
【写真】「発想が独特」な母・登美子(松嶋菜々子)、美しきたたずまい
本作の主人公は、漫画家・やなせたかしさんの妻・小松暢さんをモデルとした朝田のぶ。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどり着くまでを描く。
松嶋菜々子が演じる登美子は、文化的な教養が豊かであり、美しく勝ち気で利発な嵩の母。嵩が幼い頃に夫の清を亡くす。奔放な振る舞いで嵩をほんろうする。
松嶋は北村について「北村さんの母親役は2度目なのですが、今回はまた違った性格の母親なので、ご一緒できるのが楽しみでした。北村さんはすごく落ち着いていて、どっしり構えている方で。本当にこんな息子がいたらいいのになぁと思っています」と明かした。
自身の役どころについては「登美子は、発想が少し独特なのかなと思います。子どもへの愛情がありながらも、自分の人生に迷いがあったり、葛藤を抱えていたり……。演じる上では、そうした心の揺れを理解することが大切だと感じています。実際、嵩のモデルであるやなせさんの母親も、息子たちを残して姿を消したと聞きました。そうした複雑な背景を持ちながら“アンパンマン”という作品を生み出したやなせさんにとって、母親は影響力のある存在であり、発想の源だったのだろうなと」とした上、「登美子の突然現れては周囲を振り回し、またいなくなってしまうという設定だけをとるとどこか冷たく感じるかもしれません。けれど、嵩に対しては母親の愛情をきちんと伝えられるよう、丁寧に演じていきたいと思っています」と話した。
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第3週で8年ぶりに町に帰ってきた登美子が、のぶ(今田)に思いをぶつけられるシーンについては、「どういう反応をしていいのか分からなかったですね。のぶちゃんに責められたことよりも、嵩が言った『のぶちゃんは、母親に捨てられたことないだろ』という言葉のほうが心に響きました。捨てたつもりはなかったので……。でも、のぶちゃんに言葉を返さなかった登美子を通して思うのは、自分の行動を全部説明できなくてもいいのかなと。気持ちの整理って全部が全部ついていなくてもいいんじゃないかなと思いましたね」と振り返った。
第4週では、嵩を医者にするために登美子が後押しする。松嶋は「自分と清さんの子ならできると信じる気持ち。寛先生や千代子さんに恩返しをしたいという気持ち。自分の居心地をよくしたいという気持ち。たぶん全部本当の気持ちで、言ったことがそのままの人なのかなと。周りから見たら支離滅裂だったり、言動に驚かれたりするかもしれませんが……。それでも嵩は、どんな時もやさしく受け入れてくれるんですよね。いつも振り回してしまいますが、会うたびに、少しでも嵩が“母のやさしさ”を受け取れる瞬間があるように、表現していけたらいいなと思います」と語った。
連続テレビ小説『あんぱん』は、NHK総合にて毎週月〜土曜8時ほか放送。