au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)/2025スーパーGT第1戦岡山 スーパーGTのGT500クラスで、2023年、2024年とタイトルを連覇し、2025年は3連覇に挑んでいるTGR TEAM au TOM’Sの1号車au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)の特別コラムがオートスポーツでスタートします。au TOM’S GR Supraで昨年までトラックエンジニアとして2連覇を飾り、2025年はチーフエンジニアを担当している吉武聡(よしたけさとし)氏が毎戦、レースのターニングポイントとなった部分を中心に振り返ります。
前でスタートした14号車(ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也/福住仁嶺)も同じくウエットのミディアムだったと思いますが、リスタート後に坪井選手が14号車を抜いてトップに立てたことが大きかったですね。そこからのペースや、乾き出してからのタイヤの保ちも良さそうだったので、このままいけば問題ないかなと思って見ていました。
その後は、ウェットからドライへの切り替えのタイミングを伺っていましたが、29周を超えても一向に乾く気配がない。そうなると、ドライアップまで引っ張りたいけど、SCが入ったらドボン……その葛藤でした。この時、4番手の17号車Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/小出峻)とのギャップが30秒くらいあり、仮に17号車Astemo CIVICがピットに入ってもラップダウンにできる計算でした。(実際46周目に入った#17をラップダウンする事に成功)。この時点でセーフティカー(SC)が入っても3位以上が確定しているような状況になり、勝負ありでしたね。
これも今回、1号車にとってはキーポイントになりました。3位以下の可能性はほとんど消えたので、あとは後ろの14号車と37号車Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)の動きを見て合わせるという、セオリーどおりの作戦を採ることができました。そしてもちろん、第1スティントの『水を得た坪井選手』のウエットでの別次元の速さ、後半の山下選手の安定した速さも優勝を決めたポイントでしたね。