闇営業騒動から5年、カラテカ入江が“従業員の裏切り”から得た教訓。「あんたも吉本さん裏切った」と親から言われて

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2025年03月23日 09:01  日刊SPA!

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入江慎也
2019年6月に、いわゆる闇営業騒動が発覚したことで芸能界を離れたカラテカ・入江慎也氏。
芸能界引退の翌年に起業し代表を務め、今年5年目を迎える清掃会社「ピカピカ」は全国に34店舗フランチャイズ展開中だ。従業員を10人を抱えるなど、事業拡大を続けている。

芸人を辞め、経営者としての活躍が目立つ一方、2024年末には「スタッフに裏切られた」というポストがネットニュースなどに取り上げられ話題になった。

今回入江氏に、会社経営の難しさや、従業員との関係性について、また、激動の5年間を生きる中で得た教訓をまとめた著書『絶望の淵で得た、人生を諦めないための教訓』について話を聞いた。

◆芸能界引退から起業までに得た教訓を詰め込んだ

入江氏の著書『絶望の淵で得た、人生を諦めないための教訓』は、完成までにおよそ5年の月日を擁した。書籍の執筆期間としては異例の長さだ。

「芸能界を引退した直後に担当の編集者さんからお話をいただいたんですが、かなり時間がかかってしまいましたね。というのも、芸能界を辞め、アルバイトを経て会社を立ち上げるまで、どんどん状況や心境が変わったので、書く内容も変わっていったんです」

時間はかかったが、「誰かの背中を押せるかもしれない本になった」と入江氏は続ける。

「この本に記したのは、僕が仕事を失ってから、また這い上がろうとする実体験から得た教訓です。僕ほどどん底じゃなくても、勇気が出なくて新しい一歩を踏み出せないという人は、何かヒントになるかもしれないなと思っています」

入江氏の言葉通り、読者からの反応も上々なようだ。

「多くいただける感想は『思考の変え方が勉強になった』という声。事情や環境は人それぞれですが、僕がまったく違う道に進むなかで感じたり気づいたことに共感できる部分があったんだと思います」

◆芸能界への未練は「普通にありますよ」

芸能界からキッパリ引退し、清掃会社ピカピカの代表として多忙ながら充実した日々を手にした入江氏。過去の生活に、未練はないのだろうか。

「普通にありますよ(笑)、というか未練がない人っていなくないですか? 清掃業の仕事が嫌というわけではありませんが、やっぱり芸能の仕事は楽しかったですから」

では、チャンスがあれば芸能界に戻りたいと考えているのか。

「いまは戻るつもりはないです。ピカピカが会社としてまだ途中ですし、ここで辞めてしまうと自分がやってきたことを否定するのと同じですから。中途半端に戻っても意味がないのかなと思います」

◆一度許したスタッフから再度裏切られ解雇することに

昨年末、入江氏はXに「スタッフに裏切られた」と投稿し、ネットニュースに取り上げられるなど話題になった。いったい何があったのか。

「事情があって詳細は言えませんが、普通なら一発で解雇になるレベルの会社に対する裏切り行為でした。発覚したときは『マジか』と信じられない気持ちでしたね」

実は解雇したスタッフは、以前にも解雇レベルの裏切り行為を行っていたそうだ。

「1回目の裏切りが発覚した際は、『気持ちを改めて頑張るなら』とチャンスを与えたんです。吉本から契約を解除された自分のようにどん底に落ちてほしくないという気持ちからでしたが、結局そのせいでさらに大きく裏切られた。甘かったですね……」

◆「あんたも吉本さんを裏切った」両親の言葉

正月に実家に帰った際、年末にそのスタッフを解雇したことを両親にも話したという。

「親からは『あんたも吉本さんを裏切るようなことしたんだから、会社側の気持ちもわかったんじゃないの?』と言われました。

この件がネットニュースになったときも、『因果応報だ』とも言われましたし、もちろんそれも仕方ないですが、裏切られるのって悲しいんだなと改めて思いました」

辛い年越しを過ごした入江氏。しかし、ある言葉で気持ちが軽くなったと話す。

「毎年年始の挨拶のメールを送っている先輩芸人が一連のニュースを見ていたみたいで、『悲しい出来事はいつか笑いに繋がるはず』と連絡をくれました。僕も元お笑い芸人として、いつかは笑い話にできたらなとは思ってます」

◆清掃ユニフォームにはスポンサーがびっしり。交友関係の広さは健在

芸人時代から交友関係が広いことで知られている入江氏。その繋がりは清掃業の受注や、ユニフォームのスポンサードにも一役買っているそうだが、何かコツのようなものはあるのだろうか。

「たとえば会食でご馳走になったら、必ず翌日に『ありがとうございました』と連絡を入れるようにしています。すごく簡単なことですが、仲良くなりたいと思ったら自分から連絡することが第一歩ですよ」

連絡を取るために、話題に上がったものを自分でも実行することも有効だと入江氏は続ける。

「会話のなかで、『あの映画、面白かったですよ』と聞いたら、仕事や本題に関係なかったとしても観て、感想をDMでもメールでもいいから送るんです。すると相手は『観てくれたんだ』となるじゃないですか、もうその時点で少し距離は縮まってるんですよね」

人間関係も仕事も、どれだけ本気で向き合えるかが重要だという。

「人によっては『媚を売ってるんじゃないか』と思われるかもしれませんが、そもそも僕は人が好きなので、仲良くなりたくて行動しているだけ。ピカピカの社長としてもそうですが、本気で行動すれば未来は変えられますよ」

◆「一番やりたいことを我慢する」ことで見つかるヒントもある

最後に、新刊のテーマでもある、新たな一歩を踏み出すためのアドバイスを聞いた。

「自分が一番やりたいことを我慢することで、進むべき道やヒントが見えるかもしれません。僕も吉本を契約解除になった際、フリーで芸人として活動をできたかもしれませんが、やる勇気がでなかったし、やる資格がなかったです。

全く違う道を選んだらピカピカという会社を作ることができました。

人間、どうしても楽な方に行っちゃうんですよ。でもそこを我慢して、諦めずにトライしてみる。諦めずにやればできるはず」

著書のあとがきを「自戒と反省を込めて」という一文で締めくくった入江氏。人生を諦めずに過ちから再起を果たした彼の姿が、誰かの光になるかもしれない。

<取材・文・撮影/松嶋三郎>

【松嶋三郎】
浅く広くがモットーのフリーライター。紙・web問わず、ジャンルも問わず、記事のためならインタビュー・潜入・執筆・写真撮影・撮影モデル役など、できることは何でもやるタイプ。Twitter:@matsushima36

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