米NVIDIAは4月15日(現地時間)、米証券取引委員会(SEC)に提出した文書で、米連邦政府から、中国および特定の国への高性能AIチップ「H20」の輸出に新たなライセンスが必要となるという通知を受けたため、2026年度第1四半期(2025年2月〜4月)の決算で、H20製品に関連して最大約55億ドル(約7200億円)の費用を計上する見込みであると報告した。
トランプ政権は、今回の輸出規制の理由として、規制対象の製品が中国国内のスーパーコンピュータに利用または転用されるリスクを挙げている。
H20は、米国の輸出規制に準拠するためにNVIDIAが設計した中国向けのAIチップで、2024年には推定120億ドルから150億ドルの収益を上げていた。このチップは、米国などで使用されている「H100」や「H200」と比較して相互接続速度や帯域幅が抑えられている。中国のAI企業DeepSeekは、AI開発でH20チップを使用していると報じられている。
今回の規制は、2022年以降、バイデン政権下で段階的に強化されてきたAIチップ輸出規制の流れを受けたものだ。今回の新たな規制では、H20だけでなく、H20と同等のメモリ帯域幅やインターコネクト帯域幅を持つ他の回路も対象となるなど、より厳しい内容となっている。
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トランプ政権は11日に、スマートフォン、コンピュータ、半導体を含む様々な電子製品に対して関税の免除措置を行うと発表したが、トランプ大統領や一部の当局者は13日、この免除措置は一時的なものであり、半導体セクターに別途関税を適用する計画の一部であると語った。NVIDIAが受けたH20チップの輸出規制も、この計画の一部とみられる。
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