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従業員の退職が原因となり、経営破綻する企業が増えている。帝国データバンクが調査結果を発表し、2024年は「従業員退職型」の倒産が87件で、過去最多だった。IT産業や老人福祉施設をはじめとする「サービス業」や「建設業」など、人材の定着率に課題を持つ業種で多く発生した。
従業員や経営幹部などの退職が直接・間接的に起因した従業員退職型の倒産が、前年(67件)から20件増加した。多くの産業で人手不足感がピークに達した2019年(71件)を大幅に上回り、集計可能な2013年以降で最多を更新した。
業種別に見ると、最多は「サービス業」(31件)。2019年以来、5年ぶりに最多となった。中でも多いのがソフトウェア開発などIT産業や、人材派遣会社、美容室、老人福祉施設などだ。いずれも人材の定着率が他産業と比べて課題とされる。
業種別の2位は「建設業」(18件)。設計者や施工監理者など、業務に不可欠な資格を持つ従業員が退職し、事業運営が困難になった企業が目立った。この他「製造業」と「運輸・通信業」(各12件)が初めて年間10件を超え、工場作業員やドライバーの退職で事業がままならなくなったケースも相次いだ。
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長期化する物価上昇に対し、働き手の賃上げを求める声は強まっている。こうした流れを受け、継続的な賃上げを検討する動きが大企業から中堅・中小企業にも広がってきた。一方、賃上げしたくても収益力が乏しい中小企業も多く、帝国データバンクは、待遇改善ができずに人材が流出する「賃上げ難倒産」が2025年に増加する可能性を指摘している。
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