米ウォール街のニューヨーク証券取引所とその前に立つ「恐れを知らぬ少女」の像=4月8日、ニューヨーク(AFP時事) 【ニューヨーク時事】12日の米株式市場では、米中の関税引き下げ合意を受けて買い安心感が広がり、主要株価指数は大きく上伸した。両国は90日の交渉期間を設け、緊張緩和を目指す考えだが、今後の協議が円滑に進むかどうかは見通せない。トランプ米政権は輸入する航空機・部品への追加関税導入も検討するなど、相場の回復持続には難路が立ちはだかっている。
米政権が高関税政策を断続的に打ち出したことで投資家心理が悪化し、市場では「ドルや米経済が打撃を受ける」(大手銀首脳)との懸念が台頭した。先月には株・債券・ドルが同時に売られる「トリプル安」に見舞われた。
米中は景気後退やさらなる混乱を回避したいとの思惑からひとまず手を握った形。ただ、覇権を狙う両大国には隔たりもあるため、「将来的に(対立が)エスカレートする可能性」(英調査会社オックスフォード・エコノミクス)が残ったままだ。
さらに米政権が視野に入れる航空機関税が適用されれば、世界に張り巡らされたサプライチェーン(供給網)への悪影響は避けられない。先行き不透明感に伴う景気後退リスクは依然としてくすぶっており、回復基調にある株式相場に水を差す可能性もある。