狙われる盆栽…世界的に人気が高まる一方で窃盗事件相次ぐ 海外で転売か 東京都内でも転売目的とみられる事件で初の逮捕者 警視庁

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2025年05月12日 18:10  TBS NEWS DIG

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盆栽をめぐる窃盗事件についてです。警視庁は、東京都内の園芸店で盆栽を盗んだとして、ベトナム国籍の男を逮捕しました。盆栽の窃盗事件は各地で相次いでいて、その背景を取材しました。

【写真で見る】防犯カメラがとらえた 盆栽を物色し持ち去る瞬間

東京・昭島市の園芸店にある、こちらの五葉松の盆栽。価格は5万円です。人気の高い真柏という種類については2万5000円。1点10万円ほどの盆栽もありましたが、去年12月に盗まれました。

被害にあった園芸店
「(盗られたのは)ちょうど手頃な、このくらいのを中心に、あとは小さいの」

盗まれたのは盆栽22点、およそ67万円相当です。

この盆栽窃盗事件をめぐり、警視庁はベトナム国籍の無職、ファム・ミン・ドゥック容疑者(30)を逮捕。ファム容疑者は現場に向かう車の運転役とみられます。

「車を自分で用意し、2人と接触しろ」

捜査関係者によりますと、ファム容疑者はフェイスブックで「車の運転に関する仕事」を探していたところ、こんなメッセージが届いたといいます。

指示役とみられる人物
「車を自分で用意し、2人と接触しろ」

指示を受けたファム容疑者は、2人の人物を車で現場近くまで連れて行き、2人が戻ってくるのを50分ほど待っていたといいます。その間、犯行に及んだのでしょうか?

盆栽の鉢はワイヤーで固定されていましたが、切断されていたということです。

被害にあった園芸店
「自分で丁寧に作ってるから、1本、1本、愛情がこもってるよね。1人でも大事にしているものを盗る人がいなくなればいいなと」

ファム容疑者は容疑を認め、「車の運転ができるから運転の仕事を探していた」などと供述しているということです。

転売目的とみられる盆栽の大量窃盗事件をめぐり、都内で逮捕者が出たのは初めてで、警視庁が実行役らの行方を追っています。

「泥棒しに行く仕事ですか」「そうだよ」SNSにはベトナム語で…

実は、盆栽を狙った窃盗事件は各地で相次いでいます。SNSにはベトナム語でこんな投稿も…。

SNSの投稿
「日本で夜間にミニ盆栽をやる仕事です。研修や指導があり、手に入れた盆栽の販売先も保証。条件はシンプルで、2〜3人のグループで7人乗りの車を持っていればOKです。一晩で数十万円稼げますよ」

コメント欄には…。

「泥棒しに行く仕事ですか」
「そうだよ」

日本盆栽協同組合によりますと、窃盗被害はおととしから全国で急増しているといいます。

日本盆栽協同組合 鈴木卓也さん
「(おととし3月以降)推定で3億円以上、被害が出ていることが想定されます」

過去に被害に遭ったという三重県内の盆栽園では、おととしから去年にかけてあわせて3回、およそ100鉢、1200万円相当が盗まれました。

防犯カメラがとらえた 盆栽を物色し持ち去る瞬間

これは当時の防犯カメラの映像。侵入した人物が盆栽を物色し、手に取ると、そのまま持ち去っていきました。

盆栽園の園主
「夜寝られないですよ。盗られて、商いができなくなることの方が恐怖」

この盆栽園は敷地内に人感センサーや防犯カメラを設置したほか、高級なものにはGPSもつけたといいます。

盆栽が狙われるわけ。背景にあるとみられるのが、海外での盆栽人気です。

財務省の貿易統計によると、盆栽の輸出額は2019年およそ4.8億円でしたが、2024年にはおよそ9億円と、2倍近くに急増。

さらに盆栽が盗まれやすい特徴も…。

日本盆栽協同組合 鈴木卓也さん
「高額資産であるにもかかわらず、基本的には植物なので屋外で管理している。高額で、持ち運びやすくて、しかも換金しやすい」

盆栽は商品になるまで短くても数年かかり、園芸店はその盗難対策に頭を悩ませています。

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