京浜工業地帯越しに見える富士山=2月9日、横浜市内(AFP時事) 内閣府が16日発表した2025年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で0.7%減だった。マイナス成長は4四半期ぶり。物価高で個人消費が低調だったほか、輸出の下振れなどがGDPを押し下げた。
同時に公表した24年度の実質GDPは前年度比0.8%増と4年連続プラス。物価変動の影響を反映した名目GDPは3.7%増で、実額は616兆9095億円と、年度として初めて600兆円を超えた。
1〜3月期は内需の柱である個人消費が前期比0.04%増とほぼ横ばい。外食などサービス消費は伸びたものの、物価高による節約志向の高まりで食料品が落ち込んだ。設備投資は1.4%増と4期連続のプラス。ソフトウエアなどへの投資が増加した。
住宅投資は1.2%増と2期ぶりのプラス。省エネ基準への適合義務化を受けた駆け込み需要が生じた。公共投資は0.4%減と3期連続のマイナスだった。民間在庫の寄与度は、プラス0.3%。
輸出は0.6%減と4期ぶりにマイナスとなった。統計上は輸出に計上されるインバウンド(訪日客)消費が増加。トランプ米政権による高関税の発動を控えた自動車の駆け込み輸出もあったが、海外から受け取る知的財産権の使用料などの落ち込みが響いた。
GDPの押し下げ要因となる輸入は2.9%増と2期ぶりのプラス。航空機のほか、海外IT大手に支払うネット広告の利用料などが増えた。
GDPの増減に与える影響(寄与度)は内需がプラス0.7%。外需がマイナス0.8%だった。名目GDPは前期比0.8%増、年率換算で3.1%増。
景気の先行きについて、赤沢亮正経済財政担当相は16日の記者会見で「米国の通商政策による景気の下振れリスクに十分注視する必要がある」と警戒感を示した。