
3月20日に放送された情報バラエティー特番『潜入!リアルスコープ』(フジテレビ系)が波紋を広げている。
昭和vs令和リアル駄菓子ランキング
この日の特集は「昭和vs令和リアル駄菓子ランキング」。そこで令和世代の第10位として紹介されたのが、細長いスティックタイプの「こんにゃくゼリー」だった。昭和からある人気の食べ物だが、今でも1本10円という手軽さと、カラフルでプルプルとした食感が子どもたちに支持されているのだという。
番組ではこれを作っているお菓子メーカーに潜入。知られざる製造工程に密着した。その後、「さらに美味しく食べる方法が……?」というナレーションが入ると、21歳の女性が街頭インタビューに答えて「よく棒のこんにゃくゼリーを凍らせて食べてました」「シャリシャリして美味しい」「アイス感覚で食べてました」と懐かしそうに答えていた。
続けて再びナレーションが入り、「冷凍庫で凍らせれば、“もちシャリ”食感を楽しめちゃいます」と紹介。このVTRをスタジオで見ていた南海キャンディーズ山里亮太は「めちゃくちゃうまい、凍らせたら」と言い、ハナコ岡部大も「美味しい、うんうん」とうなずき、松本明子もそれを聞いて「いいかも!」と興味津々だった。
ところが、この放送にSNSでは冷ややかな声も。
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《テレビで凍らせるのをすすめる発言はダメなんじゃ?》
《こんにゃくゼリーは凍らせてたべるのオッケーなん?》
《喉に詰まるよ…死ぬよ》
など安全性を危惧する声が寄せられたのだ。食品ライターはこう話す。
「今回紹介された製造メーカーとは違うものの、実はこんにゃくゼリーは、過去に凍らせた状態で食べたことで窒息事故が多発しています。国民生活センターによれば、それは主に幼児や高齢者が占められています」
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衝撃を与えた2008年の事件
中でも2008年の事件は衝撃を与えたという。
「兵庫県で1歳9か月の男児が祖母から与えられた、ポーション型の凍らせたこんにゃく入りゼリーを喉に詰まらせ、搬送から約2か月後に亡くなった事故は大きな社会問題に発展しました。遺族は製造元に対して損害賠償を求めて提訴。企業側の安全対策が不十分だったとして、製品の危険性とその周知不足をめぐる責任が問われたのです」(前出・食品ライター)
その後、このメーカーは国民生活センターの指導により、外袋のみならずカップのシールにも警告マークをつけたり、原料のこんにゃく粉を減らして軟らかくするなど対応に追われた。
「今回のメーカーに落ち度はありませんが、過去に訴訟にまで発展した重大なケースを考慮すると、テレビ番組で軽々しく“美味しい食べ方”として紹介することには慎重さが求められます。メディアには、美味しさだけでなくリスクにもきちんと触れる姿勢が必要です」(前出・食品ライター)
“懐かしのおやつ”の裏に潜む、深刻なリスク。再び悲劇を繰り返さないためにも、視聴者とメディア双方の意識が問われている。