冬ドラマ名演俳優ベスト3。“日曜劇場”の21歳も圧巻だけど、NHKの“彼” がNo.1!

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2025年03月21日 16:10  女子SPA!

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画像:木戸大聖Instagramより
2025年の冬クールドラマが続々最終回を迎えています。毎クールのドラマチェックを欠かさないアラフォー筆者が、この1月クールで「今後の活躍が楽しみ!」と、期待が高まった俳優さん3人をご紹介します。

※以下、各ドラマの一部ネタバレを含みます。

◆奥平大兼『御上先生』

まず触れたいのは、若手俳優陣が多く出演する日曜劇場『御上先生』(TBS系)のなかで名演を見せている奥平大兼(21)。文科省のエリート官僚・御上孝(松坂桃李)が教鞭をとることになったクラスの生徒・神崎拓斗を演じています。

神崎は報道部の部長で、ジャーナリスト志望。第1話から「御上先生は犯罪者」と校内新聞で報じたほか、常盤貴子演じる冴島悠子の不倫を校内新聞でリークして教師退職に追いやった過去をもつなど、物語の主軸を担っています。

◆静かな闘志を瞳に宿し、ベテラン勢と正面からぶつかる

神崎はクールで喜怒哀楽を表に出さないタイプでありながら、カリスマ性をもつという人物設定。相反する感情が入り混じった複雑な気持ちを、彼の「瞳」から感じることができます。新聞記者の父親には尊敬と反発。未熟さを指摘してきた御上には悔しさと苛立ち。彼が大人たちに向ける眼差しは、こちらが居ずまいを正されるほどに鋭いのです。

松坂桃李、堀田真由、そして常盤貴子といった演技派俳優を前にしても、臆することなく真っ向からぶつかっていく姿には誰もが惹きつけられます。それもそのはずです。奥平は映画『MOTHER マザー』において、母親(長澤まさみ)との関係に翻弄される息子という難しい役のオーディションに演技未経験で挑んだとか。そして役を勝ち取り、演じ切った逸材です。第44回日本アカデミー賞をはじめ、多くの新人賞を総なめにしました。10代とは思えない、あの諦念の表情を忘れることはできません。

そこから映画やドラマで着々とキャリアを重ねている奥平。5月には出口夏希とダブル主演作の『か「」く「」し「」ご「」と「』が公開され、8月公開の竹野内豊主演の映画『雪風 YUKIKAZE』への出演も発表されています。底知れない実力で、これからも私たちを驚かせてくれることでしょう。

◆森崎ウィン『ふたりソロキャンプ』『クジャクのダンス、誰が見た?』

主演でも助演でも光を放っていたのは森崎ウィン(34)。主演を務めた『ふたりソロキャンプ』(TOKYO MX)では、孤独を愛する生粋のソロキャンパー・樹乃倉厳を。主人公・山下心麦(広瀬すず)が弁護士・松風義輝(松山ケンイチ)とともに父・春生(リリー・フランキー)の殺人事件と過去の冤罪事件の真相を追う『クジャクのダンス、誰が見た?』では、松風の幼馴染で1番の理解者として彼と心麦を支える弁護士・波佐見幸信を演じています。

森崎はさまざまな作品に、とても自然に存在している俳優です。筆者が彼を真に認識したのは、映画『蜜蜂と遠雷』。貴公子としての気高さと音楽家としてのひたむきさを見事表現していました。しかし振り返ってみると多くの作品に出演しているではありませんか。それは彼自身が主張しすぎずに作品にフィットしている何よりの証です。変幻自在な、まさにカメレオン。

◆まったく別人のキャラを同クールで演じ分け

この冬クールの2つの出演作においても「あれ? どっちも森崎ウィンなの?!」と驚くほど別人です。『ふたりソロキャンプ』では、孤独を愛するためかあまり多くは喋らずクールな佇まいですが、心の声と表情だけでキャンプへの情熱を表現していました。

一方の『クジャクー』では、緊迫した展開が続く作品の唯一の“癒し”といっても過言ではないキャラクター。誰もが疑わしく見えるサスペンスドラマのなかで、視聴者が絶対的に信じられる人物は不可欠な存在です。その役割を森崎は見事に担っています。不穏さを一切感じさせない彼の空気感は、信頼に足る人間であることを裏づけていて、登場するだけで安心させてくれます(これでまさかの真犯人だったらごめんなさい)。

この冬、ふたつの顔を完璧に演じ分けた森崎ですが10月には、向井康二(Snow Man)とのダブル主演映画『(LOVE SONG)』(日タイ共同制作作品)の公開が決定。世界的なBLブームを牽引したドラマ『2gether』の火付け役、チャンプ・ウィーラチット・トンジラーが監督を務めるオリジナルラブストーリーで、また新たな一面を見せてくれそうです。

◆木戸大聖『バニラな毎日』

筆者の中でこの冬一番印象的だったのが、NHK夜ドラ『バニラな毎日』に出演していた木戸大聖(28)でした。

夢だったパティシエ・白井葵(蓮佛美沙子)と図々しくて陽気な性格の料理研究家・佐渡谷真奈美(永作博美)がはじめたお菓子教室が物語の舞台。そのお菓子教室に通う、大人気バンドのボーカルとして活躍していた金髪のロックミュージシャン・秋山静を演じました。

第2週の初登場からインパクトがあった木戸。人気ミュージシャンである自分を知らない白井を前に、とまどいの表情から一転涙を流した姿には引き込まれました。飄々(ひょうひょう)としていながらも、曲を作るために恋愛に依存してしまったり、バンドメンバーと上手くいかなくなったり……もがき苦しんでいる面が見えてきます。役自身の心情はもちろん、対峙する相手への気持ちや想いを繊細に表現していたのが印象的でした。

◆役の想いを伝えた、感動の歌声

何でも自分ひとりで抱えてしまう白井を自分と似ていると感じ、「あなたには愛を感じない」と厳しい言葉を投げかけた際。彼女を見つめる複雑で些細な表情の変化には目を見張るものがありました。そして何といっても感動したのは、第7週で復帰ライブの舞台に立った静の歌唱シーンです。苦しい想いをしたからこそ、白井という同志に出逢えたからこそ生まれた曲。彼の表情や仕草、声色からすべての気持ちが伝わるパフォーマンスでした。

また今年2月から公開中の映画『ゆきてかへらぬ』では天才詩人・中原中也を演じ、悪魔のような無邪気さと狂気を見事に体現。広瀬すず・岡田将生との三角関係のなかで圧倒的な存在感を放っていました。話題作のドラマ・映画への出演が続いている木戸。これからますます輝いていくことでしょう。

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主演助演を問わず、作品のなかで驚くほどの光を放つ俳優さんはとても多いです。これからもドラマのなかの名演を見逃さないようにウォッチしていきたいと思います。
<文/鈴木まこと>

【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201

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