ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)/2025MotoGP第6戦フランスGP スプリント 5月10日、2025年MotoGP第6戦フランスGP MotoGPクラスのスプリントレースがル・マン-ブガッティ・サーキットで行われ、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのファビオ・クアルタラロは4位、アレックス・リンスは8位でフィニッシュし、ダブルポイント獲得を果たした。
初日に続き、2日目も午前中は路面温度13度と低温のコンディションだ。30分間のフリー走行2回目は、クアルタラロがミディアム/ソフト、リンスが前後ソフトのタイヤを選択してコースインした。クアルタラロは後半に予選を見据えて前後ソフトを試すと、終盤に1分30秒546のトップタイムをマーク。1番手のままセッションが終了し、予選・スプリントを前に幸先のいい出だしとなった。
間髪入れずに始まった予選Q1。前後ソフトタイヤを選んだリンスは、1回目のランで1分30秒946で暫定トップに立つ。タイムを出した直後に、小椋藍(トラックハウスMotoGPチーム)が9コーナーで転倒。マシンの回収に時間がかかるとして赤旗が出された。
残り10分で再開すると、ライバルたちがタイムを上げていき、ヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)が1分30秒399でトップに浮上する。リンスも自己ベストを更新して1分30秒45で2番手に入ったものの、すぐ後にラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)が2番手を奪われる。最後のアタックでは、タイムを更新できず、2番手に0.024秒差届かず、4番手となり、14番手からのスタートが決まった。
続く上位12グリッドを決める予選Q2は、気温18度、路面温度22度まで上がった。クアルタラロは前後ソフトでコースインすると、1分29秒792で2番手に入る。この時点で1分29秒台を出したライダーはトップのマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)とクアルタラロだけだ。
クアルタラロは、リヤタイヤを新品のソフトに変えて2回目のランに入る。他車の転倒が相次ぐ中でクリアラップをとれたクアルタラロは、セクター3、4を全体ベストで抜けると、マルク・マルケスのタイムを0.118秒上回る1分29秒324でトップタイムをマーク。その後、マルク・マルケスはラストアタックでタイムを更新できず、クアルタラロは2戦連続となるポールポジションを獲得した。
迎えたスプリントレースは13周。ポールスタートのクアルタラロは、スタートでマルク・マルケスに先行されるも、1コーナーをインから入って先頭を取り戻すと、2番手に0.5秒以上引き離して、トップを維持し2周目に入る。ドゥカティ勢はレースペースに優れており、マルク・マルケスからの猛攻を受ける。
守りの走りで抵抗するクアルタラロだったが、6周目にマルク・マルケスにオーバーテイクされ、先頭を奪われる。8周目にはアレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)にも先行を許し、3番手となった。
残り5周となると、フェルミン・アルデグエル(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)が真後ろにつく。クアルタラロのイン側へ強引にアルデグエルが入り込み、軽い接触を伴いながらも抜きつ抜かれつのバトルを展開。翌周にオーバーテイクされてしまい表彰台圏外の4番手に後退するも、アルデグエルから1秒以内にマシンを留めたクアルタラロは4位でチェッカーを受けた。
14番グリッドからスタートしたリンスは、オープニングラップの混乱を抜けて13番手で2周目に入ると、4周目には上位ライダーの転倒やオーバーランにより8番手に浮上する。その後は、前を走るヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)と後方のファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)と終盤までバトルを続ける。
残り2周でディ・ジャンアントニオにオーバーテイクを許し、リンスは9番手にポジションを下げるも、最終周で上位ライダーが転倒したこともあり8位でフィニッシュ。スプリント初入賞で貴重な2ポイント獲得した。
ヤマハファクトリーの両ライダーは、スプリントでのベストリザルトを残し、チームとしても2023年第2戦アルゼンチンGP以来のスプリントでダブルポイントを成し遂げた。
ヤマハ勢としては、プリマ・プラマック・ヤマハMotoGPのジャック・ミラーが予選8番手を獲得したが、スプリントでは11位フィニッシュと入賞ならず。ミゲール・オリベイラは、オーバーランする場面もあったが20位でフィニッシュし、目標の完走を果たした。
初日プラクティス後のコメントでクアルタラロは4、5位が現実的な目標だと話していた。スプリントでは、実際にその目標通りとなったわけだが、スプリントを振り返ると終盤のアルデグエルを追う走りではレースペースにあまり差はなく、バトルでの戦闘力に課題があることが現れていた。
日曜日の決勝レースは27周と、両ライダーともスプリントと同様に厳しい戦いとなると思われるが、さらなるポイント獲得へどのような走りを見せてくれるのか注目だ。
ファビオ・クアルタラロ(予選:1番手、スプリント:4位)
「スプリント4位という結果にがっかりすることは、実際には良いことだ。それは僕たちが進歩している証だからね。もちろん表彰台に上がりたかったけど、今日は賢いレース運びをする必要があったし、前の3人が僕たちより速かったという現実を受け入れるしかない。でも楽しかったよ。最初の何周かはトップを走れたし、素晴らしいショーを見せられたし、かなりの接戦だった」
「明日はタイヤのデグラデーションが今日より少なければいいけど、今日のように頭を使ったレースをして、できる限りの最上位を目指したい。もしファンに何か伝えられるとしたら、『僕のことを応援してほしい。今日のように、いいショーを見せるために100%の力を尽くすよ。どんな結果になるか、楽しみにしてほしい』と言いたいね」
アレックス・リンス(予選:14番手、スプリント:8位)
「スプリントは、まあまあ悪くなかった。スタートはすごく良くて、ヨハン(・ザルコ)を抜こうとしたけれど、彼のペースは僕と同じくらいに良かった。最終的にディ・ジャンアントニオに抜かれてしまい、(残り2周は)ついていけなかった。それでも全体的には、今日はかなりポジティブだったよ」
「予選Q1では素晴らしい走りができたし、Q2進出には0.025秒以内の差で届かなかった。こういう小さな差で逃すのはいつも悔しいけど、それでも良いスタートと良いスプリントレースができたから、明日の決勝レースが楽しみだ」
[オートスポーツweb 2025年05月11日]