揃ってトップ5入りのヤマハが新エンジンに手応え。中上やペドロサを含む23名が参加/ヘレス公式テスト

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2025年04月29日 15:00  AUTOSPORT web

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中上貴晶(ホンダHRCテスト・チーム)/2025MotoGPヘレス公式テスト
 4月28日、MotoGP第5戦スペインGPが開催されたヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトにて、ヘレス公式テストが続けて実施され、マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)が唯一の1分35秒台に突入させて総合トップで終えた。

 アレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)が、最高峰クラス参戦94戦目にして初勝利を飾るという快挙を成し遂げた第5戦スペインGPから一夜明け、同地ヘレスでは公式テストが実施された。現地時間10時から18時(日本時間28日17時から29日1時)と長時間に渡って2回のセッションが行われ、10分間のスタート練習も2度設けられていた。

 また、今回は第5戦スペインGPと同様にホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)の代役としてロレンツォ・サバドーリ(アプリリア・レーシング)、ミゲール・オリベイラの代わりにアウグスト・フェルナンデス(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)が引き続きエントリー。

 ワイルドカード参戦をしたアレイシ・エスパルガロの姿はなく、ホンダHRCテスト・チームからは中上貴晶が参加しており、ダニ・ペドロサ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)といったテストライダーの姿もあった。そのなか、決勝レースで転倒したフランコ・モルビデリ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)は幸い骨折などはなかったようだが、重度の頚椎脳震盪と診断されたため走行はせず、計23名のライダーによる走行となった。

 フリー走行1回目は気温22度、路面温度28度のドライコンディションでスタート。続々とライダーたちが走行を開始し、テストプログラムを遂行する姿が見られた。60分経過時点では久しぶりのポールポジションおよび表彰台を獲得したファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)がトップにつけていた。しかし、その約1時間後にマルク・マルケスがタイムを塗り替えて午前のFP1を首位で終えた。

 続く午後のFP2も中盤頃までクアルタラロがトップに立ち、リンスも2番手につけ残り2時間ほどまでヤマハがワン・ツーとなっていた。終盤になると、マルク・マルケスが唯一の1分35秒台突破し、最終的に午前に続いてトップで終了。2番手はKTM勢のマーベリック・ビニャーレス(レッドブルKTMテック3)、3番手にクアルタラロ、4番手にリンスが続く結果となった。

 好調なドゥカティ勢は、開幕戦からスプリントで連勝を飾っているマルク・マルケスがテストでも積極的にタイム出しを実行。しかしチームメイトのフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は、課題となっていた戦闘力の底上げとポテンシャルを引き出すことに念頭を置いていたようだ。また、ドゥカティ・デスモセディチGP25に旧型のスイングアームがどう機能するかもテストしていたという。

 今回のふたりのテストプラグラムについて、チームマネージャーのダビデ・タルドッツィ氏は「マルク(マルケス)はフロントのフィーリングと信頼性を高める作業、ペッコ(バニャイア)はバイクのバランスに集中していた。ふたりのテストプランは異なっているにも関わらず、協力して作業を進めていたよ」と語っていた。元王者同士の協力作業が次戦以降、どのような結果を残すのか楽しみなところだ。

 トップ10内には、ルーキーのフェルミン・アルデグエル(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)がトップから0.854秒差の総合8番手となった。一方、アレックス・マルケスは47周を走り総合11番手で終えている。ふたりはセッティングの改善と電子制御に取り組んでいたようだ。そして、チームとしてはひとりのみの参加となったファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)は総合10番手につけた。

 ヨーロッパラウンドに突入し、揃って速さを見せているKTMはビニャーレスが総合2番手で終える好走を披露。個人的には減速する際の改善をしつつ、ミシュランから持ち込まれた新しい改良型のフロントタイヤも試したようだ。また、レッドブルKTMテック3としてはエネア・バスティアニーニとともにエアロダイナミクスに重点を置き、さまざまなエンジンや電子制御をテストしていたという。

