青木さやかさんが明かす、長年疎遠だった母との和解「父の死で後悔したことを、繰り返したくなかった」

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2025年03月26日 09:21  日刊SPA!

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タレント・女優として活躍する青木さやかさん
「親の面倒は子が見るもの」という価値観が、私たちを苦しめる――。求められる仕送り、消耗する介護に、心身の疲労が蓄積し、もう疲れたと自ら望んで家族関係をフェードアウトする人々が増加中だ。その切実な胸の内を聞いた。
◆両親の離婚を機に母の見え方が一変

白か黒かで簡単に決められないのが人間関係。家族との仲に苦しみ、七転八倒しながら、最終的に和解へと到達する場合もある。タレント・女優の青木さやかさん(52歳)の場合がそうだ。

青木さんの両親は、共に教師。校長を務めたこともある母親は、幼い頃の青木さんにとって絶対的な存在だった。しかし、高校1年生のとき、両親の離婚を機に、母の見え方は一変する。

「母が大切にしていたのは世間体であり、その価値観から離婚はみっともないことだと思っていたはず。それでも両親が離婚を選んだのは……、『女』を優先したからだと私が勝手に思い込んだ。他にも背景はありますが、それまで信じていたものが崩れ、嫌悪感情につながりました」

両親の離婚後も、実家で母親と同居を続けていたが、家庭内での会話は激減。26歳のとき、お笑い芸人を目指して上京。お金が必要なときだけ母親に連絡する状況が15年近く続いた。

◆親子が登場しているVTRを見てつらい思いになることも

心の中で一方的に母と断絶する状態を続けながら、それでも、青木さんの気持ちが楽になることはなかった。

「母との関係が問題だという認識はずっと頭の片隅にある。だからといってすぐに解決できるとも思えず、心に蓋をしているような状況でした」

’00年代前半、「どこ見てんのよ!」のギャグで一世を風靡して以降は、バラエティ番組への出演も絶えなかったが、親子が登場しているVTRを見てつらい思いになることもあった。

「家族モノを見るときは心ここにあらずで……、何か答えねばというのは頭ではわかっている。でも本当は自分が大変な状況なので、目を背けたいという感情のほうが勝っていました。極端な言い方になりますが、母との関係に悩んでいた間、心の底から笑ったことはなかったと言っていいかもしれません」

心境の変化が訪れたのは’19年。悪性リンパ腫の抗がん剤治療を続けていた母親がホスピスに入ったことだ。動物愛護活動を共に行っていた知人の男性に状況を話すと「今が母親を大事にする最後のチャンスだ」と声をかけられた。

◆迷惑をかけた中でも母には謝りたかった

その当時の境地を、こう振り返る。

「私自身、人生の転機にあったことが大きいと思います。母が入院する前に私自身、肺がんを患った。死の可能性が視野に入ったとき、今まで迷惑をかけてきた方々に謝りたくなったんですね。その中でも、一番謝罪したかったのが母親でした。その2年前に、父親を看取った経験も大きい。父とは決して仲が悪くはありませんでしたが、最後の会話はけんかに近く、そのまま別れてしまいました。父の死後、そのことをすごく後悔していたので、繰り返したくないという思いが強くありました」

母親が亡くなるまでの約3か月間、青木さんは週に一度車に乗って、東京から名古屋の病院に通った。運転の最中は、病院でどう母に話しかけるかを考え、稽古を繰り返した。病床で「ごめんなさい、私は、今まで、いい子じゃなくて」と話しかけると、母親は「何言ってるの、さやかは誰よりも優しいでしょう」と青木さんに答えた。

「母は私の活躍を自慢げにホスピスの人たちに話し、私が病室を訪れる予定日はカレンダーに丸をつけていた。決して一直線ではなく、階段を2段上がっては1段下がるような、ジグザグとした苦しい日々でしたが、死後は母との距離が縮まっている感覚もある。たとえ死後でも親と『仲直り』はできると思っています」

◆関係を保留することに意味があるときもある

「家族じまい」という決断は、誰もが簡単にできることではない。グレーゾーンの親子関係に悩む人々にかける言葉はあるのか、最後に聞いた。

「人さまの親子関係に関して、私が何か申し上げるというのはおこがましい。ただ、関係を保留するのは決断の先延ばしではなく、『前向きなグレーゾーン』という見方もできると思います。最終的には、自分自身が一番楽になる方法を見つけてほしいです」

【タレント・女優 青木さやか】
1973年生まれ、愛知県出身。フリーアナウンサーを経て、芸人に。現在は中学生の娘を育てつつ、動物保護活動にも力を注ぐ

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[家族をもうやめた]人の肖像]―

このニュースに関するつぶやき

  • この人が実親との不仲を修復できたのは他に兄弟や親族が近くにいなかったことも幸いしたんじゃないの?特に兄弟。兄弟は他人の始まり。他人より厄介な問題。
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