「検事の行き過ぎた責任感」=不適正聴取、最高検が原因分析―「意欲低下の恐れ」懸念も

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2025年03月23日 07:31  時事通信社

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 不適正な取り調べが相次いだことを受け、最高検は昨年12月、原因と対策を取りまとめ、全国の検察庁に周知した。原因を「検事の行き過ぎた責任感」などと分析したが、識者からは「取り調べへの意欲が低下しかねない」などの懸念も出ている。

 「検察の独自捜査を取り巻く環境は極めて深刻な状況にある」。昨年12月、最高検は全国8カ所の高検に、不適正な取り調べの原因や再発防止策をまとめた内部文書を出し、管内の地検にも周知するよう求めた。作成段階では東京、大阪、名古屋の各地検特捜部長らを集めた異例の会議も行われたという。

 文書では、原因について「取り調べ担当検事の行き過ぎた責任感や能力を評価されたいという功名心などが考えられる」と分析。決裁官や主任検事が自白に固執し、供述が得られることを高く評価すれば、担当検事の責任感や功名心を増大させかねないとの懸念も示した。

 対策として「自白に固執しない」「誹謗(ひぼう)中傷や罵詈(ばり)雑言の類いは固く禁じ、相手の人格を常に尊重する」などと記載。さらに、供述が得られなくても責めるような態度は慎み、取り調べ手法が優れていれば積極的に評価することも求めた。

 ある検察幹部は、自白を引き出す重要性を踏まえつつ、「時代に合わないような古い検察の風土はできるだけ変えなければならない」と強調した。

 元検事の高井康行弁護士は「事件の解明に向け、真相を語ってもらうための説得を必要とする取り調べで、相手を侮辱したり人格を否定したりすることなどは明らかに誤りだ」と話す。

 その上で、最高検の取りまとめについて「責任感や使命感は検事に必須で、制約がさらに進むと意欲が低下しかねない。『行き過ぎた責任感』の定義は難しく、文字で示すだけではなく口頭で丁寧に説明すべきだ」と指摘。「取り調べの前提となる事件の見立てに間違いがないかといった捜査の見直しも必要だ」と述べた。 

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  • 責任感ではないだろう。起訴して有罪を取ることが出世につながる。無実の者を有罪にすることが冤罪を犯すことより評価される、そんな組織文化があるのだ。解体せよ。
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