▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】
◆ケンタッキーダービー馬回避も2着馬は参戦予定
雨中の激闘からわずか2週間というインターバルをおいて、17日にはメリーランド州のピムリコ競馬場で、米国3歳三冠第2戦目となるG1プリークネスS(d9.5F)が行われる。
G1ケンタッキーダービー(d10F)を制したソヴリンティ(牡3、父イントゥミスチーフ)は、早々にここは回避することを表明。昨年に続き今年もサラトガ競馬場を舞台に6月7日に行われる三冠最終戦G1ベルモントS(d10F)へ向けての調整が始まっている。
一方、発馬直後に他馬と接触する不利がありながら、ケンタッキーダービーで2着に健闘したジャーナリズム(牡3、父カーリン)は、二冠目に出走してくる。様々な意味で前走のダメージが心配された同馬だったが、11日(日曜日)午後に、同馬を共同所有するエクリプス・サラブレッド・パートナーズのアロン・ウェルマン氏が、出走表明を行ったのだ。共同オーナーたちは、馬さえ元気ならプリークネスSに使って欲しいという意向で、これを踏まえて、カリフォルニアを拠点とするマイケル・マカシー師が先週末に再度ルイヴィル入りし、チャーチルダウンズに留まって調整されていたジャーナリズムの状態を確認。馬に問題はないとして、出走へのゴーサインが出たものだ。
G2ラカナダS(d8F)を制した他、G1ラブレアS(d7F)3着など6つのG1で入着を果たしたモポティズムの初仔で、ファシグティプトンサラトガ1歳市場にて82万5千ポンド(当時のレートで約1億1773万円)で購買されたのがジャーナリズムだ。2歳12月にG2ロスアラミトスフューチュリティ(d8.5F)を制し重賞初制覇を果たすと、続くG2サンフェリペS(d8.5F)、G1サンタアニタダービー(d9F)をいずれも制し、重賞3連勝で臨んだのがG1ケンタッキーダービーだった。
無事にプリークネスSのゲートに入れば、おそらくは、ケンタッキーダービーに続いてここも、ジャーナリズムが1番人気に推されることになりそうだ。
G1ケンタッキーダービー組では、現地2番人気(6.77倍)を裏切り7着に敗れたサンドマン(牡3、父タピット)も、プリークネスSに駒を進めてくる予定だ。
G3チルッキS(d8F)勝ち馬シーキャントシングの半弟で、OBS3月2歳市場にて3番目の高値となる120万ドル(当時のレートで約1億7742万円)で購買されたのがサンドマンだ。M.キャッシ厩舎から2歳6月にデビュー。2歳時は5戦2勝、G3ストリートセンスS(d8.5F)3着などの実績を残した。今季初戦のG3サウスウェストS(d8.5F)2着、続くG2レベルS(d8.5F)3着と惜敗が続いた後、G1アーカンソーダービー(d9F)を制しG1で重賞初制覇を果たして臨んだのがG1ケンタッキーダービーだった。末脚が武器で、前半は後方に控える馬だけに、頭数が少なくなるここは、競馬がしやすくなるはずだ。
別路線組で注目されるのが、S.アスムッセン厩舎のクレヴァーアゲイン(牡3、父アメリカンファラオ)だ。
母がG3ミュンスターオークス(芝12F)勝ち馬フラッタリングで、叔母がG1プリンスオブウェールズS(9F212y)を含めて5つのG1を制したラブという欧州血統を背景に持ち、キーンランド9月1歳市場にて50万ドル(当時のレートで約7409万円)で購買されたのがクレヴァーアゲインだ。S.アスムッセン厩舎からデビュー。今年2月にオークローンパーク競馬場のメイドン(d8.5F)を制しデビュー2戦目で初勝利をあげると、3月30日に同じくオークローンパーク競馬場で行われたホットスプリングスS(d8F)を4馬身差で快勝し、三桁のベイヤー指数を獲得した。ここは一気に相手強化となるが、未知の魅力にあふれた1頭である。
別路線組で異色の存在となるのが、英国からの遠征馬ハートオブオナー(牡3、父オナーエーピー)だ。アルカナ5月2歳市場にて16万ユーロ(当時のレートで約2809万円)で購買され、J.オズボーン厩舎に入ったのがハートオブオナーである。
2歳10月にサウスウェル競馬場のメイドン(AW7F)でデビューし2着となると、その後はドバイに遠征。メイダン競馬場のメイドン(d1600m)、同じくメイダンの条件戦(d1600m)を連勝。その後もメイダンで、G3UAE2000ギニー(d1600m)2着、LRアルバスタキヤ(d1900m)2着、G2UAEダービー(d1900m)2着の成績を収めた。ローテーションがきついという理由で、ポイント的には出走可能だったG1ケンタッキーダービーをスキップ。二冠目のここに照準を合わせてきた。
米国3歳三冠2戦目の動向に、日本の競馬ファンもぜひご注目いただきたい。