 総合トップ5にはペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)も入っていた。午前には転倒もあったが、午後には少しずつタイムを縮めることに成功。チームメイトのブラッド・ビンダーは午前が35周に対して、午後は19周と少ない周回数ではあったが、総合14番手で終えた。テストライダーのペドロサは総合23番手なったが計76周を走り多くのデータを収集し、総合23番手となった。

 総合3番手にクアルタラロ、総合4番手にアレックス・リンスとふたり揃ってトップ5入りしたモンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームは、手応えを感じたのか、午後のセッションを2時間以上残してふたりとも早々に切り上げていた。噂のV4エンジンの姿はなかったが、新たに改良された直列4気筒エンジンはトップスピードが時速3キロほど速くなっているようで、ふたりともかなり好意的なコメントを残していたという。

 モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのチームディレクターを務めるマッシモ・メレガリ氏は「今日テストした改良エンジンはル・マンで3つ目のエンジンとして投入する予定だ」と次戦での投入を示唆していた。

 また、サテライトチームのプリマ・プラマック・ヤマハMotoGPはジャック・ミラーが総合13番手、アウグスト・フェルナンデスは総合17番手となった。こちらもモンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームから持ち込まれた新パーツおよび新エンジンをテスト。加えてベースセットアップの改良や様々な新コンポーネントの評価、ハンドリングとグリップを向上させるためにシャシーのアップデートにも取り組んでいたという。

 ホンダ陣営はヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)が午前から上位に名を連ね、最終的には総合6番手とホンダ最上位で終了。チームメイトのソムキャット・チャントラ(イデミツ・ホンダLCR)は、決勝レースで腕上がり症状のためリタイアを選択していたこともあり、午後は走行を見合わせていた。午後は転倒もあったが42周を完了し、HRCが提供する新しいコンポーネントの評価に集中しつつ、様々なセッティングも試し適応を進めていたようだ。

 ホンダHRCカストロールのジョアン・ミルが総合16番手、ルカ・マリーニは18番手でテストを終えた。今回はレースウイーク中にアレイシ・エスパルガロが使用した複数のパーツと特に新型スイングアームの評価に専念。ミルは手応えを感じているようだが、マリーニは「(テストでのコンディションでは)グリップが驚くほど良い」と語っており、意見が分かれることとなった。

 また、テストライダーとして参加した中上は、アレイシ・エスパルガロからマシンを引き継いで計3台のホンダRC213Vをテスト。総合21番手となったが、タイム計測には念頭を置いておらず、計98ラップを周回し多くのデータ収集と分析に取り組んでいたという。

 王者マルティン不在が続くアプリリア勢は、マルコ・ベゼッチ(アプリリア・レーシング)が開始早々にテストを開始させ、最終的に総合7番手で終えている。第5戦スペインGPから新たに採用していたリヤのエアロパッケージを引き続き使用してテストを遂行。代役兼テストライダーのサバドーリは、2台のアプリリアRS-GPをライドし、ベゼッチとは異なる旧型のリヤエアロパッケージを装着していた。午後にはテクニカルトラブルに見舞われたため、多くの走行はできなかったようだ。

 アプリリア・レーシングのチームマネージャーを務めるパオロ・ボノラ氏は「ブレーキングポイントと安定性、午後には空力にも重点を置いている」とコメント。ライダーたちも、今回のテストで新パーツおよびマシンの改善に手応えを感じていたようだ。

 トラックハウスMotoGPチームは、ふたりともミシュランタイヤの評価を遂行。総合9番手でトップ10入りしたラウル・フェルナンデスは、午前に短いスティントを複数回走行し、シャシーのセットアップとハンドリングの評価に重点を置いていたという。小椋藍は1日を通してアプリリアRS-GP25のシャシーやエレクトロニクス、全体的なバランスを調整。87ラップを周回してトップから0.985秒差の総合12番手で終えた。

 今回のスペイン公式テストも、様々な新パーツやエンジンが登場した。次戦となる第6戦フランスGPは、5月9〜11日にル・マン-ブガッティ・サーキットにて開催されるが、各メーカーやチームが今回のテストを活かしてどこまで戦闘力を向上させてくるか注目どころだ。

[オートスポーツweb 2025年04月29日]

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