7号車トヨタGR010ハイブリッドと50号車フェラーリ499P 2025年WEC第2戦イモラ トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ(TGR-E)のWECテクニカルディレクターであるデイビッド・フルーリーは、フェラーリがシーズン序盤から圧倒的な強さを見せていることを受け、WEC世界耐久選手権のタイトルが「シーズン半ば」で決まってしまうのではないかと懸念している。
先週イタリアで開催された『イモラ6時間レース』の決勝を5位と7位で終えたトヨタは、2台のGR010ハイブリッドが複数回の挫折を味わった後、2戦連続で優勝を狙うことができなかった。
「フルコースイエロー(FCY)については少し残念だった。7号車は燃料が尽きてしまい、エマージェンシーストップを余儀なくされた。タイムロスは少なかったもののトラックポジションを大きく失うことになった。これには少々困った」とフルーリーは語った。
「同じタイミングで8号車のブレンドン(・ハートレー)にFCYの手順違反があり、ドライブスルーペナルティが大きなロスとなった」
「結局のところ、この点ではクリーンなレースができたとは思っていない。最終的に達成できた以上のものを争えるような状況ではなかったのだ」
トヨタはバーチャルセーフティカー(VSC)導入中に2台の戦略を分けた。ピットタイミングを上位グループとずらしたセバスチャン・ブエミの8号車は、これによって見た目上の順位を落とした。
このクルマは最後の1時間をトップで迎え、事実上表彰台を争う一台となった。しかし、同様にポジションを下げていた50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)との激しいバトルのなかで2台は接触。8号車トヨタが生き残った一方で、後に有責と認められドライブスルーに相当する45秒のタイムペナルティを科された50号車は左リヤタイヤがパンクし、スローダウンと余分なピットストップを余儀なくされた。
「このコースではオーバーテイクが非常に難しい」とフルーリー。「この2年間でオーバーテイクは5回から10回程度だったと思う。おおよそ、この種のレースに適したトラックだとは言えない」
「最終的には、コース上で順位を上げる方法を見つけなければならないが、私たちのクルマのウエイトとパワーを考えるとレースで力を発揮するのは難しい。このトラック特性ではそもそも難しいのに、我々の場合はさらに難しくなっている」
「私の考えでは、もう少し良い成果を出せたと思う。終盤の7号車はペースに苦しんだが、それはおそらく、タイヤのデグラデーション(性能劣化)が原因だろう」
「もう少し良い順位でフィニッシュできたかもしれないが、それ以上は望めなかった。間違いなくフェラーリは別格だったからね」
「カタールでも同じだった。この状況がシーズンの大部分にわたって続いた場合、チャンピオンシップはシーズン半ばでほぼ決まってしまうだろう」
フェラーリは、マニュファクチャラーズ・ワールドチャンピオンシップでBMWに29ポイントもの大差をつけてイモラを去り、ディフェンディングチャンピオンのトヨタは、さらに10ポイント差で3位につけている。
フルーリーは、トヨタが今シーズンここまで勝利を争えない状況にあるとは考えていないと述べた。
「チームとして、私たちは勝利を目指してレースに臨んでいる。現状は不利だ。大きなフラストレーションを感じている。結局のところ、我々はレースを重ねるごとにダメージを最小限に抑え、上位争いに加わろうとしている」と彼は語った。
「フェラーリはここで26ポイントを獲得したと思う。我々は20ポイントだ。もし、週末にこれを達成できると言われたなら当然、すぐにサインしただろう」
「BMWはカタールと同じように、我々より多くのポイントを獲得した。私たちも私たちで可能な限りできることをしている」
「しかし振り返れば、昨年はポルシェとチャンピオンシップを争っていた。それが今年はどちらも7番手から14番手の間で戦っている」
「マシンは同じ、タイヤも同じ、チームもだ。すべてが同じ。それが事実だ」
[オートスポーツweb 2025年04月24日]