12年の日経賞を制したネコパンチ(撮影:下野雄規) 関東の穴男といえばこの人だろう。2月に53歳となった江田照男騎手。関東では柴田善臣騎手、横山典弘騎手、内田博幸騎手に次いで4番目の年長ジョッキーとなる。
江田照男騎手は重賞で単勝万馬券を3回も出しているが、直近の一発が12年の日経賞だった。曇り空の下、重馬場で行われた一戦。単勝1番人気は前走のAJCCを制していたルーラーシップで1.4倍。2番人気は前年の日本ダービーと菊花賞で2着だったウインバリアシオンで6.3倍。3番人気以下は単勝10倍以上で、平穏ムードが漂っていた。
しかし、レースは蓋を開けてみるまで分からない。主張してハナを奪ったのは単勝12番人気、167.1倍のネコパンチと江田照男騎手だ。グングンと後続を引き離し、正面スタンド前で早くも10馬身以上の大逃げとなる。
2番手以下は金縛りにあったように動かない。向正面半ばで差は20馬身に開いただろうか。どよめくスタンド。3角過ぎからルーラーシップ、ウインバリアシオンなどが追い上げを図るものの、道悪も影響したのか、なかなか差が詰まらない。
迎えた直線、ネコパンチが二枚腰を発揮すると、残り200mでは勝負あった。2着のウインバリアシオンに3馬身半差をつけて、悠々と逃げ切ってみせた。
この14年前、98年の日経賞では単勝355.7倍のテンジンショウグンを勝利に導いていた江田照男騎手。同一重賞で2回目の単勝万馬券という偉業を達成し、穴男の面目躍如となったのだった。