2025年F1第6戦マイアミGP ランド・ノリス(マクラーレン)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル) FIAは、F1マイアミGP後、同グランプリで優勝したオスカー・ピアストリのマシンを対象に、より詳細な技術検査を行った後、マクラーレンMCL39のホイールアセンブリおよびブレーキシステムに違法な部分がないと、改めて認定した。
マイアミではピアストリが優勝、2位にチームメイトのランド・ノリスが続き、ふたりは、3位ジョージ・ラッセル(メルセデス)以下に、30秒以上の差をつけてフィニッシュした。
レッドブルは、マクラーレンMCL39はリヤタイヤの温度管理を行うために、違法な手段でブレーキを冷却しているのではないかと疑い、FIAに対して対応を求めてきた。FIAは複数回にわたり、MCL39を検査し、合法であることを確認してきたが、レッドブルは納得せず。そのため、FIAは、マイアミGP後、特別に検査の対象にマクラーレンを加えて、詳細なチェックを行った。
グランプリ後にFIAは通常、無作為に選んだ1台のマシンに対して、詳細な技術チェックを行う。エミリア・ロマーニャGP前の5月15日にFIAが発表した声明においても、ピアストリ車は「上位10台の車両の中から無作為に選ばれた」と記されていた。
しかし、マイアミGP後に、FIAが選んだのはピアストリ車だけでなく、シャルル・ルクレールのフェラーリも対象とされていた。レース後の検査に2台のマシンを選ぶという、これまでにない行動が採られたことを見ると、これが「無作為」に選ばれたわけではなかったことは明らかだ。
現在の検査システムが導入されて以来、FIAは各グランプリ終了後に1台のマシンを選び、それについて追加検査を行ってきた。マイアミでは、フェラーリの1台を選ぶことが決まっていた。
しかし、レッドブルがマクラーレンはMCL39のリヤブレーキに違法な冷却システムを使用していると主張し、チーム代表クリスチャン・ホーナーがMCL39のリヤタイヤの熱画像をFIAに提出、さらにはそれをメディアや他チームの関係者に公然と見せて回った。そのため、FIA技術代表は、ピアストリのマシンを検査対象に加えざるを得なくなった。
今回、FIAは、ピアストリ車については、ホイールのボディワークアセンブリを調査の対象とした。FIAは15日に発表した声明において、「技術規則第3.13条に対するすべての構成部品の適合性の確認」と「技術規則第11.5条に基づく4つのコーナーすべてに対する物理的適合性の確認」を行った結果、「検査されたすべての構成部品は、2025年F1技術規則に適合していることが確認された」と述べている。
技術規則第11.5条は「液体冷却」という項目で、ここにはシンプルに「ブレーキの液体冷却は禁止される」と記されている。この規則に準拠していると認められたことで、レッドブルが考える「マクラーレンはブレーキドラムの冷却に冷却液を使用している」という説は否定されたことになる。
しかしFIAはさらに広範な検査を行い、MCL39の合法性を証明した。技術規則第3.13条は、ホイールボディワークについての規則で、ドラム、スクープ、内部冷却ダクト、フロントドラムデフレクター、リヤドラムデフレクター、ホイールカバーについて記されている項目だ。つまりMCL39はこれらのパーツに関して合法であることが認定されたわけだ。こうした詳細な検査を実施することで、FIAはこの疑惑に終止符を打とうとしたのだろう。
MCL39のブレーキおよびホイールシステム全体がFIAによって合法と認定された後、レッドブルがどのような対応をとるのかは不透明だ。だが、彼らが、マクラーレンは単純にリヤタイヤのオーバーヒートを防ぐための合法で優れた方法を見つけ出したのだと認める可能性は低く、FIAがチェックした分野を排除しつつ、システムの詳細を探り続ける姿勢を崩さないものと考えられる。
[オートスポーツweb 2025年05月16日]