
心がザワザワしています。それほど、2025年が始まって2カ月がたちましたが目まぐるしい世界。
トランプさんがアメリカ大統領に就任されることで、何か期待をしていた自分がいました。
ウクライナとロシアをはじめ、ガザとイスラエル、他にも数多くの戦争に終止符が打たれるのではないかと。
トランプ大統領を支持しているわけではないですが、今の世界情勢に対応できる強いリーダーはやはりアメリカであり、大統領の思考は世界情勢に影響してくる。
そういう意味でもトランプ大統領の存在は大きい。就任してから移民問題をはじめ、メキシコ、カナダ、関税など、毎日報道でトランプ大統領の姿や言葉を耳にしている。決していい気持ちにはなっていません。
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「対話」というよりも「脅し」に近い外交をされている印象。自国民の生活をも苦しめるのでは?と思いますが、その狙いはまだわれわれには分からない。
これが経営者の戦略なのかもしれない。言動や行動に全て裏がある。それがトランプ大統領の作戦。
そんな中、心が特に痛んだシーンがあります。ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談。
この会談は、2カ国のやりとりという単純な話ではなく、現在の世界情勢を映し出す一つの象徴のようにも見えました。
なぜなら、ウクライナとアメリカ、そしてその周囲の国々は、それぞれ異なる立場で大きな変化を迎えています。
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ウクライナ戦争の行方、アメリカの外交姿勢、そして世界のパワーバランスの変化。これらを考えると、今回の会談は単なる「政治ニュース」以上の意味を持っているのかもしれません。
ウクライナはロシアとの戦争が続く中で、支援なしには戦いを続けられない。そこで、ゼレンスキー大統領は「ウクライナの支援を続けてほしい」というメッセージを伝えたかった。
一方のトランプ大統領は、この会談だけではなく、石破首相の時にも感じたのですが、会談を通じて「自分は外交の中心にいる」という印象を世界に与えたかったのではないでしょうか。
「バイデン政権よりも自分の方が優れた外交政策ができる」というアピールの場に今回もなった印象です。
正直、かつてアメリカは「世界の警察」と呼ばれ、国際社会を主導する立場にあった印象が私にはあります。しかし、近年のアメリカは国内問題の優先を強めているように思います。
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世界が「アメリカに依存」することから抜け出し、新しい時代に突入しようとしているのでは?
そう考えますと、ゼレンスキー大統領がトランプ大統領と会談をしたのは、単なる支援のお願いだけではなく、変わってゆく国際社会の政治の中でウクライナがどのように生き残るべきかを探る意味合いもあったのではないでしょうか?
個人的な考えではありますが、この会談を通じて改めて感じるのは、「世界は今、大きな変化の時期に入っている」ということ。
アメリカの動向一つで、ウクライナ戦争の今後も、ヨーロッパやアジア、日本の安全保障も考えなくてはいけない。
この変化の中で、日本はどのような外交戦略を取るべきか?
一人一人の生活にも関わってくる話であり、単なる「外国の話」ではなく国と国の問題が国民に降りかかってくるので、常に政治や外交に私たち一人一人も関心を持ち続けることが本当に大切なのだと思っています。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 11からの転載】

サヘル・ローズ / 俳優・タレント・人権活動家。1985年イラン生まれ。幼少時代は孤児院で生活し、8歳で養母とともに来日。2020年にアメリカで国際人権活動家賞を受賞。