
「休みなくて、長時間があたりまえ」
「シフトをうめるためにいくら働いても、自分がきついだけ」
「コンビニの店長なんてただただいいように使われるだけ」
2022年7月にこうした遺書を残して自死したのは、大分県のセブン-イレブンで店長をしていた38歳の男性。
男性は6か月間で1日も休日がなく、男性の妻は過労で精神障害をきたしたと訴えて労災を申請し、2024年11月に連続勤務を原因とした労働災害と認定された。
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セブン&アイ・ホールディングスの労務管理
本部としての労務管理などについてセブン&アイ・ホールディングス広報は、労基署の判断内容は把握していないとし、「フランチャイズの個店に関わる内容で、本部として答える立場にない」などとコメントしたと朝日新聞に報じられた。
このコメントに対し、SNS上ではこのような意見も。
《名ばかり店長が過労死してもフランチャイズ本部が責任取らないなんて酷い話》
そこでセブン&アイ・ホールディングスに、なぜ「答える立場にない」のか、その根拠を聞いた。
「一部報道にありました『加盟店における労災認定』の件につきましてお亡くなりになられた加盟店従業員様、そしてご家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます」(セブン&アイ・ホールディングス広報)
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と故人、遺族に追悼の意を示したうえで、
「本案件につきまして、該当の加盟店従業員様と本部は、直接的な雇用関係にはなく、個人情報保護の観点からもお答えが叶わなかったこと、また、従業員様のご遺族からのご了承がなく、さらに、ご質問に係る労基署による労災認定の有無や判断内容等につきまして、お亡くなりになられた従業員様のご遺族及び労基署から情報等の開示を現在まで受けていない中でご回答を差上げました」(セブン&アイ・ホールディングス広報、以下同)
と「答える立場にない」と冷酷にも思える回答をしたのは、男性店長とは直接的な雇用関係にないこと、情報が不足していたためだと説明。
「あくまでフランチャイズ契約上は、従業員様の労務管理は加盟店の役割ではございますが、フランチャイズ本部としても非常に重要であると認識しており、これまでも加盟店オーナー様の個人事業主としての経営の主体性を尊重しながらも加盟店の適切な労務管理を支援する仕組みを提供し、問題が確認された場合については常に改善に向けたアドバイスを実施してまいりました」
と労務管理は加盟店の責任でありアドバイスはしてきたと述べ、再発防止の意志をこう表した。
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過重労働を把握
「今般の事案を受け、本部といたしましても、あらためて加盟店における労務管理についてのサポートを強化し、このような痛ましい事案が発生することがないよう再発防止に向けた対応に尽力してまいります」
男性店長の勤務時間データが本部に送信されていたことについては、
「勤務時間データに関しまして、本部は役割分担としてシステム提供を行う中で、オーナー様より給与計算に関わる勤務データを提供いただき、給与支払の代行を行うことで加盟店オーナー様の負荷軽減を図る仕組みを提供しています。
あくまで支払額計算の基礎データとしてのみ使用しており、他の目的でのデータ抽出・使用は行っておりません」
確かにオーナー側の責任かもしれないが、本部が「24時間営業」というビジネスモデルを展開していることで起こった労働災害ということを忘れてはならない。
勤務データはあくまで給与計算のためとしているが、過重労働を把握しておきながら、見過ごしたのは事実だろう。
「明日の笑顔を共に創る」をキャッチコピーにしているセブン-イレブン。
従業員を笑顔にすることに全力を尽くし、同様の悲劇を生まないことを切に願う。