1989年(平元)に52歳の若さで死去した国民的歌手、美空ひばりさんの平和への思いを継いだ「戦後80年 平和祈念コンサート−沖縄 未来に紡ぐ歌−」が4月29日に沖縄・那覇文化芸術劇場で開催されることが19日、分かった。
ひばりさんは生まれ育った横浜で大空襲を経験。父が徴兵で海軍に入隊したこともあり、平和への願いが強く、沖縄に対して特別な思いを抱いていた。
初めて沖縄を訪れたのが終戦から11年後の56年8月。当時19歳のひばりさんは、沖縄戦で県民12万2000人以上、4人に1人が亡くなったことに心を痛め、公演の合間に「ひめゆりの塔」や「沖縄師範健児之塔」を訪れて手を合わせた。同年の経済白書は「もはや、戦後ではない」と記したが、沖縄は戦争の傷痕が色濃く残され、米政権下にあったために日本本土から行くには専用のパスポートが必要だった。
当時の思いについて「今更のように、戦争の恐ろしさ、悲しさをしみじみと感じました。この洞窟の中で親を思い、子を案じ、兄弟やお友だちのことをどんなにか心残りにして死んでいったのであろう。同胞のご冥福を再び心より祈ります」「戦争はもう決して起こさないでくださいと、世界の人たちに呼びかけたい気持ちです」などと手記に残している。その後もチャリティー公演を10回以上開催するなど沖縄に思いを寄せ続けた。
コンサートは2部構成。1部には喜納昌吉、夏川りみ、島袋寛子、かりゆし58、上間綾乃ら、ひばりさんの思いに賛同する沖縄出身アーティストが出演し、ひばりさんのカバー曲などを歌唱する。島袋はコメントを寄せ、「平和を願い、沖縄を想い、何度と沖縄に来て歌ってくださっていたことを知り、胸が熱くなりました」と吐露。「美空ひばりさんの沖縄への想いは歌声とともに永遠に語り継いでいかなければならないと思います。平和と沖縄への想いを皆さまと同じ空間で共有し、歌でお届けできることをとても楽しみにしています」と公演にかける思いを明かした。
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2部はひばりさんの貴重映像をつづるフィルムコンサート。72年に東京・日本劇場で行った公演「返ってくる琉球」で沖縄の民謡「安里屋ユンタ」を歌った貴重な歌声も初公開される。
今年は戦後80年の節目。焦土と化した日本を歌声と映画で励ましたひばりさんの明るい歌声が再び沖縄でよみがえる。チケットは「デパートリウボウ」などで販売する(税込み6000円)。
○…4月27日にはうるま市民芸術劇場で、ひばりさんのフィルムコンサート「不死鳥は永遠に」を開催する。ナビゲーターは長男で、ひばりプロダクション社長の加藤和也氏。ひばりさんの素顔が分かる秘話などを紹介する。
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