
東京都在住のHさん(40代)は、地方の小さな町で生まれ育ちました。一人っ子だったこともあり、家族や親戚からは地元の大学に進学することを期待されていましたが、田舎の生活にうんざりしていたHさん。都会への憧れが強く、東京の大学へ進学しました。両親の期待を裏切るかたちでしたが、それでも新天地で新たな人生をスタートさせたかったのです。
【漫画】東京では安全校まで不合格…まさかご先祖様に祈ったから?(全編を読む)
Hさんが東京に出た後も、両親や親戚からは「いつでも帰っておいで」「就職は地元の企業にしたら?」などと言われ続ける日々。東京での生活が充実すればするほど、地元の家族とは次第に疎遠になっていきました。
大学卒業後も東京で就職し、結婚。そして子どもが生まれました。しかし、息子の中学受験をきっかけに、地元とのつながりを再考することになります。
息子の中学受験と地元の超進学校
Hさんの育った町には、全国的にも名の知れた私立中学の進学校がありました。親戚の多くもその学校を卒業しています。
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東京の中学校の受験対策はずっと続けてきましたが、地元の進学校については特に対策していませんでした。それでも、実力試しとして受けてみるのもいいし、何より地元の名門校に合格すれば、ふるさとから離れがちな自分の代わりに、家族や親戚を喜ばせることができるのではないかと考えたのです。
受験を控え、久しぶりに帰省する田舎町。今まで子どもと一緒に帰省する機会も少なかったので、親戚にも挨拶をし、息子と一緒に先祖の墓参りをすることにしました。
「◯◯中学校を受けにきたよ。合格できますように」
思わずご先祖様にも願った試験の合格。この学校の受験をステップにして、東京の受験だってきっとうまくいくはず。そんな期待を胸に、受験当日を迎えました。
結果は見事合格。ホッとしたのも束の間、いよいよ本命の東京受験が始まりました。
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予想外の結果。東京の受験でまさかの…
東京では4校を受験。どれも息子が憧れていた学校で、模試の判定でも合格圏内に入っていました。しかし、試験結果はまさかの全滅。安全校も含め、すべて不合格となりました。
「こんなことがあるのか…?」とHさんは愕然。地元の進学校の合格という親戚が喜ぶ結果を得た一方で、Hさん自身は「息子には東京の学校に進んでほしい」という気持ちを持っていました。
もし地元の学校に進めば、寮生活となり、家族は離ればなれになります。どちらに進学するべきか、息子に判断を委ねるには、まだ12歳という年齢はあまりにも幼いように感じました。
そんな葛藤の中、ふと墓参りで自分が祈ったことを思い出し、思わず天を仰ぎました。まさかご先祖さまの仕業だったらどうしよう。怒りともつかない感情が込み上げ、思わず毒づいてしまいました。
「地元の学校に合格するようにはお願いした。でも、東京の受験まで全滅するなんて頼んでいない!そんなことするくらいなら、もう一生地元にも帰らない!お墓参りもしない!」
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家族の決断、そして「奇跡」のお知らせ
そんなHさんのもとに2日後、突然東京の1校から補欠合格の連絡が入りました。
「嘘でしょ?」と思いながらも、家族全員がその知らせに驚き、喜びました。小学校から帰宅した息子も一瞬信じられない様子で、目を丸くしていました。その瞬間、Hさんはふと思いました。
「これももしかして…お墓参りしたご先祖さまの力なのか?」
なぜ東京の受験校は全滅だったのか。そして「こんな結果では二度と地元に帰らない」と、心の中で怒った途端に補欠合格…。これも何か不思議な縁があったのかもしれないと感じました。
最終的に家族で話し合い、息子は東京の学校へ進学することを決断。地元の進学校の合格は確かに誇らしいものでしたが、何よりも「家族一緒にいたい」という思いが勝りました。
そして、Hさんはあの日の「先祖の呪い」のような出来事が、今でも忘れられません。Hさんにとって今回の経験は「人生の決断は自分で下すもの」だと改めて実感するきっかけになりました。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
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