2025スーパーGT岡山公式テスト HOPPY Schatz GR Supra GT 2025年のスーパーGTは3月15〜16日に岡山国際サーキットで公式テストが行われ、本格的なシーズンがスタートした。また同時にほとんどのチームの陣容が明らかにされており、2025年も楽しみなシーズンとなりそうだが、メカニカルな部分での興味深いトピックスをご紹介しよう。HOPPY team TSUCHIYAが走らせるHOPPY Schatz GR Supra GTのリヤエンドに、今季は楽しみな秘密がある。
■海外製が独占するギヤボックス市場
2023年の火災から復活を遂げ、2024年にシーズンを戦ってきたHOPPY Schatz GR Supra GT──通称『ホピ子II』。2月に富士スピードウェイで行われたGT300合同テストでは、そのリヤエンドに“秘密”があると土屋武士監督から語られていたが、岡山公式テストでその“秘密”がようやく語られるタイミングとなったことで、話を聞くことができた。
今季、HOPPY Schatz GR Supra GTはフレーム、サスペンション、駆動系などリヤエンドが90%新設計となっている。2024年12月に行われた最終戦から急ピッチで作業が進められ、2月のテストに投入された。それは、新設計のギヤボックスを搭載するためだ。
2025年、HOPPY team TSUCHIYAはこの新しいギヤボックスをトヨタとともに開発を進めながらスーパーGTを戦っていくことになる。まだまだ開発が始まった段階であり「走るたびに何かが起きている」という状態ではあるが、松井孝允、佐藤公哉というふたりからのフィードバックもセッションを重ねるごとに向上している。
このギヤボックスはいったいどんな狙いをもって投入されたのだろうか。これは、いまの日本のモータースポーツ界を取り巻く環境にも繋がっている。現在、スーパーGTで使用されているギヤボックスはGT3カー含めすべてが海外製である。HOPPY Schatz GR Supra GTも2024年までは海外製の6速シーケンシャルを使用していた。実質、レース産業が盛んなイギリスの寡占状態に近い。
HOPPY team TSUCHIYAのようにレーシングカーを作りたくても、納期を見通さなければならず、かつ価格も高い。アクシデントなどがあれば新しいものを導入しなければならず、実際にHOPPY team TSUCHIYAでは海外の中古のものを購入したり、火災から復活した2024年には、マザーシャシーのMC86から転用したものを使っていた。
そこで「レーシングカーの幹となるパーツのなかで、そういった国産のものがあれば、よりサステナブルなレース業界にすることができますよね」というプロジェクトが立ち上げられた。「我々のような町工場で作っているプライベーターにとっては、こういったギヤボックスが生まれたら、メチャクチャありがたい」という存在であるHOPPY team TSUCHIYAに白羽の矢が立てられ、協業に至ったというわけだ。