ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)/2025MotoGP第5戦スペインGP 決勝 4月27日、2025年MotoGP第5戦スペインGP MotoGPクラスの決勝がヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで行われ、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのファビオ・クアルタラロは2位、アレックス・リンスは13位でフィニッシュした。
歓喜の予選トップタイム、そして悲劇のスプリント転倒があった土曜日から一夜明け、クアルタラロは再びポールポジションから25周のレースに挑んだ。
スタートで上々の蹴り出しを見せたクアルタラロは、背後に迫るドゥカティ機を抑えることに成功。後続がバトルをしている隙に0.6秒のギャップを築いてオープニングラップを終えた。
2周目以降は再びその差を縮められ、背後からのプレッシャーにさらされたクアルタラロだったが、1分37秒台のハイペースでプッシュし10周目までレースリーダーを死守。しかし11周目の1コーナーでアレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)にインを突かれ、トップの座を明け渡した。
その後クアルタラロはアレックス・マルケスについていくことができず、今度は後ろに迫るフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)を抑えることに専念。一時は約0.1秒差まで詰め寄られるピンチもあったが、レースの残り半分のなかで一度もバニャイアにオーバーテイクを許すことなく、クアルタラロは2位でフィニッシュした。チームとクアルタラロにとって2023年の第15戦インドネシアGP以来、560日ぶりの表彰台獲得ということもあり、フィニッシュ後は歓喜に沸くチームスタッフたちに揉みくちゃにされる一幕もあった。
チームメイトのリンスは、土曜日のフリー走行2回目で転倒した影響で予選をほぼ走ることができず、決勝は最後尾からのスタートに。手首にひびが入っている状態での出走となったリンスだったが、決勝では負傷を感じさせない好走を披露した。
リンスはオープニングラップで順位をひとつ上げると、翌周にはアウグスト・フェルナンデス(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)とソムキャット・チャントラ(イデミツ・ホンダLCR)をパス。さらに、上位2台のコースアウトなどもあって3周目には18番手まで浮上した。
その後も安定したペースを見せたリンスは7周目にアレイシ・エスパルガロ(ホンダHRCテスト・チーム)を抜き去り、もうひとつ前を走るラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)へ猛チャージ。9周におよぶ攻防の末、16周目にラウル・フェルナンデスを攻略した。
レース中盤以降も前方のライダーのリタイアが相次ぎ、この時点でリンスは12番手。序盤に転倒したマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)にファイナルラップの最終セクターでかわされたものの、スタートから10ポジションアップの13位でフィニッシュし、貴重な3ポイントを獲得した。
明くる月曜日は、同地ヘレス・サーキットで公式テストが行われる。今大会初日の国際中継インタビューでは、チーム代表のパオロ・パヴェジオが、開発中のV型4気筒エンジンについて今シーズン中に実戦投入する可能性を示唆していた。今回のテストで新エンジンが用意されるかは明らかになっていないが、精力的に開発をつづけるヤマハの動向に注目が集まる。
ファビオ・クアルタラロ(決勝:2位)
「信じられない。とてつもなくうれしいよ。表彰台に立つのは本当に特別なことだ。チームやクルー、家族、友人たちと過ごしたこの一週間のすべての瞬間が素晴らしく感じられ、特にポールポジションを獲得したときの気分は格別なものだった。スプリントと決勝でレースをリードし、最終的に表彰台に上ることができた。トップ争いは本当に楽しいし、トップに立ってレースをリードするのはたまらないね」
「1位との差はそれほど大きくなく、今日はアレックス・マルケスがやや上回っていた。また、ペッコ(バニャイア)を0.5秒差で抑え続けるのはとても大変だった。ここまで長い時間がかかったが、ようやく表彰台に戻って来られて本当にうれしい」
「コース脇で応援してくれたファンの皆さん、家でライダー・オブ・ザ・レースに投票してくれた皆さん、すべての方々に感謝している。彼らは昨日の転倒のあとも拍手で励ましてくれた。フランスGPでまた会おう。母国でのレースの前に表彰台を獲得できたのは本当にうれしい。ル・マンは大好きなコースだし、大勢のファンが見に来てくれる。特別なカラーリングも見られると思うよ」
アレックス・リンス(決勝:13位)
「昨日の激しい転倒のあと痛みが残っており、体調も万全ではなかったため厳しい戦いになったが、それでもなんとかレースを走り切ることができた。疲れているけど、それはいつものことだ」
「今日はマシンのセッティングを少し変更した。レース中に何度かオーバーテイクもできたが、残念ながら最終ラップの11コーナーでマルク(マルケス)に抜かれてひとつポジションを失ってしまった。それでもやっぱりポジティブな一日だったよ」
「ファビオ、おめでとう。彼は称賛されるにふさわしい。この結果はチームにとって信じられないほどの励みになる。ただただ最高だよ」
[オートスポーツweb 2025年04月28日]