
職場で配られるお土産やお菓子は、各地の名産や海外の特産品などもあり、家族にとってささやかな楽しみのひとつです。しかし中には、「これは本当にお土産?」と首をかしげてしまうようなものも混じっていることがあります。
【漫画】「ありがたいね」よく分からないモノを好意的に受け取ってくる、夫のことも解せません…(全編を読む)
夫が持ち帰った“お土産”に戸惑う
Sさん(埼玉県在住・50代)の夫は、国内外の取引が多い商社に勤務しています。そのため、試供品や出張先で配られたものを持ち帰ることも多いのですが、先日、なんとも言い難いものを手にして帰ってきました。
「これ、シンガポールのお土産らしいよ」
そう言って夫が差し出したものを見て、Sさんは思わず固まりました。
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透明のチャック付きポリ袋に、無造作に入っていた紅茶のティーバッグが4つ。
夫は特に違和感を持っていないようで、「部下が出張のお土産としてくれた」と満足げに話しています。しかしSさんの頭には疑問が浮かびました。
「これ、本当にお土産? 自分用に買って余ったものを分けただけでは……?」
夫は「おいしいらしいよ」と気に留める様子もありませんが、Sさんとしては、通常のお土産のように「未開封のパッケージ」ではないことが気になりました。
おそらく部下はパッケージを開封して小分けにし、自宅の透明チャック付きポリ袋に詰め直し、職場の人たちに配れるようにしたのでしょう。しかしそのために製造元や賞味期限が一切分からない状態に。得体の知れない状態のものを口にするのは、Sさんとしては抵抗があります。しかし、夫の職場での関係性に口を出すのも気が引けるため、モヤモヤした気持ちを抱えたまま受け取ることにしました。
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バレンタインデーの“謎の意図”
次に夫が持ち帰ってきたのは、バレンタインデーのチョコレート。毎年、取引先や部下などから義理チョコをいくつかもらってくるのですが、今年は特に気になるものがありました。
夫が差し出したのは、スーパーやコンビニでよく見かけるチョコレート菓子。ラッピングやリボンなどはありません。そして、そのチョコの袋には1枚の付箋が貼られていました。
「この前はランチをごちそうしてくれてありがとうございます! ハッピーバレンタイン!」
Sさんは戸惑いました。
これは「ランチのお礼」なのか、それとも「バレンタインのチョコ」なのでしょうか。いったいどちらなのでしょうか。
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夫に尋ねてみると、「さあ? でもバレンタインにもらったしね」と、あまり気にしていない様子です。毎年、義理チョコのお返しを準備するのはSさんの役割になっているものの、今回のように曖昧なケースでは、どのように対応すればよいのか悩まされます。
変化する「お土産」と「義理チョコ」の境界線
物価の上昇や時代の変化とともに、「お土産」や「義理チョコ」の概念も曖昧になってきたように感じます。以前は旅先の名物を選び、渡す相手のことを思って購入するのが一般的でしたが、最近では「とりあえず何かを渡せばよい」といった感覚が広がっているのかもしれません。
バレンタインの義理チョコにしても、「とりあえず渡しておけばよい」という風潮があるかもしれません。しかし、義理チョコはいくら形式的なものであっても、「相手への気遣い」として贈るものでした。今回のように「意図がはっきりしない」状態では、受け取る側としては対応に困ってしまいます。
夫の「受け取り力」に驚く
そしてSさんが驚かされるのは、夫がこうした“曖昧なお土産”や“定義が不明確なチョコ”を、まったく気にすることなく、むしろ喜んで受け取っていることです。
「ありがたいね」「気を遣ってくれているんだね」と、すべてをポジティブに受け止める夫に対し、Sさんは「これは本当にお土産と言えるのか」「バレンタインとして受け取ってよいのか」と疑問を抱いてしまいます。この温度差は一体どこからくるのでしょうか。
「とりあえず渡す文化」に翻弄される日々
Sさんは、何かをいただいた際には必ずお返しをすることが習慣になっているため、「とりあえず渡す・とりあえず受け取る」といった曖昧な関係への対応に、頭を悩ませることが増えてきたと感じています。
悩み疲れたSさんは、マイペースな夫を見習うことに決めました。今後は無造作に入れられた紅茶のティーバックでも、コンビニのチョコでも、笑顔で受け取ることにしようと決めました。それが、大人の処世術なのかもしれないと思ったからです。
そのかわり、よく分からないチョコにはホワイトデーのお返しなどは今後一切考えません。ただ…次回お土産をもらう時は、やはり箱パッケージ未開封のものをお願いしたいところです。
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あなたがもらって驚いたお土産などはありますか?
▼50代主婦 東京都
ハワイ旅行帰りのセレブな友人が「お土産だよ!」と渡してくれたのは、某ハイブランドの紙袋。中身をめちゃくちゃ期待したら、中に入っていたのはコスメの試供品。「買い物したら貰ったの!」と満面の笑み。いや、バッグとか財布とか期待してたわけじゃないけど、せめて買ったもの1つでも入れてほしかった。
▼40代会社員 千葉県
岩手県に旅行に行った友人が「超ミネラル天然水だよ!」とドヤ顔でくれたのが、ボトルに入った湧き水。ラベルなどはなく「私が汲んできたんだよ」とのことだったのですが、それって自分で楽しむものですよね。
▼50代会社員 広島県
知人からいただいた京都のお土産、高級そうな和菓子にテンションが上がったのも束の間。箱の裏を見たら賞味期限が昨日で切れてた。もしかして、もらい手がなくて最後に回ってきた⁉ と疑いましたが、自己責任で食べたら普通に美味しかったです。でも、できればフレッシュな状態で食べたかった。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)