
【写真】凛々しい表情からキュートな笑顔まで! 岡宮来夢、撮りおろしショット
◆大作『1789 -バスティーユの恋人たち-』ロナン役の真っすぐさがぴったり!
現在上演しているミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』に主人公ロナンとして出演中の岡宮。4月8日に東京公演がスタートし、約3週間の公演が続き、大阪での公演も始まったが、「まず、無事に幕を開けることができてうれしかったですし、ホッとしています」と安堵を滲ませる。続けて「1789年当時のパリの皆さんたちは命を懸けて基本的人権を勝ち取って、その時代を一生懸命生きた方々だと思うので、僕たちも手を抜くことなく、1公演1公演しっかり丁寧に懸命に生きていきたいと思います。その上で、怪我だけはしないように気を付けて、最後まで届けようと一丸となっています」と改めて意気込んだ。
舞台は観客が入って完成すると言われる。岡宮も開幕したからこそ得られるものがあるといい、「初日は本当に緊張しましたが、今、少しずつ落ち着いて演じられるようになったからこそ、舞台上でより多くの発見ができていると感じています」と、さらなる成長を目指す。
さらに、「ロナンはすごく多感な青年なのだと思います。革命に重きを置いているときと恋に走っているときがあって、感情の動きも激しい」と自身が演じるロナンを分析。「ロナンは、何にでも真っすぐで一生懸命だからこそ、いろいろな人からいろいろな情報をキャッチできる。そして、その情報に真っすぐな熱さを持って向き合っているからこそ、僕は一歩引いて演じつつ、舞台上で“生きる”ことを大切にしたいと思っています。一例ですが、悲しみの感情を色で表現した場合、『水色が多めだな』とか、『今日は紫が多いな』とか、『ちょっと赤が入っているな』とか…その日によって色味が変わる可能性を残しつつ、演じることができているかなと感じています」と役作りについても語った。
ロナンのような真っすぐ前を見て進むキャラクターは岡宮自身のイメージにもぴったりだ。そう指摘すると、「そうした役を任せていただくことがすごく多かったので、自分としても引き出しがあるのかなと思います」とにっこり。一方で「そうした役をたくさん演じてきたからこそ、他の役と近くなってしまわないかは気にしています」とも話し、「その人物のバックボーンや何に対してベクトルが向いているのかを、毎回、舞台に上がる前にしっかりと自分の中にインプットするように気をつけています」と明かした。
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そんな岡宮がこの夏には、ミュージカル『四月は君の嘘』で主人公の有馬公生役に挑む。本作は、新川直司によるコミックを原作に、母親の死をきっかけにピアノが弾けなくなってしまった公生が、ヴァイオリニストの宮園かをりと出会い、才能を開花させていく姿を描いたミュージカル。これまでTVアニメ化、実写映画化もされ、大ヒットを記録してきた。ミュージカル版は、2022年に初演された後、ロンドン・ウエストエンド、韓国・ソウルで現地プロダクションで上演された。今回は、3年の時を経て、新キャストで再演される。
2022年の初演を観劇したという岡宮は「これまでで一番泣いたミュージカルでした。公生を演じられるのも、(フランク・)ワイルドホーンさんが作曲した楽曲たちを歌えるのも本当にうれしいですし、楽しみで、今からドキドキしています」と出演を喜ぶ。
演じる公生役について尋ねると、「厳しい母の指導、そしてその母の死などさまざまな経験から自分が弾くピアノの音が聞こえなくなってしまいます。きっと最初は楽しいと思ってピアノを弾いていたはずですが、さまざまなことに囚われてしまい、楽しい感情がなくなってしまった。その気持ちはすごく理解できます」と共感を示す。その上で「そうした公生の姿から、自分自身が楽しまなくてはいけないんだと改めて感じました。どうしても発声や音程、歌い方を気にしてしまいますが、自分が楽しむことで、お客さまにも楽しんでいただく、そして思いを届けるという一番大切なことを忘れないようにしたいと思います」と真摯に語った。
等身大で描かれる公生は、誰にとっても共感しやすいキャラクターだ。岡宮との共通点も多く、「僕は現実主義で自分を俯瞰で見て考えていますし、責任感もある方だと思います。なので、自分に対して厳しくなってしまうことも多い。明るい人というイメージがあるかもしれませんが、やっぱり一人でいると沈むこともある。公生に共感できるポイントも多いので、自分と近いキャラクターなのかなと思います」と考えを巡らせる。
