映画『ラ・コシーナ/厨房』に寄せたヒグチユウコのイラスト、小島秀夫らのコメントが到着

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2025年05月14日 17:10  CINRA.NET

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Text by CINRA編集部

映画『ラ・コシーナ/厨房』に寄せたヒグチユウコのイラスト、著名人コメント、アザービジュアルが到着した。

6月13日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開される同作は、スタッフの多くが移民で構成されたニューヨークの観光客向け大型レストラン「ザ・グリル」を舞台に、その人間関係を時にユーモラスに、時に痛烈に描いた作品。先進的な街と、レストランで働きながらアメリカンドリームを求めて滞在する移民たちの対比が全編ほぼモノクロームで描かれる。

ヒグチユウコによるイラストには、ルーニー・マーラ演じるジュリアと、主人公の料理人・ペドロが仕事の合間をぬってそれぞれの大切な人とコイン式の公衆電話で話をしているシーンが描かれている。

アザービジュアルにはピンクカラーを背景に、恋人同士でありながら決して向かい合うことのない料理人のペドロとウェイトレスのジュリアが背中合わせに佇む姿が写し出されているほか、右下には同作のアイコニック的な存在でもあるロブスターが配置されている。

© COPYRIGHT ZONA CERO CINE 2023

【ヒグチユウコのコメント】
劇場の舞台に座って観ているような感覚になった。
それでいて臨場感のあるキッチンの様子と美しくリアルなトリミング。
そして長回し!目を奪われました。

【小島秀夫のコメント】
“厨房“内を行き交うカメラも撮影も演出も間違いなく五つ星だ。メキシコ人監督のアロンソ・ルイスパラシオスは、アメリカの抱える“食材”を見事に”グリル”してみせる。しかし、ここで振る舞われるアラカルトは消化の悪いものばかりだ。移民と二世米国人、労働者と経営者、自由と格差社会。タイムズスクエアにある“厨房”を世界の縮図として描き、これまでのアメリカの“舞台裏(厨房)”と“危うさ”を痛いほど思い知らせてくれる。最後のデザートもスパイスが効いている。

【リュウジのコメント】
様々な葛藤、苦悩が交錯する戦場と化した厨房を縦横無尽に動き回るカメラが鋭い視線で捉える!
調理場に入ったことのある者にしかわからないヒリヒリとした緊張感がまさか映画で味わえるとは…!
調理場がいかに戦場かを教えてくれる圧巻のワンカットシーンは息をする間もなく、ただただ素晴らしかったです。

【佐津川愛美のコメント】
入り口を探して探して、自ら入っていく。
それは自分の選択で、流されるのも争うのも、もがくのも。いつの間にかなのか、最初からだったのか、グレーの世界。
1人1人の表情から、「あなたは?」を深く深く問いかけられた。まだ私にもわからない。目を離すことが出来ないあの瞬間の重みが、胸に跡を残したままだ。

【都築拓紀(四千頭身)のコメント】
現代とは時代背景が明らかに違うのだろうが、どこか現実味を感じて、誰しもが悪くて、誰も悪くないこの現状にすごく“人間”を感じる時間がたくさんありました。
優先すべきは、コンプラか、モラルか、自我か、ルールか、どれも正解だし、どれも不正解な二時間で、ある意味リアルなスリルを味わえる気がします。
でもなぜか、洋食は食べたくなるし、やっぱこれ系のタバコのシーンは魅力的。

【小宮山雄飛(ホフディラン)のコメント】
スタイリッシュな映像の中に、アメリカの人種問題や格差社会の闇が垣間見れて、最後の最後まで目が離せない一本!

【植野広生(win-do.us)のコメント】
喜び、悲しみ、怒り、感動、苦悩、涙、笑顔、狂気……
レストランには人々の想い集まり、皿の上には料理人の哲学が盛られ
そして、厨房には人生の縮図が渦巻いている。
人間の感情の深層を突きつけられる映画だ――

【白央篤司のコメント】
「ペドロ」も彼らの怒りも不合理も、すでに日本社会の中にある。
そして私たちも「彼ら」になりつつあるのだと思えてならなかった。
あのバイタリティとパワーを私たちは持ちうるか?

【和田彩花のコメント】
モノクロな映像なのに、社会の縮図と化した厨房でみる夢と悪夢が色鮮やかに映し出される。
カラーの映像だったら目を向け続けられないと思ったりしたけど、これが現実でもあることを受け止めなければいけない。連日報道が続くアメリカの今を知る手がかりにもなる作品だ。

【竹田ダニエルのコメント】
裏方の密かな恋も、表のいがみ合いも、すべては「アメリカンドリーム」のほろ苦さに通じている。
夢を見ながらも搾取され続ける移民たちの現実と誇りを、熱気あふれる厨房で描く。

【森直人のコメント】
“最近流行の厨房ドラマ”とは政治的な濃度において一線を画す。
英国の劇作家アーノルド・ウェスカーによる偉大な原型が、NYの移民社会に転生して灼熱のパワーを放つ。圧殺されそうな労働者たちの情念が蠢き、衝突と混乱が連鎖する。この戦争状態を回避できるのか。
我々はどんなに人生を搾取されても夢を失ってはいけない。

【奥浜レイラのコメント】
かつてウェイターとして働いた経験のある監督が、激務の厨房とフロアを現代社会に見立て人種間の摩擦、国同士の関係性を生々しく語る。
雇用する者、される者、皿が運ばれた先の客人のありようも込みで、世界がどのような構造で成り立っていて機能させるために誰がどんな代償を払っているのかを、アート映画と娯楽映画の狭間から提起する手腕が見事。
私たちもこのサイクルと無関係ではいられないのだと突きつけられた。
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