アストンマーティンTHORチームの23号車アストンマーティン・ヴァルキリー 2025年IMSA第2戦セブリング12時間 ハート・オブ・レーシング(HoR)のチーム代表であるイアン・ジェームスは、『セブリング12時間レース』でのIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のデビュー戦において、アストンマーティン・ヴァルキリーがトップ10フィニッシュを果たしたことを「重要なマイルストーン」であると語った。
ロス・ガン、ロマン・デ・アンジェリス、アレックス・リベラスがドライブした23号車は、シリーズに初登場したル・マン・ハイパーカー(LMH)ベースのプロトタイプで総合9位に入り、優勝した7号車ポルシェ963からわずか2周のラップダウンでフィニッシュした。
3月15日の北米デビュー戦は、コクピットの換気の問題でノーズ交換が必要になったことと、レース最終盤のラップで原因不明のトラブルが発生したことを除き、ほぼトラブルのない一日だった。
「正直に言うと、ここはハイパーカーで一番難しいレースだ」とジェームスはSportscar365に語った。
「このトラックで12時間を走り切るのは、どの24時間レースよりも難しいと思う。チームとクルマの歴史において、そしてヴァルキリーにとって初めてのポイント獲得という点において、これは大きな節目だ」
「誇らしい瞬間と言っていいだろう。ここに来るまでに、すでに多くの努力が払われてきたが、これから先も多くの努力が待っている」
ジェームスは、IMSAレースで初めて一緒になったフェニックスを拠点とするクルーの成果をとりわけ誇りに思うと述べた。ともに“アストンマーティンTHORチーム”として活動する同名の組織のうち、WEC世界耐久選手権のオペレーションチームはイギリスを拠点としている。つまりクルーの大部分は大西洋の東側と西側で異なるということだ。
「彼らはまるで何年も一緒にいたようにすら見えた。彼らがクルマとピットでスムーズに仕事をこなしている姿を見て、とても誇りに思っていた」とジェームス。
「ドライバーたちも素晴らしい仕事をし、クルマを無傷でフィニッシュまで運んだ。これは将来への良い兆しだと思う」
「ここでさらに学び、ロングビーチではより強くなって戻ってくるよ」
■カタールでのデビュー戦から早くも「進歩」あり
デ・アンジェリスもチーム代表のコメントに同調し、チームは週末にヴァルキリーで「大きな進歩」を遂げたと語った。
「このレースを完走できれば、どこでも完走できると思う」と彼はSportscar365に語った。「クルマをゴールラインまで運ぶことができて非常にうれしい! チームメイト、関係者全員が素晴らしい仕事をしてくれた。チームのみんなを本当に誇りに思うよ」
「カタールは厳しい週末だった。そこで学んだことをすべてここで活かし、大きな進歩ができたと感じている」
先月カタールで行われたWEC開幕戦『カタール1812km』でレースデビューを果たした2台のヴァルキリーは、今回とは異なりより深刻な不運に見舞われた。デ・アンジェリス、リベラス、マルコ・ソーレンセンがドライブした009号車は20周以上遅れてフィニッシュし、姉妹車の007号車アストンはリタイアを喫した。
「誰も簡単だろうとは思っていなかったと思うけど、カタールは間違いなくタフだった」と語ったデ・アンジェリス。
「僕たちは、クルマの作業と開発に多くの時間を費やし、そこでは全員が一生懸命に働いてきた。しかしレースコンディションになってトラックでプッシュするまでは、実際に何が起こるかわからないものだ」
「僕たちは他のファクトリーチームと競争している。周りの人々は、僕たちと同じように自分たちのことを考えている」
「ここにいる全員が、グループとして、IMSAチームとして団結した。IMSAでの初レースで、彼らと一緒に働くのは初めてだったが、全員が素晴らしい仕事をしたと思う。エンジニア、メカニック、エンジンとドライブトレインを担当したコスワース、チームのみんなが本当に良い仕事をしたんだ」
カナダの新星はトップクラスのプロトタイプで2度目のレースとなったが、チームメイトのリベラスが記録したヴァルキリーのベストタイムがクラス最速タイムから1秒強しか遅れなかった結果に満足している。
なお23号車ヴァルキリーのラップタイムは、セブリングのレースウイーク初日に行われたプラクティスや、中日の予選で記録されたものでは上位タイムからつねに2〜3秒遅れていた。
「レース中盤のペースは本当に良かった」とデ・アンジェリスは述べた。「レースの終盤には問題があったと思うが、それはほんの一部。僕たちは学び続け、前進していくだけだ」
「このレベルでトップ10フィニッシュを果たすことができた。僕たちの前にいるチームも後ろにいるチームも、ずっと長い間ここでやってきたことを考えると、僕たちにとっては初めてのIMSAレースであり、ここセブリングでのレース全体を通して本当に厳しいレースだったことは間違いない」
「それでも、みんなでやりきった9位という成績には本当に満足している」
[オートスポーツweb 2025年03月19日]