現在演じている1789年に生きるロナンをはじめ、現代日本とはかけ離れた世界に生きる人物を演じることも多い岡宮だが、公生は現代の日本に生きる高校生だ。生きる世界は違うものの、役作りという点では、「それほど変わらない」と話す。そして、「例えば、1789年のフランスと僕たちの住む2025年の日本は全く違う世界なので、想像することでしか近寄れませんが、どの作品でもリアリティを持って演じたいと思っています。もちろん、公生が生きる世界は僕にはすごくリアリティのある世界なので、よりリアルな感覚は持てると思います。ですが、(ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』で)ロミオを演じたときに『こういう子、いるよね』という人物を目指したのと同じように、親しみのある人物像を作り上げていきたいと思います」と力を込めた。
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◆「自分が真ん中に立っているという自覚だけは忘れないように」――座長として意気込み
主演作が続く岡宮。主演という立場にどのような思いがあるのだろうか? そう尋ねると、「あまり主演だからとは考えてはいませんが、でも、やっぱり自分が真ん中に立っているという自覚だけは忘れないようにしたいと思っています。だからこそ、誰よりも一生懸命向き合いたい。『あの人があれだけ頑張っているなら、自分も頑張ろう』と思ってもらえるようにしたいとは常に思っています」と真っすぐな瞳で話した。印象に残っている“座長”は浦井健治。ミュージカル『王家の紋章』で共演したときのことを振り返り、「デビュー間もない自分が帝劇の稽古場に行って、そうそうたる皆さんを前に緊張していたら、浦井さんが気さくに話しかけてくださったんです。こんなにもフランクな方なのだと驚きましたし、すごくうれしかったです。僕が置いてけぼりにならないように気を遣ってくださっていた。僕もそういう現場にしたいなと思っています」と当時の思い出を聞かせてくれた。
作品にちなみ「音楽とは?」と質問すると、「昔から聴くのも歌うのも大好きでしたが、今は切っても切り離せないものです」とキッパリ。とはいえ、「最近の流行りの音楽はわからない」そうで、「覚えなくてはいけない楽曲や、その作品、その曲の解釈を深めたりしていると、プライベートで音楽を聴いている余裕がなくなってしまって…。流行っている音楽にも疎いんです。なので、音楽番組を見なくちゃいけないなと最近思います」と苦笑いを浮かべた。
さらに、劇中で公生が挫折から再生する姿も描かれることから、岡宮の挫折経験にも触れると、思案しつつも、子どもの頃の思い出を聞かせてくれた。
「僕は野球をやっていて、いつかプロ野球選手になりたいと思ってリトルリーグに入っていました。そのチームはめちゃくちゃ強くて、全国ベスト8までいったのですが、僕は身長が全然伸びなくて。シニアリーグになると、自分の体格では全く通用しなかったんです。それで、野球を嫌いになる前に辞めようと思って、父親に『辞めたい』と言ったのが人生初の挫折でした。ただ、最近は挫折の連続です。できないことの連続なので、それをなんとか克服して舞台に立っているのだと思います。やっぱりこの人すごいなという人と出会うと悔しい思いもありますが、それを原動力にして努力を続けています。今、できる努力は全てしているから、舞台に立ったときに自信を持てるのだと思います」。
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ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』は5月16日まで大阪・新歌舞伎座で上演。
ミュージカル『四月は君の嘘』は、8月23日〜9月5日東京・昭和女子大学人見記念講堂、9月12日〜14日愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール、9月19日〜20日大阪・梅田芸術劇場メインホール、10月4日〜5日富山・オーバード・ホール 大ホール、10月12日〜13日神奈川・厚木市文化会館 大ホールにて上演。