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3Dプリンタ住宅を手掛けるセレンディクス(兵庫県西宮市)は4月21日、和歌山県有田市の無人駅「初島駅」(JR紀勢本線)において、3Dプリンタ技術を用いた駅舎の建設を完了したと発表した。駅舎は改札機の設置工事などを行った後、7月ごろから運用を始める。3Dプリンタによる駅舎の建設は世界初という。
新駅舎が完成したのは3月26日。熊本県水俣市の工場で製造した4つのパーツを現地に輸送し、25日午後11時57分の最終列車通過後に作業を開始。パーツをクレーンで設置し、約2時間で組み上げた。作業時間のうち、約45分はパーツを積んだトラックの入れ替え時間で、実質的な組み立て時間は約1時間15分だったという。その後、運搬用金具の取り外しなどを経て、26日午前5時に作業を終了した。
駅舎の部材は7日間かけて製造。建設用3Dプリンタを利用し、専用のモルタルをロボットアームのノズルから吐出。出力されたパーツに鉄筋とコンクリートを流し込んで一体化させたという。
駅舎など線路に隣接する建物の建設工事は、安全面から列車の走っていない夜間に行う必要があるため、工期が長期化する傾向にある。鉄筋コンクリート造駅舎の場合、屋根や壁などの設置に1〜2カ月かかるといい、セレンディクスは3Dプリンタの活用によって工期の短縮を見込んでいた。
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セレンディクスは2024年5月、JR西日本グループとの資本業務提携に伴い、同グループと共同で小規模駅舎を3Dプリンタで建て替える試みを発表。25年3月11日には、老朽化に伴う保守コストが問題になっていた初島駅の駅舎を建て替え、10m2弱の建物を作ると発表していた。
今後は、今回の駅舎建設における工期短縮と建設・維持管理コストの削減効果を検証し、他の駅舎や鉄道施設における利用の可能性を検討するとしている。
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