「大学を楽しみたいなら部活はNG」と東大生が断言するワケ。「“実家が太い人”の苦労体験コーナーにすぎない」

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2025年03月23日 16:01  日刊SPA!

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布施川天馬
―[貧困東大生・布施川天馬]―
3月と言えば、様々な大学の合格発表が出そろう時期。大学生の卵たちが、未だ見ぬ大学生活を夢見て胸を膨らませます。

実は、入学準備から落とし穴はたくさん。大学生協が提供する「推奨PC」は、値段の割にスペックが釣り合っていないケースが散見されたり、入会自由の大学自治会がさも強制入会のように紹介されたり、「知らないと損すること」はたくさんあります。

◆大学入学前に知っておかないと損すること

東京大学の場合、第二外国語の選択なども当てはまるでしょう。クラス内の男女比率が1:1に近く、比較的明るく緩やかな雰囲気のフランス語、スペイン語に対し、中国語やロシア語はいわゆる”ガチ勢”が集う魔境。

3年生からの進学先を決める点数競争「進学振り分け」で有利を取るためには高い平均点が必要ですが、「優3割規定」という暗黙のルールによって、80点以上は上位30%の学生にしか配られないなんてことも。

周りの学生のレベルが高いと、高評価を得ることが相対的に難しくなります。言語選択から、すでに進学振り分け競争は始まっている。

大学は研究機関ですが、同時に人生の可能性を探る時期でもあります。サークルに入ったり、ボランティアに参加したり、バイトに精を出したり、様々な活動に手を出せることもこの時期の強み。

どの団体も良くも悪くもつながりが緩いため、複数コミュニティに参加する余裕ができます。

ただ、そういった未来を夢見るならば、大学で部活には所属するべきではないでしょう。私自身は、東京大学の運動会(他大学で言う体育会)に所属する応援部に入っていましたが、これが非常に厳しかった。

今回は、大学の部活の歪さについてお伝えします。

◆大学の部活動は聞こえのいい「地獄」

東京大学のサークル勧誘列「テント列」は、入学手続きの日に行われます。各種手続きを終えた学生たちを、先輩たちが優しく勧誘する仕組み。

この列の順番は毎年くじ引きで決まりますが、不思議と応援部は毎年必ず先頭に来ます。それを知らない新入生は、チアリーダーの華やかな女性たちに迎えられて有頂天になりながら、テント列へ参入する。

ここは「お客様」を勧誘する場所です。なので、どの部活も「うちは緩いよ! 楽しいよ!」といい部分だけを前面に押し出します。

「練習は週に3日だけ!」「先輩がいつもご飯をおごってくれる!」「自主的に部活を運営するからガクチカ(履歴書欄の「学生時代に力を入れたこと」の略称)ができる!」「OBOGとのコネがあるから就活に強い!」など。

もちろん、これには裏があります。例えば、私の所属していた応援部吹奏楽団の場合「練習は週3日だけ!」は本当でしたが、これにプラスして土日は応援活動が、ほかの日も自主練習が入ったので、結局週5〜6日は部活がありました。

もちろん「バイトや他のサークルがあるから休ませて」なんて言えません。

◆暗黙の了解として「五限の授業」を取ってはいけないワケ

応援部チアリーダーの練習を見学した時には、練習後のミーティングで遅刻者が「五時間目の授業のせいで練習に遅刻しました。皆様には多大なるご迷惑をおかけしました。大変申し訳ありませんでした」と謝る様子を目にしました。

そもそも僕が所属していた当時は、暗黙の了解として「五限の受講」は「申し訳ないこと」でした。

先輩がご飯をおごってくれるのはもちろんそうですが、これは「面倒見がいいから」ではなく、「先輩がおごるべき」という不文律があるからです。自分が先輩になったときは、やはり後輩におごらなくてはいけない。

「部活を自主運営する」のは、「部活以外に様々な運営に関する業務が発生する」ことを意味します。結果として、練習時間以外の稼働時間が発生し、自分の時間はさらに減る。

内部は今時珍しい完全な年功序列で、上級生は下級生に対して絶対の権限を持ちます。

特に最高学年である4年生の権力は別格で「神」とも称される。3年まではゴミ扱いで、4年生以外に価値は認められません。これは実力に関係なく、明らかに下級生のほうが実力を持つケースでも崩れません。

◆実家が太い人たちの「苦労体験学校」のよう

時間がないので、まとまった時間アルバイトをするのも難しい。そのくせ、部費や活動経費(応援場所までの交通費は原則自腹です)、後輩へのおごり代などでどんどんお金は消えていく。

そのため、少なくとも東大の応援部に関しては、実質「東京出身者」と「実家が太い地方出身者」しか入れません。地方から出てきて一人暮らしの資金を稼ぎながら、部活動もしっかり参加するのは、ほぼ不可能です。

東京出身の私ですら、奨学金を借りていなければ、学費を稼げず入部は事実上不可能でした。ある程度実家が太い人たち向けの「苦労体験コーナー」と化しているのが現状です。

応援部時代は、どうして先輩や同級生が、必要もない苦労を自ら進んで背負いに行くのかが不思議でたまりませんでした。

ただ、今ならなんとなくわかります。箱入りの子どもたちにとって、ちょうどいい「世間の厳しさ」を教え込まれる教練学校のような役割を果たしていたのでしょう。

応援部の所属部員には、「親が応援部」のパターンも多い。礼儀と苦労を叩き込むなら、これ以上安心できる環境はありません。

都会生まれの人間が1週間くらい田舎に行って「田舎の暮らし」を体験するようなもので、本当に苦労をしたいわけではありません。本当に苦労をしたことがある人間なら、不要な苦労を自ら背負いに行くはずもありませんから。

◆OBOGとのコネは存在。就活に強いのは事実

OBOGとのコネがあるから就活に強いのは事実です。応援部ではありませんが、ある別の部活の紹介を受けていた時には「一流企業の面接で有利!なぜなら裏でOBが口をきいてくれるから!」なんて言われたこともあります。

そんなOBがいるのか、そこまで仲良くなれるのかはわかりませんが、事実として私は、いわゆる「一流企業」で重役をされる先輩方と、年に数回ごはんに行く機会を頂いていました。

大学の部活に入れば、就活で有利になる。部活の経験は、世代を隔てた共通言語として先輩と後輩のコミュニケーションを円滑にし、他の学生よりも話が通りやすいから、会社側からの採用優先度が上がるためです。

ただ、部活に参加するためには、事実上実家が太い必要がある。結局この部活を中心としたリクルーティングシステムも、結局「金持ちの子どもが金持ちに」の再生産を助長しているようにしか見えません。

大学の部活は高校までと違って、ほぼそれ一本の生活スタイルを強要されます。それでも部活に入りたいと思うのであれば、私は止めません。ただ、そのためには様々なことをあきらめる必要があるでしょう。

何を選択するかも、大学生活の醍醐味。ぜひ自分の人生にとって何が良いか、考えてみてください。

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

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  • 何だろ。発想が貧相だなぁw 東大生ってピアノを習ったことのある人が5割を超えるという。それは金に余裕があるという以外に、人生には教養や娯楽が
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