ドライバー交代とパフォーマンスの浮き沈み。メディア対応に苦慮したホーナー【F1チーム代表の現場事情:レッドブル】

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2025年04月25日 07:50  AUTOSPORT web

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2025年F1第5戦サウジアラビアGP 角田裕毅(レッドブル)とクリスチャン・ホーナー代表
 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、F1日本GP、バーレーンGP、サウジアラビアGPでの、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表に焦点を当てた。レッドブルは、日本GP前に、リアム・ローソンの代わりに角田裕毅を起用。また、マックス・フェルスタッペンは、日本GPでは優勝、バーレーンでは6位に沈み、サウジアラビアではポールポジションを獲得と、レッドブルのパフォーマンスは3連戦のなかで大きく変動した。

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 本来は、毎回、さまざまなチームの代表にフォーカスするこの連載コラムだが、今回は前回に引き続き、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表を取り上げることにした。レッドブルはまさにジェットコースターのようなシーズンの幕開けを過ごしているため、それがふさわしいと考えたためだ。

 前回のコラムで書いたように、レッドブルがわずか2戦の後にドライバー交代を検討していたという事実は、チーム内に深刻な問題があったことを示唆していた。私は、中国GP直後の時点では、それほど早く交代が実行されるとは思っていなかったのだが、実際にはレッドブルの行動は早かった。日本GPから角田裕毅がレッドブルのマシンを駆ることになり、リアム・ローソンはレーシングブルズに復帰したのだ。

 ホームレースを前に角田がトップチームに移籍したという出来事を、多くのファンが喜んだ。一方で、ホーナーは、チームが冬の間に誤りを犯したと認めなければならなかった。木曜日を東京で過ごしたことで、F1メディアとの接触を1日分回避することに成功した後、金曜日にホーナーは、2025年シーズンに向けてローソンを選んだことについて聞かれ、それは誤った判断だったと認めた。

 誤りを犯したと認めたこと自体は評価すべきだが、ホーナーは、言い訳をするように、角田は冬の間にパフォーマンスとメンタリティの両面で何らかの大きな飛躍を遂げたのだと主張し続けた。しかし、昨シーズンの終わりにはすでに角田がステップアップする準備は整っていたことは、誰の目にも明らかだった。

 日本GPでマックス・フェルスタッペンが卓越した走りを見せたことで、レッドブルにはポジティブな雰囲気がもたらされた。フェルスタッペンは驚異的な予選ラップを披露してポールポジションを獲得し、レースではマクラーレン勢を抑えて勝利を収めたのである。

 週末に向かう段階では誰も予想していなかった展開の末に、フェルスタッペンがドライバーズチャンピオンシップの首位にあと1ポイントと迫った。角田はQ2で敗退し、決勝でもポイント圏内に入ることができなかったが、ホーナーはフェルスタッペンの勝利へと注目を集めることができた。

 しかしレッドブルは次のバーレーン戦でその流れを維持することができなかったため、ホーナーの立場は再び大きく困難なものとなった。

 レッドブルにとってバーレーンは惨憺たる週末だったと言わざるを得ない。粗い路面によってバランスの問題が露呈し、深刻なタイヤの摩耗を引き起こした。フェルスタッペンはブレーキの問題にも妨げられ、その結果、決勝6位に低迷、レース後には、チームのガレージ内では感情が高ぶるなかで激しい議論が交わされた。

 モータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコは、しばしばその発言でパドック内の話題をさらうことで知られているが、バーレーン後にも彼は、もしレッドブルが早い段階で改善できなければ、フェルスタッペンがシーズン終了後にチームを離れる可能性が現実的に懸念されると示唆した。

 バーレーン終了時点で、フェルスタッペンが依然としてチャンピオンシップ首位と10ポイント以内の差にあり、ランキングで3位につけていた。そしてそのわずか1週間前に日本で優勝を果たしたばかりだった。それにもかかわらず、マルコがこうした発言をしたことで、レッドブルは、サウジアラビアの週末を前に、フェルスタッペンの将来について多くの質問を受けることとなった。

 ところがジェッダにおいて、再び予想外の展開が起きた。予選でフェルスタッペンがまたもや奇跡のようなラップをたたき出し、3戦中2度目となるポールポジションを獲得したのである。

 決勝では、スタート直後にコース外でアドバンテージを得たことによるペナルティを受け、フェルスタッペンは2位にとどまった。この処分について、パドックの大多数は妥当な罰であると感じていたが、ホーナーは断固としてフェルスタッペンを庇い、このペナルティを「非常に厳しい」と表現した。

 ホーナーの意見に同意する者は多くなかった。しかし、フェルスタッペンに明確な非があるように見える場合でも彼を批判しないというのが、ホーナーが一貫して取っているスタンスである。ホーナーがフェルスタッペンの扱いにいかに気を遣っているかを、改めて感じ取ることになった出来事だった。

[オートスポーツweb 2025年04月25日]

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