浅草寺で東京E-Prixの優勝祈願をしたトマソ・ヴォルペ氏とノルマン・ナト(ニッサン・フォーミュラEチーム) 5月15日(木)、ABB FIAフォーミュラE世界選手権に参戦しているニッサン・フォーミュラEチームのトマソ・ヴォルペ代表(バイスプレジデント兼マネージングダイレクター)と、ドライバーのノルマン・ナトが、都内最古の仏教寺院である浅草寺にて、今週末の東京E-Prixの勝利祈願を行った。
2024/25年シーズン11の第8戦および第9戦として開催される東京E-Prixは、日本唯一のフォーミュラEレースとして、東京ビッグサイト周辺の特設市街地サーキットで行われる。2度目の開催となる今年は、1週末に2レースのダブルヘッダーでの開催となる。
そんなホームグランプリを迎えるにあたり、ニッサン・フォーミュラEチームはレース成功を願い、東京・浅草を訪れた。
浅草寺は約1400年の歴史を誇り、多くの武将や著名人が勝負の前に祈りを捧げてきた場所だ。源頼朝や徳川家康などが戦勝祈願を行った歴史を持つことから、競技に挑む者たちにとって特別な意味を持つ。
浅草を訪れた一行は、有名な雷門から人力車に乗って浅草寺周辺を通り、本殿前に移動した。休憩中、ナトは備え付けの傘を手に取って広げ、お茶目な笑顔を見せ、ヴォルペ氏は人力車の仕組みに興味を示しつつも、ゆったりと浅草寺周辺を満喫した。
浅草寺に到着するとふたりは、まずは厄除けの香煙を浴びて身を清めた。その後本殿を参拝し、おみくじを引いて運勢を占った。
先に引いたヴォルペ代表が手にしたのは『大吉』。満面の笑みを見せ、母国戦へ向けて運気をチャージした。続いて引いたナトは、まさかの『凶』。「オー!」と声を上げて落胆したが、同行したチームのマネージャーに聞いたアドバイスに則って早々に結び、再チャレンジ。次は見事『吉』を手にして笑顔を見せた。
浅草観光と優勝祈願を終えたヴォルぺ代表は、「私は東京に何度も訪れていて、日本の歴史的な場所が大好きだ。この浅草寺にも何度か訪れたことがあるので、今回も来ることができて安心したよ。ただ、人力車は今まで乗ったことがなかったので楽しかった。あれは僕らのフォーミュラEマシンと同じでゼロ・エミッションを感じたよ(笑)。街を移動するのに、間違いなく持続可能な方法だ」と笑顔で感想を語った。
さらに東京E-Prixについての意気込みを聞くと、「私たちはフォーミュラEに参戦する唯一の日本国籍チームで、日本には熱い日産応援団もいる。今年も皆さんの応援を受けるのが楽しみだ。昨年の東京E-Prixは初開催ながら、ポールポジションを獲得し、2位でフィニッシュできたので大成功だった。今年はダブルヘッダーなので、良いパフォーマンスを発揮する機会が二度に増えた。ファンの期待を裏切ることなく、2レースとも良いパフォーマンスを見せられることを願っているよ」とコメント。親しんだ浅草寺の参拝と、大吉による運気チャージも相まって、ホームレースへ向け準備万端の様子だ。
さらにナトは、「日本に来るのは、昨年のWEC富士以来だ。この町は、ヨーロッパでは見られないものが多くあって、本当に素敵だと感じる。もちろん、僕たちのターゲットはレースでの勝利だが、日本の文化に触れる時間を持つのは、いつも楽しい。人々は本当にフレンドリーで、とても気持ちがいいよ」と笑顔を見せた。
さらに、東京ストリートサーキットについての印象を聞くと、「東京は非常にトリッキーなサーキットだ。バンピーだし、低速コーナーと高速コーナーもあるうえに、すぐそこに壁があるからね。それでも、ストリートサーキットは、攻略法を探る楽しみがあってお気に入りだし、東京のコースも大好きだよ」といい、チャレンジングな魅力を感じていると語った。
今季のニッサン・フォーミュラEチームは、ここまで好調なシーズンを展開している。チームメイトのオリバー・ローランド(浅草観光は体調不良により欠席)はすでに3勝を挙げ、ドライバーズランキング首位に立っており、ナトも第5戦マイアミE-Prixでポールポジションを獲得するなど速さを発揮。チームランキングでもトップ争いを繰り広げ、成績によっては東京E-Prixでの逆転も見えている。
今大会のキーポイントについてナトは「普段どおりの速さを見せることだ」と語り、次のように今週末の見通しを語った。
「まず、土曜の第8戦は雨が降る可能性があり、そうなれば予選もレースも大きく変わるだろう。さらにマシンのパフォーマンスが本当に僅差なことに加え、今シーズンのタイヤはマネジメントが非常に難しいんだ。日曜の第9戦は、タイヤ管理の面で差が出ることも考えられるので、タイヤのウインドウ内で攻め続けることが、今大会の鍵となるかもしれない」
「これらがうまくいけば、すべてがうまく収まって多くのポイントを獲得できる週末になるはずだ。そして、そのポテンシャルは充分にある。そうしたら、日曜日の夜にチームと一緒に東京で素敵な祝賀会が開けるね!」
ホームグランプリとなる東京E-Prixで、ニッサン・フォーミュラEチームはどのような戦いを見せるのか。日本文化との触れ合いを経た彼らが、日本のファンの前で見せるパフォーマンスに期待が高まる。
[オートスポーツweb 2025年05月15日]