には群馬県、栃木県、茨城県、千葉県、神奈川県、山梨県、東京都、埼玉県から各2チームずつ、合計16チームが参加。15日は4チームずつ4組に分かれての予選リーグが行われ、16日には順位トーナメントが実施された。

 試合は8人制で、12分×3ピリオドの36分間で行われる。第1ピリオド、第2ピリオドはそれぞれ特定の8人がプレーし、5分間のインターバルを経て行われる第3ピリオドは、傷病者発生などで第1、第2ピリオド両方に出場した選手を除いたメンバーの中から自由な組み合わせで8人が先発し、交代も無制限に行える。

 登録メンバー全員に一定以上のプレー時間が与えられるよう配慮されている一方、第1ピリオド、第2ピリオドでどの選手を起用するか、第3ピリオドでどのような交代策を取るかといったベンチワークも重視されるレギュレーションとなっている。

 15日の予選リーグを経て、各グループの上位2チームに入ったファナティコス(群馬県)、中野島FC(神奈川県)、バディSC江東(東京都)、柏レイソルA.A.TOR ’82(千葉県)、鹿島アントラーズジュニア(茨城県)、浦和レッズジュニア(埼玉県)、バディーサッカークラブ(神奈川県)、柏レイソルU-12(千葉県)の8チームが決勝トーナメントに進出。16日は雨模様の中、ファナティコス、柏U-12、バディSC江東、バディーSCが準決勝へ。

 そして柏U-12に1−0で競り勝ったファナティコスと、バディSC江東に4−0で快勝したバディーSCが清酒開華スタジアムで行われる決勝へと駒を進めた。


両者譲らず激戦の決着は…

 決勝の開始時刻が迫る頃には雨足は弱まり、ファナティコスは初優勝、バディーSCは2年ぶりの優勝を目指してキックオフを迎えた。

 第1ピリオドの立ち上がりは攻守が頻繁に入れ替わる互角の攻防が見られたものの、徐々にバディーSCが主導権を握り、相手ゴールに迫っていく。「両サイドバックが前に出ていけるのがうちの強み」という佐野裕哉監督の言葉どおり、ピッチを広く使った厚みのある攻撃を仕掛けていったが、吉田岳巨や佐野燈弥のシュートは枠を捉えられず、スコアレスのまま第1ピリオドを終える。



 続く第2ピリオドは、バディーSCが第1ピリオドの勢いそのままに猛攻を仕掛けたが、ファナティコスは井出大志郎コーチが「第2ピリオドのメンバーは決勝までに1失点しか喫していなかったので、そこがチームの強みになった」と振り返ったように、全員が体を張った守備を見せて耐え続ける。

 第3ピリオドの立ち上がりにはバディーSCの田中寛太が巧みな個人技でDFをかわして決定機を迎えたが、ファナティコスのGK田子翔琉が冷静に間合いを詰めてシュートをブロックする。その後はファナティコスも盛り返し、櫛引琳斗や井出智稀がゴールに迫る場面もあったが、あと一歩が届かない。結局スコアレスのまますべてのピリオドが終了し、6分間の延長戦に突入した。



 延長戦開始早々に均衡を破ったのは、第2ピリオド、第3ピリオドと続けてピッチに立ち、果敢なドリブルを見せ続けていたバディーSCの原堂志だった。左サイドで鳥海亮介がボールを運び始めた瞬間「絶対にこっちに来ると信じて」逆サイドから走り込み、パスを受けて右足を振り抜く。「ちょっと当たり損ねた」そうだが、コースを狙ったシュートがネットに吸い込まれた。

 ファナティコスも最後まで反撃の姿勢を見せたものの、結局これが決勝点となり、バディーSCが2年ぶり3度目の関東大会制覇を達成した。



激戦区の代表が決定

 決勝戦に先駆けて行われた3位決定戦では、柏U-12がバディーFC江東に第2ピリオドで先制を許しながら、第3ピリオドに2点を奪い返し、2−1で逆転勝ち。優勝したバディーSC、準優勝のファナティコス、3位の柏U-12は、5月に神奈川県で開催される「JA全農チビリンピック2025 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会」に関東代表として出場する。



 決勝点を挙げたバディーSCの原は「得意のドリブルをどんどん仕掛けていきたい」と決勝大会での活躍を誓い、ファナティコスの井出コーチは、群馬県勢初の決勝大会出場となったことを受けて、「関東の代表として恥ずかしくないような戦いをしたい」と大舞台を見据えた。柏U-12の仙石廉監督は「選手とコーチングスタッフの目線をそろえて、守備の対応の部分などを高めていきたい」と、関東大会3位からの巻き返しを誓った。



試合後コメント

■佐野裕哉監督(バディーSC)
突出した存在がいないチームなのですが、それが逆に「みんなでやらないと」という意識につながり、全員サッカーができたと思います。
両サイドバックが前に出ていけるのがうちの強みで、攻守の切り替えのところもトレーニングから取り組んできました。体調不良で途中離脱した選手もいたので、その子たちのためにも優勝したいということで、選手たち自身が奮起してくれました。
ファナティコスさんとは一緒に強化合宿をするなど普段から親しく交流していますし、街クラブ同士、決勝で対戦できたのは光栄なことでした。全国決勝大会では、2年前に準決勝まで勝ち進んでいます。今回は小粒なチームですが、より高い目標に向かって頑張りたいです。

■原堂志(バディーSC)
大会を通じて、とにかくみんなで声を出して盛り上げて、雰囲気を高めることを意識していました。横浜市の予選、神奈川県予選で優勝していたので、この関東大会も1位になって全国決勝大会に行こうと言いながら取り組んできました。ファナティコスは空中戦やプレスが強く、僕がマッチアップした子はドリブルもうまかったので苦戦しました。ゴールシーンは、逆サイドにボールが渡った瞬間に、絶対にこっちに来ると信じて走り込みました。シュートはちょっと当たり損ねましたが、狙いどおりのコースに決めることができました。全国決勝大会では、チーム全体でフィニッシュの精度を改善させつつ、僕自身は得意のドリブルをどんどん仕掛けてゴールを決めて、優勝したいです。

■井出大志郎コーチ(ファナティコス)
関東大会ではなかなか結果を残せていなかったので、予選グループ突破を目指すところからスタートしました。失点が少なかったこと、粘り強く戦えたことが今回の結果につながったと思います。第2ピリオドのメンバーは決勝までに1失点しか喫していなかったので、そこがチームの強みになりました。気持ちのこもった試合が多く、全員が成長してくれました。一方で、連戦ということもあって最後の一歩が出なかった場面もあったので、そういう部分の体力やメンタルはもう少し強化が必要だと感じています。全国決勝大会に向けて、この大会で足りなかった部分や3ピリオド制への対応を復習しつつ、関東の代表として恥ずかしくない戦いをしたいと思います。

■仙石廉監督(柏レイソルU-12)
準決勝では自分たちのミスから失点をして負けてしまいました。すごくショックを受けている選手もいましたが、それはサッカーでは起こり得ることですし、よく持ち直して、次の試合で全国決勝大会への出場権を確保してくれました。選手たち自身が頑張った結果ですし、成長した部分だと思います。3位決定戦で対戦したバディSC江東とは何度も対戦しているんですが、相手の決定機で得点につながっていれば結果は違っていたと思います。フィジカルの強い相手にどう対応するかなど、今大会で出た課題をトレーニングで克服していきたいですし、選手とコーチングスタッフの目線をそろえ、守備の対応の部分などを高めて全国決勝大会に臨みたいと思います。


取材・文=池田敏明

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