吉永小百合が坂本龍一さん楽団演奏会で80歳の思い語る「どうやって生きていこうか岐路にある」

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2025年03月21日 19:07  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

「坂本龍一の芸術世界『東北ユースオーケストラ演奏会2025』」で朗読する吉永小百合

23年3月28日に71歳で亡くなった音楽家の坂本龍一さんが、東日本大震災で被災した東北の復興支援を目的に13年に立ち上げ、音楽監督を務めた「東北ユースオーケストラ」が21日、東京・サントリーホールで演奏会を開いた。


「坂本龍一の芸術世界『東北ユースオーケストラ演奏会2025』」と題した演奏会には、坂本さんと海外で朗読を行うなど親交が深く、16年から参加する吉永小百合(80)が登場し、8回目の朗読を行った。終演後、日刊スポーツなどの取材に応じた吉永は、8日前の13日で80歳になったことに触れ「これから、どうやって生きていこうかという、すごく岐路にあると思う」と言及。24年9月に夫の岡田太郎さんが94歳で亡くなったことを踏まえ「1人になってしまったということもあるので…しっかり自分をコントロールして生きていく大変さを、つくづく感じています」と現状を語った。


吉永は、詩人・和合亮一さんら平和を願う福島、広島、沖縄の3編の詩を朗読した。坂本さんの在りし日は、坂本さんのピアノの演奏に合わせての朗読だったが、今回は3曲中2曲を、生前の坂本さんのピアノ演奏データをグランドピアノの自動演奏機能で再生し、再現したものに合わせての朗読となった。「今までは、坂本さんが私の朗読に音をつけてくださった。それができないので、坂本さんの古い音源を探して、そこに調整するという、なかなか大変なことになっていました」と口にした。


その言葉とは裏腹に、映画のスクリーンの中にいるかのように、平和への思いを情感を込めて読み上げ、ピアノの自動再生の終了にピタッと着地させて読み終える、匠(たくみ)の技を見せた。その裏には、妥協なき練習があった。「懸命に練習しました。天国から(坂本さんが)いろいろ指導してくださっていると思ってやりました」と笑みを浮かべた。


今年で日本は戦後80年を迎え、自身も80歳になった。記念すべき年では? と聞かれると「皆さんが、すごい年齢になったのをお祝いしてくださった。しっかりしなければいけない」と笑みを浮かべた。その上で「自分で思ったこと、考えたことが行動に移せるような人間として、もう少し、いかなければいけないと、自分に、かせを課していかなければいけない。1人にになってしまったということもあるので…その両方、あるので」とも語った。


◆東北ユースオーケストラ 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の小学生から大学生までを集めた楽団。被災地の学校の、楽器の点検、修理のプロジェクトがきっかけで、13年に宮城県松島町で開かれた音楽祭「Lucerne Festival ARK NOVA 松島2013」で、坂本さんが音楽家の大友良英氏と共演したことで企画。翌14年には、坂本さんが社団法人化して音楽監督に就任も、同年7月に中咽頭がんを公表して活動を休止。翌15年に団員を公募し、集まった105人が練習を続け16年3月に都内で第1回演奏会を開いた。今回の演奏会に参加した団員は86人。

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