「儲かるわけない」万博シノギから排除されたヤクザの声…しかし「本番はこれから」と息巻く理由

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2025年05月15日 16:01  日刊SPA!

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 大阪・関西万博の喧騒の陰で、裏社会ではIR開業後に待ち受ける巨大利権の争奪戦が起きている!?建設業界、民泊ビジネス、闇金、歓楽街……万博で動く莫大な“カネ”の争奪戦に迫った。
◆「チケットも売られへんし」計画狂いに焦るヤクザたち

 開催地域を中心に、莫大な経済効果を生み出すことが約束されている大阪・関西万博。裏社会の人間たちもその利益を得るため躍起になっている。

 関西系大手暴力団の元組員A(50代)は語る。

「大阪万博誘致が決まった’18年当時、ヤクザたちは“これは稼ぎ時だ”と色めき立った。フロント企業や協力者の社長、詐欺師などを集めて、ビジネスのアイデアを出させていた組織も少なくなかった。会場周辺の土地の地上げ、雑居ビルの不正取得、偽グッズ製造、民泊物件の確保──とにかく盛り上がっていたね。でも、その後コロナ禍で世間は万博どころではなくなり、ヤクザたちのテンションも急速に下がっていった」

 当然、大阪府警もこの動きを見逃していたわけではない。昨年7月、暴力団排除条例が改正された。

 この改正により、万博関連の工事で反社会勢力への利益供与が発覚した場合、即座に逮捕が可能となる厳しい規定が盛り込まれた。

「儲かるわけない。とっくに大阪のフロント企業が施設の解体からカジノまで全部押さえとるやん。うちらみたいな新規参入の人間には厳しい。某政党にツテがないと入り込めなかったと思うわ」

 そう明かすのは、関西の指定組織の元関係者B。

「もともと万博チケットは余ってるし、ダフ屋でパクられたら割に合わない。昔ならたくさん買わされてる地元企業から回してもらえることもあったけど、今はムリ。昔は政治家ともベッタリで公共事業に参入もできたけどな」

◆「本番はカジノやね」IR利権に望みを賭ける

 だが、ヤクザたちはまだ諦めていないのだという。前出のAは、「本番はカジノやね」と語る。万博の跡地となる夢洲では、’30年の開業を目指してIR(統合型リゾート)事業が進行中だ。

 IRとは、カジノ、ホテル、ショッピングモール、アミューズメントパーク、会議場などが一体化した巨大複合施設のこと。

 建設費は莫大で、工事関連の利権だけでなく、カジノ運営においてもディーラーの手配、換金業務、さらには外国人向けの風俗ビジネスなど、新たな収益チャンスが広がっている。

 それらを虎視眈々と狙っているのだ。

◆万博に乗れなかった一方、周辺事業でしっかり回収

 ここで注目されるのが、地元のフロント企業たちだ。

「カジノと産廃の利権は、ほぼ某市の土建系企業らが押さえています。その中の企業『I』は、東日本大震災の被災地に多額の寄付をして社会貢献をアピールしていますが、社長は元山口組関係者です」(暴力団に詳しいライター)

 下請けになればなるほど、暴力団と一切無縁の企業は少なくなる。さらに、従業員の中には反社と繋がりのある元不良も多く含まれているとか。

「大規模な公共事業では、下請けの取りまとめ役が請負額の数パーセントを暴力団側に流す。これは一種のみかじめ料のようなもの。さらに、そこから政治家にカネが流れているケースもある」(某元組員)

 実際、政治家と反社の間ではすでに利権争いが繰り広げられている。フロント企業関係者が証言する。

「岸田政権当時、政府との万博やIR利権獲得の交渉窓口を失った某政党が、現在は政界を引退しているCに頼った。Cが後援会を通じて口利きを図ると、関西最大の暴力団Xのフロント企業とされる『Z』グループが浮上した」

 Zグループは万博関連の燃料配送を担っている企業だ。

「燃料価格は言い値で決められ、実質的にはヤクザが利益を吸い上げる構図。さらに、この企業は解体業や建設廃材の処理事業にも手を広げているといいます」(同)

◆反社チェックが“ザル”…行政の焦りを利用

 同時に、針の穴に糸を通すかのように獲得したシノギがあると噂されている。それが「喫煙所利権」だ。

 大阪市内では万博に合わせて今年1月、全域での路上喫煙禁止条例を施行。同時に、分煙対策として市内に喫煙所の設置を推進。

 条例施行までに120か所の新設を目指し、パチンコ店の喫煙所も含め約350か所の喫煙所が市のHPで公開されている。

 この設置に暗躍しているのがヤクザたちなのだという。関西の暴力団関係者は話す。

「大阪市は急ピッチで喫煙所を新設したい思いがあって、昨年から喫煙所を設置してくれるビルや土地の所有者や工事業者の募集を開始した。喫煙所の設置費用の補助率は100%で、上限は1000万円。地下の場合は2000万円までになる。ヤクザたちは子飼いの業者や知り合い周りの業者に声をかけ、市に申請。無事に審査に通れば工事を受注できる。急ぎのプロジェクトだけに、細かな反社チェックは行われていないし、ハネられたら別の業者で申請させるだけなので痛手もない」

 さらに補助を受けた喫煙所は維持管理費として年間144万円が支払われるため、まさに“打ち出の小槌”である。

「行政が手柄欲しさに急ぐ事業ほどザルなものはない。こういう焦りにつけ込む」(同)

 利権に絡みたいヤクザの執念は岩をも穿つようだ。

取材・文・撮影/週刊SPA!編集部

―[[大阪万博とヤクザ]の“裏”実態]―

このニュースに関するつぶやき

  • 反社は何かやれば死刑で良し。そろそろ排除を本格化させた方が良いね。必要悪なんてものは無い。
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