閣議に臨む石破茂首相(中央)ら=13日午前、首相官邸 政府・与党の調整が遅れていた年金制度改革関連法案は16日に閣議決定され、衆院に提出される見通しとなった。慎重だった自民党が13日の総務会で法案を了承した。今国会の「重要広範議案」の一つである法案の審議が当初予定から2カ月遅れでようやく始まるが、立憲民主党は修正を求める構えで、法案の成否はなお不透明だ。
法案はパートなど短時間労働者の厚生年金加入拡大などが柱だ。自民、公明両党の幹事長は13日、東京都内で会談し、法案の今国会成立を目指す方針で一致した。
政府は当初、3月の法案提出を想定していた。大幅にずれ込んだのは、参院選を前に有権者の賛否が割れそうなテーマを避けたい自民の思惑が働いたからだ。法案の「目玉」だった基礎年金(国民年金)の底上げ策を巡り、会社員らが加入する厚生年金の積立金を財源として活用することに参院自民などから「流用だ」と異論が続出。追加の国庫負担財源の確保を迫られることへの懸念も強まり、底上げ策が法案から削除される異例の事態となった。
基礎年金は、底上げ策を講じなければ、将来の給付水準が現在に比べて3割程度目減りする恐れがある。1993〜2004年ごろに就職活動を行った「就職氷河期世代」には基礎年金しか受け取れない非正規雇用が多く、生活保護が必要となるケースが続出するとも指摘されている。